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もしかして。
「…………ここはどこなの!?」
がばり。と顔を上げたお嬢様が、辺りを見回している。
街道です。
と頭の中に浮かぶものの、状況を把握しきれないムラノは口を開けない。
それはおばあさんも同じだったようで、眉間に訝しむような皺を刻んだまま、お嬢様を凝視している。
「!! 現地民!! 現地民なのね!!」
良かった。と聞こえた気がしたが、良くはない。
おばあさんはあわやぎっくり腰にでもなるところだ。
「大丈夫ですか。おばあさん。腰は痛めていませんか」
「生きてるわ。大丈夫よ」
お嬢様を凝視したまま、小声でやり取りをしているうちに、お嬢様が駆け寄って来た。
「ここはどこ? もしかして…………」
ムラノとおばあさんの姿を見たお嬢様は、まさか。という顔をした後、こう言った。
「異世界」