「水商売じゃないから!!!」
「そう言えばさ、桃愛は今なんの仕事してんの?」
絶対に聞きたかったことを聞いた。
けどこれは正当な質問だ。
俺にはこの質問の答えを聞く権利がある。
俺はホストを始めた経緯を包み隠さず教えたし、彼女は俺の職業を知っている。
それならば彼女の職業を俺に教えてくれないとアンフェアではないか。
…とはいえ、高級タワマンの最上階住みな上に家具や小物までも1級品で揃えられている。
彼女は昔から顔良し愛想良し器量良しの天才だ。
そんな彼女が会ってない間にここまでの富を築いている、ということは恐らく
「____水商売、か?」
「違うからね?」
「え゛っ」
失礼な話だが、ぜっっっったいに何かしらの形で体を売っていると思った…!
彼女は昔から金のためならなんでも出来てしまうタイプの人間だからだ。
だからこそホストに貢ぐ為に水商売を…というホス狂のテンプレに沿って生きていると予想していたのだが…
そもそも、水商売じゃないとしたらどうやってこんなにもお金を…
「まさか詐欺…」
「ほんっと失礼だね!!!」
「ごめん!!!!」
ヤバい、これちょっとだけガチでイライラしてる時の声だ…
どうしようどうしよう、と考えている間に、彼女は「はぁ、」と溜め息をして
「私、投資やってるの。半年前ぐらいに良い感じになって、それからいわゆる億り人ってやつ」
「は、、」
投資?!?!億り人?!?!え゛っ?!?!
「何もしなくてもお金が入るから、時間も金も余ってるってわけ」
正直すごくびっくりしたし、何よりめちゃくちゃ羨ましい!!…けど、
「投資って安定しないだろ、?もし暴落したりしたら…ちゃんと貯蓄もしてるんだよな?」
羨ましいよりも心配が勝った。
こんな豪奢な暮らしをして…ホストに貢いで…とてもじゃないが貯蓄なんかもしてるとは考えづらい。
寧ろ、入った金を使い切ってるんじゃないか…
高校生の頃、彼女はアルバイトをしていた筈なのに、彼女の口座に数百円しか入っておらず、理由を聞いたら「欲しいものがあったから使った」と答えたことがあるというエピソード叔母から聞いた。
そんな風に、有るだけのお金を使い切ってしまう彼女だから心配なのだ。
投資家なんて不安定な職業でそんなお金の使い方をしていたら…最悪破産だ。
「そんな不安そうな顔しないで、?大丈夫だから」
「ぇ、」
「流石に投資だけが収入源じゃないんだよ?スキマ時間に配信業なんかもしてるし…お金なら腐るほど有るからこの先数年は株価が暴落しても食べていける!!だから安心して貢がせて?」
そうやって、ニコリとエンジェルスマイルで言い切ってくれる彼女だから、安心できるんだ。
「けど、無理だけはすんなよ、?」
「分かってる!!!無理しないから!!」




