表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カラフルお化け  作者: 無月無明
第一章 カラフルお化けの日常
1/8

【天朝 天華の日常。】

カラフルモンスターワールド。

それは、色とりどりでカラフルな体色と感情・彩り豊かな想いや思考・鮮やかで繊細な言動と辞典・多様多種な種族や能力を持つ、お化け達が自分らしく、自分らしい色で、恐れずポジティブな度胸と明るく自分らしい本性の精神で生きている、世界。


カラフルお化け。

これは、そんな世界で。色が染まって流れて、繰り広げられ、進み踊っていく、お化け達の物語。


そう、これは。お化け達の物語であり、天朝 天華をはじめとするお化け達の日常が描かれた話である――。



―――



天気は快晴で良好。体調も万全で元気。今日も点火したように明るく華やかな一日を過ごせそうな時間に。 天朝 天華(てんちょう てんか)は、騒々しく、荒々しく街並みを駆け巡る。


「待てー! この野郎ッ! 俺の飯を返せ!!! 」


昼飯を幼い子供のお化けにひったくられる形で盗まれたことに激怒し、その怒りの衝動のままに周囲の事などお構いなしに見境なく巻き込みながら後を追いかけて。



――天朝 天華(てんちょう てんか)

高くもなく低くもないが、少し掠れが混じる少年のような声質に。紫系統の体色と鋭く吊り上がった白に近い薄紫色の瞳、ギザギザとした手、身体の下先が三角形と逆さまのハートを合体させたような形をし。所々、尖り。歪な形をしたピンク系が混ざった赤紫色のネックレス。服を半透明に透かす、赤みが少し混じった紫系統の付け襟。右に瞳と同じく城に近い薄紫色のラインが入り、長く細身に作られた、やや青みの入った濃い紫の身体先半分まで包み込む服装。人間で表すと肩から半袖辺りの位置にピンクと紫を混ぜ合わせた色をし、半袖辺りから袖先前は服装と同じ色をしており、二本の線が繋ぎ目のように縦斜めに縫われた袖。手と同じくギザギザとした袖先を着用している。 性格は強気で傲慢。何かと気が短く好戦的で、勘違いや解釈違いから話をややこしくするなど、トラブルメーカー気質のある問題児お化けとして、ここカラフル不思議街では知らぬ者はいないほど悪い意味で有名。


そのため、これは いつも通りの日常と呆れ返るだけ。

ああ、また天朝 天華がやらかしたのだと。問題を起こしているのだと。巻き込まれながらも、日常として受け入れる。 わけがない。


「よし…! 取り返せたぜ! 」


「「天華…、」」


「あ? 」


ようやく昼飯を取り返すことが出来たと思えば、周囲の目と声色は厳しく、燃え上がっている。 それもそのはず、以前と同様の被害が出れば。流石に受け入れてもらえることはない。


「おい…!お前のせいで、商品が全部、台無しじゃねぇか! 」


「もう、ぶつかった勢いで。荷物が吹っ飛んで、壊れちゃったじゃない! 一体、どうしてくれるの!? 」


「スープが顔面にかかって、危うく火傷しそうになったんだぞ! 」


「以前の分も、もう一度、含めて。責任とれ! 責任を! 」


巻き込まれ、被害を受けたお化け達が声を荒げて、天朝 天華を責め立てる。

元凶である幼い子供には目もくれず、天朝 天華だけに責任を取らせようと。


だが、何を言われようと。責め立てられ、責任を取れと言われても。

今回は元凶がいたが。何度も問題を起こしてきた天朝 天華に効くはずもなく。


「うるせぇッ! お前らだって、俺の仲間に迷惑を大量にかけているじゃねぇか!

責任をとれって言うなら。まずは、自分自身の責任を取ってからにしろ! 」


過去に起きた別の問題を持ってきて、逆に怒りをぶつける。

これには、被害を受けたお化け達も。一瞬、おとなしくなるが。それとこれとは別の問題だと開き直って、騒ぎ立てる。 そんなお化け達の態度に天華も怒りを更に膨らませて、吠えていく。


