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カラフルお化け  作者: 無月無明
第一章 カラフルお化けの日常
3/8

【唯力堵 無仁の日常。】

何処か冷たい風が吹き。少し曇り空な景色。今日は不安定さが見える世界に。

唯力堵 無仁(いりょくど むに)もまた、気分が沈み、憂鬱な状態になっていた。


「はぁ…、なんだか悲しくて、寂しいな」


――唯力堵 無仁(いりょくど むに)

聞いていて心地よい、幼さと可愛げのある高めの声質に。青みが混ざった薄く淡い黄緑の体色と少しだけ細長い深くも薄い緑色の瞳、まるでワイヤーのような極細の腕・手・指三本を持ち、身体の下先は鋭く尖った二又のような切れ込みが小さく入っている。首元の下辺りには。一部、尖った部分や切込みが入った翼のような装飾を取り付けており、左は一つ。右には二つある。位置としては胸骨辺りにリボンが付けられたマントと腕から指、首から上と顔・頭部分は覆わない全身タイツを合わせたような服装を着込んでおり、首元の右側には裂けたような切り込みと、人間で表すところ肩の下から腰の下辺りまでが布の一部が鋭く変形した形で左右に広がっている。性格は素直かつ無邪気で、悪戯好きだが。心は繊細であり、一人でいる時は気分が落ち込みやすく、憂鬱になる傾向があるなど。一人で過ごすのが苦手で寂しがり屋な部分がある。


そのため、冷たい風と少し曇り空の景色に加え、今まさに一人でいることも相まって。 気分が沈んで、憂鬱な状態へとなってしまい、溜息や悲しみ、孤独感が堪らない。 友人兼仲間達と会えば、この状態も段々と薄れていくのだが。今日は合う予定すらなく。 だからといって、悲しみや孤独感を埋めるために、わざわざ友人兼仲間達を呼び寄せるのは何か違う。迷惑をかけるだけ。


それならば、どうすればいいのか。

とりあえず、一度。家に戻って、ゲーム等をして一時的に意識を変えて埋めるしかない。 それしか、今は思いつかないし。ないから、一時的でもやるに越した事は無いが――。


「あ。充電、切れてる……」


家に戻って、ゲームをするためにゲーム機の電源ボタンをして起動させようとしたが。 残念な事に充電は切れていた。


充電が切れているのなら致し方ない。専用の充電器を差し込んで満タンになるまで待つしかない。


ゲームが出来ない代わりに今度は愛読している漫画の続きでも読もうかと携帯電話からwebサイトを開いてみるが。 開いた途端、お知らせが表示され。現実の事情により、活動を無期限休止し、次の更新は未定と記載されていた。


なんということか。

今日は一時的に意識を変えることさえ出来ないという現実に、より憂鬱な気分になってしまう。 こうなってしまえば、今日はもう早く寝て、明日を迎えることしかない。



時間帯的には、まだ明るく日は沈んでいないが。軽くご飯を食べ、歯磨きを済ませ、部屋の電気を全て消して、布団の中へと潜り込み。無理矢理にでも就寝する。憂鬱な気分を一時的に忘れるために――。



――ピピピとアラームの電子音が鳴り響くと同時に、カーテン越しから強い日差しが入り込み、その音と衝撃に驚き。 飛び上がるようにして身体を起こし、目をしっかりと覚まして、アラームを止めながら表示されている時刻を見てみると。もう次の日のお昼過ぎになっていた。



ああ、もうこんな時間になっていたのかと、こんなにも寝ていたのかと思うと同時に。 逆に寝すぎて寝た感じがしておらず、何処か身体が鈍り、昨日ほどではないが何処か憂鬱な気分である。 しかし、いつまでも憂鬱な気分でいられないのも事実かつ現実。着替えや身支度を済ませて、ご飯の準備へと取り掛かる。――いや、取り掛かろうとした時。インターホンのチャイムが鳴り、インターホンの画面に映し出された姿を見ると。


「こんにちはー、無仁。これから、天華達とカレーライスパーティーをするんだけど。よかったら、一緒にやらない? 」


泡沫夢 迷炉が居り、一緒にカレーライスパーティーでもしないかと誘いに来ていた。


誘いを聞いて、一気に憂鬱な気分は晴れて。すぐさま、「やる」と承諾の声を上げ。

高速移動をしながら急いで、お出かけ用の身支度や服装に着替え、玄関の扉を開けて外へ出る。


「カレーライスパーティー!すっごく、楽しみぃー! 」


「ふふっ。そうだね」


泡沫夢 迷炉の横に並んで。カレーライスパーティーをやる場所であるカラフル不思議野原へと進んで行く。 先程までの憂鬱な気分とは違い。今度は明るく元気一杯な気分で。



―――



午前九時。

起床し、唯力堵 無仁の一日が始まる。


洗面所に行き、顔を優しくしっかりと洗うなどの朝の身支度を済ませて。朝食を食べ飲む。 今日の朝食は、塩が入った抹茶のふりかけをかけた白米。ワカメと豆腐、お麩が沢山入った味噌汁。温かいお茶を飲み食べ。胃の中に全て入れて、歯磨きも済ませれば、スマホから一時間程、SNSのタイムラインを眺める。



