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「これからの人生、支えさせてよ」

結局、何処に座ればいいのか分からなかった俺は床にちょこんと座った。

何故ならソファーもベッドも椅子も、全て高そうだから!

今座ってる床も恐らく大理石……相当な代物だろう。


「何か飲む?コーヒーとか紅茶とか、、カ〇ピスなんかもあるよ?」

「じゃ、じゃぁお茶を、、」

「紅茶ね?りょーかいっ」


待つこと数十秒、目の前にコトっと紅茶の入ったマグカップが置かれた。

紅茶を啜ると、紅茶の程よい甘さが口中に広がる。

それだけではない、鼻を突き抜けるフルーティーかつ上品な香り、心地良い温かさ、どこを取っても1級品だ。


「美味しい?」

「あぁ、すごく」

「なら良かった!」


そう言ってにしし、と笑う彼女、、かわいい、!

従兄弟であるのに、一瞬1人の女の子として惚れてしまいそうになる。

けれど、そんなドギマギしている心中をぶった斬るように彼女が口を開く。


「ねぇ、何でホストしてるの?」


聞かれると最も予想していた質問。

だけど、どこかでして欲しくないと思っていた質問。

遂にハッキリと聞かれてしまった。

こうなってしまった以上、言い逃れは出来ない。


「…恥ずかしい話なんだけど、、知っての通り中高不登校で…それで__」


親族の皆には俺が中高不登校であるという事実は既に周知である。

そこを隠そうともそうはいかない。

もしここで下手にプライドを守ろうと嘘を重ねたとしても、変に俺の親や他の親族に伝わったら余計に面倒臭い。

そう判断して、包み隠さず簡潔に話した。

父にニートを続けるなら自衛隊に入れると言われたことも、職歴も資格もない人間を雇ってくれる所がドリラブしか無かったことも、実は今指名が取れずクビ寸前だと言うことも。

彼女は決して笑うこともなく、時折こくりと相槌を打って真剣に聞いてくれた。

そして、全て晒し終わると最後に「そっか」と言って


「じゃぁ、これからの人生は私に支えさせてよ!」


と、プロポーズ紛いのことを言い出したのだ。


「は、、ぇ、、?」

「これからは私が蒼也さんを指名する!沢山シャンパンも卸すし、必要であれば姫側からのアドバイスもする!指名いっぱい取れるように全力でサポートするし…だから…これからは頼ってよ、?幸い、私お金と時間は持て余してるから!」


あぁ、だめだ。

《《また》》彼女の優しさに甘えてしまう。

でも、彼女に甘えないと飢え死にが待っているかもしれない。

こんな俺がホストクラブ(このセカイ)で生きていくには、彼女に指名してもらうしかないのだ。

少なくとも、今のところは。


「ありがとう、桃愛」


ホスト(プロ)として、彼女を沼らせなければならないのに、気づいたら俺が桃愛に沼っていた。

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