元宰相の野望
【ブレイン視点】
これは世紀の大発見だ!
まさか『絶望の砂漠』に水が湧くなんて!
もしこの事を国に知らせれば、間違いなく私はまた宰相に戻れる!これで国王も私に対して逆らえまい!
フッフッフ。これで私が政権を握ったもの同然だ!
しかし………、今のうちにここの所有権を押さえなければならないな。
この世界の国際法では、オアシスは最初に見つけた者が所有することになっている。
と言うことは、私を含めて四人のうち誰かの者なのか!?
このままでは不味い!何とかして説得しなければ!
「あの~。」
全員が私に振り向く。
「このオアシスの権利について話し合いませんか?」
すると商人らしき服装の青年が言った。
「そうっすねー、本当は自分の者にしたいって思うんですけど、管理が大変そうで。売却出来るならしますよ!」
商人はそう言った。よし!一人は大丈夫だ。
次は筋骨隆々のおっさんだ。
「俺も別に構わないが……。貴様、どこの国のものだ?」
おっさんはそう言うと、腰に差していた剣に手をのせた。
殺気がビシビシと伝わってくる。
「……ええと、王国のものですが?」
「……そうか。」
殺気がおさまった。良かった。
「あの~?」
商人風の青年が言った。
「そもそもこのオアシスって、掘った人の物なんじゃ?」
そういって落ちてきた人を指さす。
確かに
ちょうどあの人がこっちへ来た。
「ちょうど良かった。実はあなたに頼みが……」
「あんた達さー、ここから帰る方法知らない?困ってんだよねー。」
彼は私の話を遮った。
「……帰ると言いますと?どこへ?」
そう私が尋ねると、彼は指先を空へと向けた。
空へと帰るつもりだろうか?無理に決まっているだろう。
「たぶん帰れないと思いますよ……。」
そう言うと彼は、
「そっかー。じゃあ仕方ないな!」
分かってくれたようだ。
「ここに住むか。」
……は?