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sin red line  作者: たぬき
第一章
11/21

幕間 1


「やはり、リンドでは駄目だな。」


 教官達の会議は、深夜まで及んでいた。


「ああ、知識や応用力の問題ではない。決定的に戦闘に向いていない。」


 前回の戦闘で、メリス リンドの取った行動、取らなかった行動、その全てにおける評価が示していた。


「普通の社会に於いては、アローよりリンドの方が優秀だろう。だが……」


 彼らにも解っていた。ライオットの能力は、普通の生活を捨てて得た物である事を。そして、メリスは普通の生活を捨てられなかった事を。


「幸いと言って良い物かどうか解らんが、前回の戦闘で、パートナーを失った者もいる。」

「そうだな、組み換えを行うべきだろう。」


 新たなパートナーの組み合わせに、教官達は、深夜を超えた会議を続けた。





 メリス リンドは絶望していた。


「君は軍人には向いていないようだ。そこで、君に進路の変更を進めに来た。」


 如何にも官僚といった感じの人物が訪ねて来たのだ。


「如何だろう、軍官僚などは。」


 メリスにも解っていた、自分がとことん軍人に向いていない事を。だが、両親を失い、頼るべき親戚すら居ない有様では、此処に居るしか無かった。ただ其れだけで此処に居ることを。

 そして、この誘いを受けなければ、自分は不要な人間として、此処より放り出される事を。


「官僚と言うのが気に入らないのかもしれないが、官僚とて必要なのだよ。」


 男は黙ってしまったメリスを見、余計な気遣いをして言った。


 メリスは憎かった。

 平時なら間違いなく自分が評価されていただろう。だが、今は戦時下、戦闘能力が何より優先される時代。

 平和な世界なら、ライオットには負けない。いや、圧倒しているだろう。現に、文系の科目なら自分が上なのだから。

 憎かった、自分を置いてさっさと死んだ両親が。妬ましかった、自分より劣っているのに評価されるライオットが。そして憎悪した、この世界を。





 ライオットは困惑していた。


「アロー、今日より彼と組め。」


 唐突に教官に言われた言葉に。そして、目の前に居る女性に。


「あの、教官。彼女の間違いでは?」


 そして、殴り飛ばされた。


「いや、間違いなく彼だ。気付けろ、女扱いすると殴られるぞ。」


 すでに殴られている人に対する忠告としては、遅すぎる忠告をされたライオットは、さらに混乱した。

 与えられた資料によると、彼(?)の名は、アレクサンドラ バーンズ、まぎれもない女名だ。

 思わず殴った張本人を観察して、ますます解らなくなった。


(美女!!!)


 彼は黒髪を緩く纏めた髪型の、シーラに勝るとも劣らない美女に見えるのだ。

 ライオットが自分に如何言う評価をしたか、一瞬で理解したらしい彼(?)は、再度殴ろう、いや、殴り殺そうと、戦闘態勢に入ったが、さすがにライオットも、二度目は御免と一瞬で距離を取った。


「いや、気が合った様で何よりだ。後は若い二人に任せて、年よりは退散するとしよう。」


 明らかにわざとらしく、見合いの仲人じみたセリフを残し、教官は去っていった。


「まずは謝罪を、女性と言って悪かった。」

「いや、私こそ過剰反応をしてした。いい加減慣れないといけないんだが……」


 案外あっさりと互いの非を認めあった。


「貴方の名前は知っている。初期の偵察任務で、もっとも効率的なナビゲーションをした人物の名だ。」

「私も卿の名は聞いている。先日の戦闘で、敵機13機を落とし、一躍トリプルエースとなった名だ。」


 どうやら、意識した時期は違っても、互いに意識していたようで、話はあっさり纏まっていった。


「アレクサンドラ バーンズだ、アレクと呼んでくれ。間違ってもサンドラとかフルネームで呼ばないように……」


 最後の……に殺気を込めつつ、アレクサ((ドム 作者が殴られ音 ぐえ))……アレクが言うと、ライオットも答えた。(しくしく)


「ライオット アローだ。好きに読んでくれて構わない。」


 以降、結構深夜まで、2人の打ち合わせ(殴り合い含む)は続いた。



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