自己紹介をする傭兵
【リオン視点】
「それじゃあまずお前から自己紹介な」
「じゃあ私からいきましょうか。私は南側の王国から来ました。『ブレイン』と申します。以後お見知りおきを」
ブレインと言う奴が言うと、青年が手を上げた。
「はいはーい!質問がありまーす!」
「どうぞ」
「ブレインさんは貴族っぽい格好をしていますけど、貴族なんですか?」
「フッフッフ、聞いて驚かないでくださいね!実は私は『王国の宰相』だったのですよ!」
俺はある違和感に気づいた。
「王国の宰相『だった』?」
「あー……左遷ですか……。」
「違う!!!断じて違うぞ!」
「今はただこの砂漠の調査に来ているだけで、終わればまた宰相に戻れるのだ!」
「明らかに左遷じゃないっすか!この砂漠の調査なんて何万年かかっても無理ですって!」
「……いや、もう半分は終わらせたぞ!あとは魔獣の調査だけだ……。」
「一番難しい所じゃないですか!?」
「うるさ~~~い!!!」
「じゃあ次はお前。」
「あっ、はい!私の名前は『マニ』って言います。行商をしています!」
「ふん!たかだか行商じゃないか。」
ブレインがマニをバカにしている。
「うるさいですよ『無職』のおっさん?」
「ちがーう!砂漠調査官だ!」
「じゃあ次はお前」
ついに俺の番か。
「俺の名前は『リオン』。傭兵をしている。以上だ。」
「「えっ?」」
ブレインとマニの二人が固まっている。
「あの~?もしかしてあなた様は……『獣王のリオン』でしょうか?」
そんな呼ばれ方をされたこともあるが……。
「たぶんそれで合ってると思うぞ。」
「「…………」」
二人がガタガタ震えている。どうしたのだろうか?
「獣王のリオンってなんだ?格好いいな!」
「たぶん、俺の所属している傭兵ギルドの『荒れ狂う獣』のリーダーをやっているから、そんな呼ばれ方をされたんだろうな。」
「ギルドか!いいな!」
「よし!最後はこのオレ、『日高 六平』だ。」
「「「は!?」」」
なにっ!?名字だと!?
基本的に名字をつかうのは……
「貴様!『神聖国』の者か!!!」
奴の首筋に剣先を当てる。
しかし奴はびくともせず、
「神聖国?なにそれ?出身は日本だけど。」
ニホン?そんな国あったか?
「あ~~~~~~!」
いきなりブレインが騒ぎ出した。
「そうだ!ニホンだ!」
なにを言っているんだ?
「異世界の国の名前だよ!」
まさかこいつは……異世界人?