こうして、両者がヒートアップしながら。口喧嘩を二時間ほど、続けて。

今回の元凶である、幼い子供がこっそりと抜け出して家に帰る頃には。


「このカレーライス、美味いなァ! 」


「ああ、ナンに付けて食べるっていうのは最高だぜ! 」


何故だが、何事もなかったように、共に昼飯を食べながら和解していた。

そして、別れの際には。


「また口喧嘩しようぜ! 」


そう、被害を受けたにも関わらずお化け達から温かく言葉を送られるという――、




「ってことだ。どうだ、凄いだろ? 」


「うーん…、意味が分からないというか。何なの…? ある意味、凄いけどさぁ……」


昨日あった出来事を話として、友人兼仲間のお化けに教える、が。

あんまりな展開と物事のスピードには理解してもらえず、穏やかながらも意味が分からないと言われてしまった上。


「天華って、脈絡のない話をするのが好きだよね」


何処か困ったように呆れ返られる始末。


しかし、どんなに呆れ返られようが。天朝 天華は全くもって気にしない。

いや、もう違う事に目を向け。今日が終わるまでの残り半分の時間を存分に楽しもうと、動き出していた。


「よし、今日の残り半分は! 今いる、此処の野原でカレーライスパーティーをするぞ! 」


「か、カレーライスパーティー…? 」


「おう! 丁度、鍋とか道具や食材等を持ってきていたからな! 使わねぇと持ったないだろ! 」


「え、いつの間に…いや、どうやって持ってきたの?明らか様に手ぶらだったのに。

それと、何処から出したの?そんな大量の道具や食材とか」


「細かいことは気にするな! それより、お前も手伝え!

時間はどんどん過ぎて、歳を重ねて老いていくから、さっさとやらねぇと今日が終わっちまうぞ! 」


「えぇ…、何それ。本当に天華って、意味わからないことを言うし。するよね……」


呆れに重ねて困惑した表情を浮かべる友人兼仲間のお化けを置いて、着々と準備を進めていく。 今日の残り半分はカレーライスパーティーをして、お腹を満たしながら楽しもうと。


しかし、友人兼仲間のお化けも。そんな天朝 天華の態度や言動に振り回されているばかりではない。 呆れに重ねて困惑しても、これまたいつも通りだと受け入れ、受け止めて。


「…まぁ、楽しそうだし。いいか。

じゃあ、僕は二人を呼んでくるよ。いつもの皆で食べた方が更に美味しいし。より楽しくなるからね」


優しく微笑んだ表情に変えて、他二人の友人兼仲間のお化けを呼び、天朝 天華の手伝いをする。 類は友を呼ぶというのだろうか。友人兼仲間のお化けもまた、心根では、こういった事が好きなのだ。 意味の分からない、脈絡もない矛盾した事を緩くやっていくのが。 だから、手伝う。それを知っているからこそ、天朝 天華は何か出来事があった時、話をして。その後、何かしらの行動を起こす。今日一日を思う存分に楽しむために。



―――



午前八時半。

起床し、天朝 天華の一日が始まる。


朝の身支度を済ませて、午前九時頃に朝食を食べ飲む。

今日の朝食は、とろりとしたチーズが入ったカレーパン。少し辛めのドレッシングをかけたトマトとキャベツのサラダ。 玉ねぎが沢山、入ったコンソメスープ。少し苦いコーヒーを順番に交互に食べ飲んで。最後にデザートの小さいバニラアイスを食べて、朝食を済ませ。歯磨きをした後は、出かけるための身支度をしていき。身支度も終われば、玄関を少し勢いよく開けて、鍵をしっかり閉めて、目的の場所へと進んで行く。



午前十一時。

目的の場所である、カラフル不思議野原へと到着し。寝転び、日向ぼっこをしている友人兼仲間達に声をかけ。 今日は、追いかけっこでもして遊ぼうと。やや強引に勝負を仕掛けて。 それに賛成し、からかいながら逃げる友人兼仲間達の背後から鬼のように追いかける。



午後十二時半。

休憩も兼ねて、昼食をとる。

野原から少し先に離れた街へと足は無いが足を運んで、昼食の買い物をし。買い物が終われば、今度は街の中心部にある噴水広場まで行き。赤茶色をしたベンチの上に腰を掛けて座って、買った昼食を食べる。


今日の昼食は、牛肉とじゃがいも、さつまいも、かぼちゃが沢山入ったカレーライス。 丸い器の中に入り、一口サイズに切り分けられた、とんかつとコロッケ。 すっきりとした味わいのコーヒー。デザートとして買った、これまた小さく可愛らしいチョコレートケーキを食べ飲む。 食べ飲み終われば、近くにあった複数のゴミ箱に分別しながら捨て入れて。野原へと戻る。



