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カラフルお化け  作者: 無月無明
第一章 カラフルお化けの日常
4/8

【無闇 曖依の日常。】

窓越しに外から自然の音だけが聞こえ。何事もなく穏やかな時間が流れる中で。

無闇 曖依(むやみ くらい)は、ただ静かに。ぐっすりと、ベッドの上で寝ていた。



――無闇 曖依(むやみ くらい)

今現在、寝ていて、声は一切聞こえないが。優しく落ち着いた少し低い少女のような声質を持っている。上半身は薄灰色であり、紐で結ばれていない、てるてる坊主のような体型で。下半身は青みが混ざった灰色であり、お化けしては少し細く足の無い幽体の体型をしている。瞳は縦幅と横幅が少し広く長めで目尻が吊り上がっており、色味は目頭から始まる薄灰色から目尻の濃い灰色まで横に続くグラデーション。メインの両手は下半身と同じ色で、指は三本のみかつ腕という腕は無く。サブとして存在している両手は灰色系統の色味をしており、腕はあるものの。極細のワイヤーのような長さと姿に見え。また若干、骨のようなモノにも見えるなど。独特の形をしており、なんとも表しづらいモノだ。そもそも、それが機能しているのかは。無闇 曖依自身、よく分かっていないようだ。首元の左右に、黒にも見える濃く暗い灰色のリボンを身に着けており、左は二つで、小さく丈が長い。右は一で、大きく丈が短い。性格はおとなしく、一人の時ほど影が薄く。あまり目立つようなタイプではないが。寝ることを至上で一番の幸福としており、何処でも、どんなに危険な場所でも、枕と掛け布団さえあれば、直ぐに寝られる逞しさを持つ上。それゆえ、睡眠を邪魔されるのは嫌いなため。万が一、仮に無闇 曖依の睡眠を邪魔した場合は――どうなるのかは、まだ誰も分かっていないが。恐ろしい事になるのは確かだろう。



さて、無闇 曖依が目を覚ましたようなので、この説明は此処までにするとして――。


無闇 曖依は、ゆっくりと瞼を開けて、だるそうに身体を起こして、眠りから目を覚ますと。 洗面所に行き、歯磨きをして、洗顔料を使いながら顔を洗って。洗った後はスキンケアをしっかりと行い、いつ何処にでも行けるように。お化粧と身支度を済ませ、あくびをしながら携帯電話に入っているアプリの一つから投稿された動画を再生して、じっと眺める――。





――じっと眺め続けて、動画もエンディングを迎える頃。

突如、インターホンのベルの音が鳴り響いたため、再生した動画を軽くタップして一時停止させ、携帯電話の電源を一度、落とし。完全に画面が暗くなったのを確認した後、インターホンの画面に映る姿をぼーっと眺めて、聞こえてくる音声を軽く聞き入れ。遅れて、五秒ほど経過してから。姿と音声に理解を示す。


「あー、迷炉。それと、天華によるカレーライスパーティー…ですか? 」


「そう。自分と無仁と無闇も含めて、皆で一緒にやろうと思ったんだけど。どうかな? 」


「いいですよ」


「わーい!ありがとう! じゃあ、自分。無仁を呼んで来るから、先に行って待ってて」


「了解です。では、先に行ってきますね」


「うん! 」


インターホンの画面に映り聞こえていた姿と音声の正体は友人兼仲間の泡沫夢 迷炉であり、同じく友人兼仲間である天朝 天華によるカレーライスパーティーを誘いに来てくれたようで。誘いに対し、勿論、参加すると返事をし。


泡沫夢 迷炉は、また同様に友人兼仲間である唯力堵 無仁を迎えに行くため。

一度、此処では別れて。先にカレーライスパーティーをする場所である野原へと向かうことになった。




野原へと着けば、天朝 天華がカレーライスを淡々と真面目に作っており、作っている中でこちらの姿に気づいた途端。 急に手を止め、お玉を後ろの方へと投げ飛ばし、嬉しそうな顔をして目にも止まらない速さでやって来る。


「無闇!来てくれたんだな! 」


「はい。迷炉に誘われて…、あの、お玉が……」


「マジ、来てくれてサンキューな! お前の好きな南瓜を使ったカレーライスもあるから、腹一杯に食べてくれ! あ、そうだ! 俺が作ったこの煌びやかで超絶美味いカレーを見てくれよ! ほら、こっち!こっち! 」


「え、ええ、はい…」


何を此処まで嬉しそうにしているのか、無闇 曖依には分からない。

だが、天朝 天華が嬉しそうにしているのは。無闇 曖依にとっても嬉しくことだから、深くは考えず。 投げ飛ばされたお玉がどうなってしまったのかも教えることはやめて。天朝 天華が作ったカレーを全種類、順番に見ていく。


その後、泡沫夢 迷炉と唯力堵 夢玖の二人も揃い。

早速、カレーライスを食べようとして――。ようやく、カレーをライスと皿の上にのせるためのお玉がない事に気がつき。投げ飛ばされた、投げ飛ばした方向を見てみると、草むらの中へと落ちており、持つ部分までに泥と雑草がくっついてしまっていた。


