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カラフルお化け  作者: 無月無明
第一章 カラフルお化けの日常
8/8

【八楽 七瑪の日常。】

辺り一面は真っ暗闇に染まり。小さな星々が輝いて。夜の時空が流れている頃。

八楽 七瑪(やたの ななば)は、フラフラと街並みを進みながら。


「バァッ! 」


「――きゃああああああああ!? 」


「――うわああああああああ!? 」


夜と同化し、姿が見えないことをいい事に。背後から、見境なく無差別に腕などを触り、大きな声を出して、買い物をしているお化け達を脅かしていた。


「アハハ。いい悲鳴と驚く姿。

これは、ハマっちゃうねぇ。もっと、脅かしたくなる。もっと、楽しみたい! 」


脅かした際に出る悲鳴や驚く姿に味を占めたのか。

飽きるどころか、する度にどんどんハマって、少し過激にもなっていき。不敵に、不気味に、笑って。 今度は買い物をしているお化け達だけではなく。店の者や通行しているお化け達にも手を染めて。 夜が明け、朝を迎えるまで、お化け達を脅かしていった。


朝を迎えたところで、姿が見えてしまう事を理由にようやくやめて。家へと帰るが。


「またやりたいよなァ~、っと。こっちからだと、家主に見つかる可能性があるんだった。こっちの隙間から入らないと」


家自体も、八楽 七瑪自身の家ではなく。

無断で侵入した上、勝手に人の家の屋根裏へとバレぬように住処として住み着いているという、違反かつ危険な事をしていた。その事に対し、脅かした時といい。罪悪感や反省する気はなく、むしろスリル満点として、娯楽として楽しんでおり。バレぬようにと行動しつつも、バレた時に出る相手の反応がどんなものかと、想像しては面白がっていた。



そう、ある日、家主にバレて。望む通り反応を見て楽しみ、面白がった後。

とんでもない仕返しをされるまでは――。



――八楽 七瑪(やたの ななば)

舌を常に出し、声を加工したような感じと電子音のようなモノを混ぜた高い声質に。体色は顔だけ白く、残りは灰色が かかっており、特に手の色は先が黒っぽく、鋭く縦にも横にも細い。また腕や身体の下先はワイヤーのように極細で、骨にも見える形をしている。瞳は黒く微笑むようにニコッとした細目。また瞼の上から目の下にかけて少し斜めになった黒い縦線がある。服装は青緑が少し混じった黒いマフラーに。マフラーの左下に挟んだ薄い灰色と黒が交差する下先が切り裂かれた形をした縦長に伸びた布。マフラーの左上から真ん中に空間のある翼のようなモノを服の上から身に付け。上の服は白に近い薄い灰色のノースリーブのシャツで胸元には黒いリボンが付いており、下の服は黒く少し光沢のある服を着用している他。丈が少し短いケープ型の黒いマントを纏い羽織っている。性格は脅かしといった悪戯する事を好む、我が道を行く、トラブルメーカー。のらりくらりとしていて、思考が読めない上。神出鬼没であり、気づいたら居るなど、悪戯を好んでいることを合わせると迷惑極まりないお化けであることは確か。特に悪戯をしていない時は物静かであまり喋らないため、八楽 七瑪自身だと見抜くこともできないため。一部の被害者から厄介な存在だと危険視されている。



―――



午前七時八分。

起床し、八楽 七瑪の一日が始まる。


家主がいない隙を狙って、洗面所に侵入し、いつの間にか用意した専用の洗顔料と歯ブラシを使って洗い磨いていく。 そして、屋根裏に戻ると。またいつの間にか用意した朝食を食べ飲む。


朝食・昼食・夕食と共に食べる物、飲む物は決まっており、食べる物はクッキー。飲み物はバナナスムージーのみであり、また一日一食しか食べない。


食べ飲み終われば、また家主がいない隙に歯磨きをする。



午前八時七分。

家主に見つからないよう、こっそりと屋根裏から外へと出て。

現在地から遠く離れた場所であるカラフル怪奇界へ行き。

暇つぶしをするようにカラフル怪奇界に暮らしているお化け達の様子や生活を観察する。



午後十二時八分。

今度はカラフル欠片界に行き、カラフル欠片界で暮らしているお化け達の仕事を監視するように木の上で観察していく。



午後二時七分。

次はカラフル天ノ界に行き、カラフル天ノ界で暮らしているお化け達の会話を盗み聞きしながら観察していく。



午後四時から五時。

三十分ごとに、カラフル生物界、カラフル人他界、カラフル不思議界の順に回っていき。 どんなお化けが居て、どんな風に暮らしているのか。どんな事が嫌いで好きなのかを調査する形で観察する。



午後六時。

観察も終わり、空が暗くなり、同化して姿が見えなくなってきたところで。

カラフル不思議街に行き、買い物をするお化けから店のお化け達、ただ単に通行しているお化け達に背後から悪戯を仕掛けて脅かしていく。



午前四時。

空が明るくなり、同化も段々と薄れていったところで脅かすのはやめて。

勝手に住処としている屋根裏へと戻り、明日はどんな脅かし方をしようかと。不敵かつ不気味な笑みをして考える。



午前五時七、八分。

眠気に襲われて、そのまま眠気に寄り添う形で就寝する。

特に何の夢も見ず、すやすやと小さく寝息を立てながら、朝を迎え。

また家主に見つからないように、洗面所へと侵入していく。



これが、八楽 七瑪の日常であり。不気味で謎めいている基本的な一日の過ごし方だ。



食事に関しては、好物のクッキーとバナナスムージーしか食べ飲まず、一日一食のみというかなりの小食。外に出かける際は、人間観察ならぬお化け観察をしていて。何故、そんなことをするのかは未だに分かっておらず。 本人の口から理由が出る可能性は極めて低く、謎に満ちている。


謎といえば、他にも謎が多く。創られたお化けなのか。生まれたお化けなのかも判明しておらず。 そもそもとして、八楽 七瑪を詳しく知るお化けは誰一人もいない。この世界の王でさえ、何も知らないのだ。


もう何もかもに謎に満ちているお化けだが。謎に満ちているからこそ、いいのかもしれない。 謎に満ちているからこそ、いずれ訪れる、とあるお化けを助ける運命を背負うことになったのだろう。 この世界を面白おかしくさせ。いずれ訪れる、展開を改変させるお化け達に立ち向かえる強さがあるのだろう。 謎に満ちている 八楽 七瑪だからこそ出来る――。


「僕は、驚く姿が好きであって。怯える姿は嫌いなんだ。だから、怯えさせる悪戯はしないよ。 怯えさせる悪戯をしていたら、僕はもっと痛い目に遭っているはずさ」


微笑むようにニコッとした黒い細目で見つめ、常に舌を出しながら、我が色辞典を告げる。 それが、我が道を行く。八楽 七瑪だ。


全てを謎に包み隠して。読めない言動をしていく。


そう、今日も。そう、明日も。謎だらけの八楽 七瑪の日常が始まっていくのだ。

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