午前十時。

SNSのタイムラインを眺めるのも飽きてきたのを機に。お出かけ用の服装に着替えて身支度等をし、これも全て済ませれば。途中、高速移動を挟んで寄り道をしながら。目的の場所であるカラフル不思議野原へとスキップしながら向かっていく。



午前十時四十五分。

十五分前に目的の場所であるカラフル不思議野原へと無事に到着し。先に着いていた友人兼仲間達に並んで、草むらへと寝転び、日向ぼっこをして。まだ来ていない友人兼仲間の天朝 天華を待つ。



午前十一時。

天朝 天華も来たことで、友人兼仲間達が揃い。早速、天朝 天華から鬼ごっこしようと言われ。 逃げる側として参観する事にし。時々、悪戯を仕掛けるようにからかいながら逃げていく。



午後十二時半。

昼食を取るためにカラフル不思議街という場所に移動し、街の中にあったスーパーマーケットで買い物をした後。 また街の中心部にある噴水広場まで進み、赤茶色のベンチに座って、買った昼食を口の中に頬張っていく。


今日の昼食は、抹茶味の菓子パンを二つ。ショートサイズのチーズケーキ。紙パックに入ったリンゴジュース飲んで食べる。飲み切り、完食もすれば。丁寧に分別してゴミ箱の中に入れて、野原へと戻る。



午後二時。

鬼ごっこではなく、次はかくれんぼが始まる。

隠れる場所が少ない野原を。体色や服装が緑系統なのを利用し、なんとか工夫して隠れ、身を潜める。 最初こそは、天朝 天華のダミー等もあり、見つかることは無かったが。最終的には嘘のようにあっという間に見つかり、捕まってしまった。



午後四時。

気づけば、すっかりと夕暮れ色に空が染まっており、帰る時間であることを知らせる音楽と放送が流れていた。 まだまだ友人兼仲間達と一緒にいたいが。帰る時間になってしまえば仕方ないと、内心は不満ながらも諦めて。 「また明日ね」と別れの挨拶をして、高速移動をしながら自宅へと帰る。



午後四時十分。

自宅へと到着し、色々と身支度等を済ませて。ベッドの上に寝転んだ瞬間、一気に孤独感に襲われ、憂鬱な気分となる。


皆と一緒にいるのが好きな唯力堵 無仁にとって。一人という時間はとても寂しく辛い事だ。 時に、一時的に憂鬱を紛らわせ、忘れさせるためとして。ゲームをプレイしたり、漫画を読むなどをすることもあるが。 やはり、一時的なモノでは。この憂鬱さは、なかなか晴れない。


とりあえず、いつものように。夕食を食べ飲んで。ゲームを少しやって、愛読している漫画の更新が来るまで、新しく連載された別の漫画でも読んで。一時的に忘れた後は、お風呂に浸かって、パジャマに着替えるなどの身支度を済ませたら。寝るとしよう。


今日の夕食は、から揚げ五つ。キャベツが千切りされたサラダ。林檎ジュース。抹茶チーズケーキをデザートに食べ飲んだ。



午後八時半。

再び、改めて。ベッドの上へと寝転がり、裏生地が温かい毛布を体半分までかけて就寝する。 時より、寝言を呟き。友人兼仲間達と一緒に仲良く遊ぶ夢を見ながら、朝を迎え。 置時計のアラームを止めて、予定の無い日は少し沈んだ気分で、予定のある日は少し浮かれた気分で、朝の身支度などをしていく。



これが、唯力堵 無仁の日常であり。時に少し沈んだ、時に少し浮かれた基本的な一日の過ごし方だ。



一人でいる時は憂鬱な気分になりやすいが。

食事の際は、好物である抹茶関係の飲食物やチーズケーキ、林檎ジュースを入れるなど。 無意識ながらも楽しみを作っており、完全な憂鬱状態になっているわけではない。 そもそも憂鬱になる原因として、寂しがり屋というのもそうだが。根本的な要因は唯力堵 無仁が素直かつ無邪気であるからと言える。素直かつ無邪気だからこそ、孤独感に襲われやすく憂鬱になりやすいのだ。しかし、これも唯力堵 無仁自身が成長するに連れて無くなっていくので。永遠という訳ではないので、安心してもいいだろう。それに、一人でいる時の憂鬱さを知っているからこそ、相手に寄り添うことが出来る優しさを持ち。素直かつ無邪気だからこそ、楽しい事をより心から楽しめる強さを持っている。


「今日は、皆に楽しい悪戯でもしようかな! フフフッ! 」


この先、自分がどう変わるのか。どう成長するのか。知ることもないだろう。

だけど、結果はいい方向になっているのだから。関係ない。今は今の自分のままで生きればいいのだ。 素直な気持ちで、無邪気な感情で、皆と一緒に楽しめる悪戯をしていく。


そう、未来が明るく。そう、将来が安泰の。

唯力堵 無仁の日常が今日も始まっていく。唯一無二の光を浴びながら。明るい未来を素直で無邪気に進みながら。

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