第七話
鬼村の元に僕は行った。
「やっぱり、僕は殺しなんて、できません」
「そうか。お前も父親と同じで使えない駒だな。だましやすいところも一緒だ」
「まさか……」
「自分がこんなだから、妻と息子に苦労ばかりかけたって。泣きながら、死ぬまでお前らに謝ってたぜ。聞こえやしないのにな。その後、川に捨ててやったよ」
「父さんを殺したのか!」
鬼村の部下に頬を殴られた。
血の味がする。
口の中を切ったらしい。
「今まで、父親のことを放ったらかしにしていたお前が言うのかよ?」
「そ、それは……」
鬼村の言う通りだ。
言い返せない。
「優しい俺が、父親に再会させてやる。まあ、お前が本当に綺上院野ばらを殺したところで、結果は同じだがな」
「約束と違うじゃないか!」
鬼村の違う部下に、今度は腹を殴られた。
立っていられず、床に膝をつき、咳込む。
頭上から鬼村の声が聞こえる。
「嘘はついてないぞ? 生きていることから自由にしてやるんだからな。父親のように」
「……っ!」
鬼村は、げらげらと笑った。
はじめから、そのつもりだったのか。
まんまと、だまされた。
父もだまされて、借金を負わされていたのか。
鬼村に殺されて。
父さん、ごめん。
母と祖父母の顔を思い出す。
ごめん、一生懸命、育ててくれたのに。
野ばらさま。
だまして、殺そうとして、申し訳ありません。
その時、大きい音を立てて誰かが部屋に入ってきた。




