1. 生きる!
私は全身ピンク色の小鳥「モモイロノトリ」の雛。 孵化7日後。
「巣」というおうちの窪みで、兄弟達と丸くなり温めあって成長中。
今日もパパとママが運んでくれたご飯を食べて、いっぱい寝るんだー。
あ、ママが帰ってきたっ!!
兄弟達に負けないように、口を開けて鳴かなきゃ!!
ピィピィピィピィ!!
私にご飯ちょうだい、私に、ママッッ
ママは私にご飯をくれたわっっ
やったー、兄弟達に勝った!
『ごめんね……あなたはもうここにはいられないのよ』
え? 今、ママが私に言ったの?
悲しそうな顔をして、ママは私を見つめて鳴いた。
ご飯を食べた私は、お腹いっぱいで幸せだ
ママは突然くちばしで私を、おうちの窪みから出した。
ママ……何をするの?
怖いよ、どうしたの?
『人間との約束なのよ。あなたは私の雛であり、あの人間の雛でもあるの』
何? なんのことだかわからない。
私はママの雛よ? 人間? 人間って何?
その時!
ママはくちばしでおうちから私を落とした!
ママ! ママ! なぜこんなことを?
私は地面に叩きつけられた。
痛い! 痛い! 助けて、ママ!
『あなたがあの人間の雛なら、きっと助かるはず……元気でね』
私は……大きくなりたい。
モモイロノトリとして、大人になって、大きな空を飛んでみたい。
羽も生えていない雛のまま……このまま死ぬの?
生きたい! 生きたいよぅ……。
でも、このままじゃあ……寒い、寒いよ……
誰か……助けて……誰か。