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fantasy love  作者: 朱希
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オオカミ様と織師1

お待たせしました。

長くなったので少しずつ上げていこうと思います。

昔々あるところに音楽を魔法の媒体として暮らしている国がありました。

そこは音楽を奏でるだけで人々を幸せにし、はたまた病気まで治してしまうのでした。

ある人は、楽器を使い、ある人は自分の声を使いそれぞれかならず魔法を発することができました。

特にその国の王子様の声は何物にも勝る特殊な音を奏でるものでした。

決して顔を見せないものの王子様は国民のために毎朝歌を歌っていました。

それはとても優しく、しかし孤独な歌でした。

毎朝、人々の胸に響いてくる王子様の声は人々の活力を生み出し、心を満たしていました。

ところがある日突然、王子様の声が聞こえなくなりました。

人々は王子様が少し調子が悪くなっただけだと思っていました。

しかし、来る日も来る日も王子様の声は聞こえませんでした。

徐々に人々の心が蝕まれ、もめごとが増えてくるようになり戦争へと発展していきました。

それから5年、王子様はいまだ帰ってくることはありませんでした。







織師ナナミの家は王都の離れにひっそりと建っていました。

彼女にはこの国のものには必ず備わっているはずの魔法の力、つまり音楽を奏でる力が皆無でした。

そんな彼女を両親は気にするな、お前にはきれいな織物を作る力があるではないかと励ましました。

しかし両親を流行病で亡くなってしまった今ナナミにとって両親が残してくれたこの家と織物機だけがすべてでした。

生きていくためにお金を稼がなければならない。

彼女は一生懸命織物を作りました。

しかし魔法も使えない女と噂の種にされていた彼女の織物はなかなか売れませんでした。






そんなナナミの家に一人の女性が訪ねていました。

「ナナミ!まだできていないのかね!?」

「すみません。祈りの糸がなかなか手に入らなくて…」

「まったく!これだから魔法も使えない子は…明日までにはよろしく頼むよ。」

「はい。なんとか…」

その人は先週、最近ではあまり見られなくなった祈りの糸を使ったドレスを依頼した女性でした。

ようやく大きな仕事が舞い込んできたナナミにとって張り切らずにいられませんでした。

しかし祈りの糸で作るドレスは最低でも一か月かかります。女性は毎日のように文句を言うためだけにナナミの家を訪れていました。

「これが【王子様の呪い】の力かしら…」

王子様が音を奏でなくなってから人々は短気になっていました。そして誰にでもすぐ文句を言うようになったのです。

ナナミの家の近くではあまり見られませんでしたがここの所よくみられるようになった光景でした。

しかし、ナナミは首を振るとフードをかぶり籠を持ちます。

『ナナミ、でかけるの?』

『一緒に行くっ!』

突如小さな光の球体が2つ現れたと思うとそこには双子妖精が心配そうにナナミの元を回っていました。

周りは【王子様の呪い】に蝕まれていましたが、ナナミは決して屈しませんでした。

そんなナナミに双子妖精は拾われたのです。

この【王子様の呪い】からでる人々の闇のオーラは妖精たちを次々に消していました。

双子妖精もあわや消えそうなときにナナミに出会ったのです。

ナナミが二人を抱きしめると途端に二人の力は戻って行きました。

それから二人はナナミのそばについているのです。

「祈りの糸を取りにいかないと。明日こそ、たたかれちゃうかもね。」

『だめっだめっ!』

『一緒にさがす!』

「くすっ、ありがとう。」

双子妖精を肩に目指すは【始まりの森】。もはや祈りの糸はそこにしかないとの噂だったのです。













【始まりの森】はどこか不思議な場所でした。ナナミは最初唖然としていましたが当の目的を思い出し籠をぎゅっと持ち奥へと進みます。

しかし探せど探せど祈りの糸は見つかりませんでした。

ナナミがため息をつき空を見上げると天気が悪くなっているのに気が付きました。【王子様の呪い】はこういう自然にまで影響していたのです。

最初はぽつ、ぽつと降っていた雨も突然大雨となっていきました。

『あぶない!はやくあまやどりしよ』

走り回るけれどなかなか雨宿りできそうな場所が見つかりません。

雨で自分がどちらのほうに走っているかわからなくなってしまい今どこまで自分が来たのか皆目見当もつきませんでした。

それでもナナミは走りました。すると双子妖精たちが一つの方向を指します。

『あっち、あっちにほこら!』

「う、うん!」

目のいい双子妖精は急いで案内しますが、雨で濡れている地面は走りにくかったのです。

それでも一生懸命走りようやく祠へ到着しました。

その祠はどこか冷たく、土砂降りの雨をかぶったナナミに一気に寒気が走ります。

濡れたローブをぎゅっと握りしめますが濡れたローブは逆効果にナナミを極寒へ導きます。

気が付けば歯がガタガタとなっていました。

『ナナミ、さむいの!?』

『はやくひをたかないと!』

双子たちは一生懸命周りにまきがないか見渡します。しかし大雨の影響で周りの木々は湿っています。

祠に少し残っている木ももちろん湿っていました。

『どうしよう!どうしよう!』

『ナナミ、ナナミしっかり』

双子妖精が探しているうちにナナミは横たわっていました。

がくがくと全身が震えており今にも目を閉じそうです。

『だめっナナミ、ねないでっ!』

『おきてっ』

二人は揺さぶるがナナミは微笑むだけでした。

どうしようと顔を真っ青に双子妖精が悩んでいると黒い影が3人を覆います。

ナナミにとってその黒い影を見上げたところで記憶が飛びました。

しかしその黒い影の向こうには、とてもきれいな蒼が広がっていました。

「きれいな、蒼」

そうつぶやくとナナミは目を閉じてしまったのです。

はい、ということで特殊というのはファンタジー物という意味でした。

続き順々に挙げていきます。

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