「うわぁああああ!? どうすんだこれ、洗剤も無いのにぃ!? 」


「え、あれだけの道具や材料を用意しといて。肝心なお玉は一つしか持ってきてなかったの? 」


「綺麗に洗い落とせるか分かりませんが。とりあえず…、食料としての水を使ってみます? 」


「スプーンで少しずつ、入れていけばいいんじゃない? 」


とりあえず、食料として残しておいた水で洗ってみるものの。雑草は落ちたが、泥は完全に落ちきることはなかったため。致し方なく、時間はかなり掛かったが、スプーンで少しずつカレーを入れていき、のせていくことに――。


結果、カレーも。ライスも。冷めきってしまったが。それでも味は美味しく、辛さも丁度よく。 お腹も満腹となり、何だかんだで、楽しいカレーライスパーティーであった。



―――



午前四時。

起床し、無闇 曖依の一日が始まる。


洗面所で歯を磨き、顔を洗顔料で洗い、スキンケアをして。部屋に戻れば、お化粧と全ての身支度や着替えを済ませ。 そして、いつも通り、朝食は一切取らずに。午前九時半頃には、目的の場所へと向かう。


午前十時。

目的の場所である、カラフル不思議野原へと到着。

当然、まだ誰も来ておらず。一人だったため、待ち時間を潰すように綺麗な草むらの上に寝転び、日向ぼっこをする。 三十分後、友人兼仲間の一人である泡沫夢 迷炉がやってきて。十五分後には、同じく友人兼仲間の一人の唯力堵 無仁がやってきて。無闇 曖依と一緒に日向ぼっこを始める。



午前十一時。

更にまた友人兼仲間である天朝 天華がやってきて。やってきたら、すぐさま、鬼ごっこを提案され開始し。 逃げる側として、体力が途切れないように気をつけながら、一生懸命に走っていく。



午後十二時半。

休憩と共に昼食を取るため、カラフル不思議街にあるスーパーマーケットにて買い物をした後。 街の中心部に存在する噴水広場のベンチにて、買ってきた昼食を少し早めに食べ飲んでいく。


今日の昼食は、ダイヤの形で一口サイズにカットされた甘い南瓜が沢山乗っかったクレープ。南瓜味とサツマイモ味のマカロン。南瓜のホールケーキ四号サイズ、と全体的に南瓜系のスイーツを食べ。飲み物は、ジンジャーエールを飲む。 見事に綺麗に完食すれば、分別してゴミ箱の中に捨てて、野原へと戻る。



午後二時。

鬼ごっこは やめて、かくれんぼを始める。

野原の中、なんとか身を隠し。気づかれないように静かに待つが。途中で、眠気が襲い。 これは不味いと、体勢を変えた瞬間。草むらが擦れる音で、居場所がバレてしまい、数秒もせずに捕まってしまった。



午後四時。

帰ることを施す音楽と放送が流れて、空を見上げると夕暮れ色に染まっていた。

音楽と放送が流れたことで、そろそろ帰らねば、と考え。今日はここまでにして、「また明日です」と別れの挨拶を告げて。それぞれ、帰宅していく。



午後四時半。

帰宅し、手を洗い、お化粧を落とす等の身支度を済ませると。

素早く、ベッドの上に直行し。少し重たい掛け布団をかけて、睡眠をとる。



午前十二時。

睡眠から目覚めて、軽く夕食を取る。

今日の夕食は、南瓜味のクルトンが入ったサラダに。鮭フレークの入ったおにぎりを食べ。水を飲む。 食べ飲んだ後は、しっかりと歯を磨いて。お風呂に入り、寝るための身支度を済ませたら。再び、ベッドの上に直行して寝転がる。



午前二時半。

アラームを一度も足りともつけずに、就寝する。

今日は特にいびきもなく、夢も見ずにぐっすりと睡眠をとっていき、朝を迎え。

全ての身支度を済ましていく。



これが、無闇 曖依の日常であり。一日の過ごし方だ。



食事を取ることは、あまり少ないが。取る際には必ず南瓜のスイーツを入れているほど大好物。 また寝ることを至上とし、一番の幸福としているため、隙間時間や合間に仮眠も含めて寝ることも多いなど、寝ることも大好き。 それほどまで、睡眠を重視して生きている無闇 曖依だが。起きている時間に関しては、心の内では全力でその時間を楽しんでいることが多く。特に友人兼仲間達と一緒に遊ぶことや何かすることも大好物と寝るのと同じくらい大切で好んでおり、その時だけは寝ないように心掛けているなど。主張することはあまり少ないが、意外と仲間想いなお化けである。


「至上かつ一番の幸福としておりますが、寝ることだけが大切じゃありませんからね」


何処か眠そうに目を細めて、静かに笑い。一歩ずつ、丁寧に自分の行くべき場所を進める。 時には眠気を吹き飛ばして。大切にしているモノ、物、者の為に動き出す。それが、無闇 曖依。


この先、寝る暇もない日々が来る可能性もあるかもしれない。

だけど、無闇 曖依は。たとえ、寝られなくとも。どうにかして、寝る方法を見つけて脱出するだろう。 寝ることが好きだからこそ、寝るだけが全てじゃないことを知っているからこそ、諦めないのだから。 先祖と同じく。暗い事を何度だって、残り超えられる力があるのだから。


そう、貫き。そう、信じ描いて。

無闇 曖依の日常が今日も始まっていく。時に眠るように静かに見守り。時に目覚めるようにしっかりと視て。

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