午後二時。

次は、かくれんぼをして遊ぶ。

今度は逃げる側として、探す友人兼仲間の一人をお返しにとおちょくる。

追いかけるのは得意だが、逃げるのはあまり得意じゃないからこそ、おちょくるのだ。 見つけたと思わせては。それはダミーであるなど、少し落胆させていく。 しかし、それも徐々に効かなくなり。途中でドジを踏んで、捕まってしまう。 結果、追いかけた側の勝利となり、少々悔しさが込み上げてくる。



午後四時。

空は鮮やかな橙色の夕暮れに染まり、何処からか家に帰るようにと、音楽と放送が流れる。 音楽と放送を聞いて、時間もいい頃合いだから。そろそろ帰ろうか、と思い。 「また明日」と別れの挨拶をして、それぞれ家へと帰っていく。



午後四時半。

家に到着し、鍵を回転させて開けて、玄関のドアノブを引いて、中へ入り。また鍵をしっかりと閉めたら、手を洗って、着替えなどの身支度を済ませ。リビングにある横に細長いテーブルの上に置いていたゲーム機を取り、同じくリビングにあるソファーに勢いよく寝転んで、画面に視線を集中し、ゲームで遊ぶ。


遊んでいるゲームは最近でたばかりのアドベンチャーゲームとノベルゲームを組み合わせた風変りなデスゲーム系。 主人公という主人公はおらず、とあるキャラクターが自分の思考や意志とは違い。どんな即死ギミックも全くもって効かないどころか、出てくる登場キャラクター皆、一度も死なないという。デスゲームの中では、珍しい展開であった。


また、このゲームは昔、このカラフルモンスターワールドで実際に起きた出来事を参考に作られたようで。 発売前から、一部のSNSで話題になっており。これまた昔に活躍したとされる、――の道化師と呼ばれたクリエイターにそっくりなお化けが出ている事から、そのクリエイターのファンからは特に注目を浴びていた、が。


発売後は、それほど話題になることもなく。そもそも、万人受けしないというのは勿論。発売された個数が少ないというのもあって。実際にプレイしているお化けも数少ない。加え、内容が面白いかと聞かれると答えに困るというのも現状だが。


天朝 天華には見事にハマったようで。

面白くはないけれど、登場したキャラクターが誰一人死なないことに気に入り。

ストーリーをじっくりと読み通しながら、進めている。



午後六時半過ぎ。

二時間ほど、ゲームをプレイした後。夜ご飯を食べ飲んでいく。

今日の夜ご飯は、熱々のカレーうどん。皮をむいて、一口サイズに四角く切り分けたリンゴが入ったサラダ。まろやかで優しい味わいのコーヒー牛乳だ。


そして、食べ飲めば。胃もたれを防ぐためにも、胃腸薬を飲み。最後には歯を磨いていく。 歯磨きが終われば。午後七時四十五分、湯船に使ってお風呂に入り、シャワーを浴びて。寝るための身支度を済ませ。 午後九時。寝室にある、ベッドの上に転がり込んで。寝る前にいつも読んでいる漫画を読み、家に帰ってきた時にやっていたモノとは違うゲームを遊ぶ。



午後十一時頃。

掛け布団を深めに被って、就寝する。

時々、少し大きめな寝息を立てながら、何かと勝負する夢を見ながら、朝を迎え。

携帯電話から鳴るアラームに苛立ちながらも止めて、朝の身支度を済ませていく――。



これが、天朝 天華の日常であり。基本的な一日の過ごし方だ。



好物のカレーライスとコーヒー牛乳を、またそれに関連した飲食物を必ず一食は食べると決め。 友人兼仲間達と勝負を含めて一緒に遊んで、時には共にご飯を食べて、その時間を満喫して。 それまた時には勘違いや解釈違い、何かしらの出来事からトラブルが起きることもあるが。 天朝 天華は、このカラフルモンスターワールドを鮮やかに楽しく生きていく。 主に自分の為に。自分らしく自由に生きて、今日もまた少し強引ながらも友人兼仲間達を引っ張る。


「よーし! 今日も鮮やかに点火して! 思う存分に、生きている時間を華やかに楽しんでやるッ! 」


元気一杯に笑って、前へと、先へと、上へと昇るように天へと拳を掲げて。

気合を入れ、展開の読めない道を進んで行く。連れて導く。それが、天朝 天華。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