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偶然? 必然? 

作者: ソウ マチ

 昨日、彼氏さんが不思議なことを言いだしまして……。


彼 :二巻に「宝樹ほうじゅ」って出てくるけど、あれはなに?

ソウ:お宝が大量にぶら下がっている樹です(本を読んだらわかるでしょうに、なぜ聞く?)

彼 :六色の鳥って、なに?

ソウ:六種類の色の鳥です(本に書いてあるのに、なぜ聞く?)

彼 :七色じゃなくて?

ソウ:一巻では七色だと思っていたのですけれど、二巻で本人(本鳥)が「あたち、六色なの♪」って急に言い出したので変更しました。

彼 :そっか。六色なんだ……。


どれも本を読んだらわかることですし、質問するということは本を読んでくださっているはず。なぜわざわざ聞くんだ?


ソウ:なんだ? どうした? なんでだ?

彼 :じつは仏教の経典に「宝樹」と「六色の鳥」が出てくるのですよ。ですからマチちゃんが経典を読んで本に書いたのかな?と思って。

ソウ:はああっっっ!? そんなん知らんで!! どういうこと!?

彼 :知らないのですか?

ソウ:知らんわ! 経典なんて読めへん!! どういうことや!? お前、専門家やろ!? 詳しく教えろや!!


じつは彼氏さん、僧侶なんです。彼氏が僧侶……。キャラ設定が濃ゆいな……(汗)。かなり勉強熱心な方なので、仏教に関する知識はハンパないです。梵字なんかも読めるらしい。聞けばいろいろと教えてくださるとは思うのですけれど、そもそも何を聞けばいいのかわからんので宝の持ち腐れという……(汗)。


二巻に僧侶が出てきますけれど、これは彼の影響ではありません。必然というか偶然というか……。


二巻を書くにあたって、私は泣きながら歴史のお勉強をしていました。今までの人生は「歴史? 歴史上の人物なんて全員死んでるんやろ? 死んだヤツのことを勉強して何が楽しい?」という一貫した姿勢で生きてきましたので、まったく歴史を知らなかった。ここだけの話、一巻は江戸時代の話だと思っていました。本が出た後で安土桃山時代だったと知った……! オレ、よく書けたな!!


そういうワケで二巻はちゃんとお勉強をしてから書こうと、泣きながらお勉強していたのです。主に秀吉について色々と調べていたら、千利休が出てきた。ここだけの話、千利休と小林一茶は同一人物だと思っていました。ちがう人だったんだ……!! 秀吉と千利休について色々と調べていたら、ミョ~に引っかかる点が出てきた。秀吉が大事な話し合いをするのに、どこかのお寺で会議をするのです。……すみません。お話を書いていた当時はちゃんと誰とどこのお寺でいつ話し合いをしたか理解していましたけれど、書き終わったらキレイサッパリ忘れてしまいました。


忘れましたけれど、大筋はおぼえています。大事な会議を泊りがけでお寺でするのです。あれ? なんで? そんな大事な会議を、なんでそんな場所でするの? 秀吉って、このお寺と縁が深かったのかしら? あれこれ調べてみましたけれど、そんなに親しい感じじゃない。なんでここで会議をしたんだろう?? そんな小さな事は誰も気にしてなかったようで、その件に関して調べた人はいないようです。でも私は気になる……。なんでだ??


いろいろと調べた結果、自分なりに納得のゆく仮説ができました。このお寺、千利休と親交が深かったみたいなんです。この宗派は大陸から伝来してきた一派らしいです。おそらく茶の伝来もこの宗派と同じルートで日本に伝わってきたんじゃないかなぁ? 茶人で商人だった千利休は、異国との付き合いもあっただろうし……。 ってことは、千利休と明国は裏でつながってたりしたのかなぁ? スパイだったりした? お寺なら「ちょっとお参りに行ってきます」って言いやすいし、そこで情報交換してもバレないだろうし……。 それがバレて首斬られちゃったの?? 


それなら二巻に僧侶が出てくるよなぁ……。とある宗派の僧侶が……。


そう考えて原稿を書いて担当様へ提出した直後に、その宗派の僧侶の方から「一巻はおもしろかった」とファンレターが届いた……!! しかもその方、私の住んでるご町内の方なんですよ! めっちゃ近所! せっかくおもしろかったと誉めてくださっているのに、二巻でその方に酷似した僧侶が極悪非道なことをやらかす! 名誉棄損で訴えられたらマジで負けるかもしれん! たくさんある宗派の中でその宗派を選んだのは、秀吉がその宗派の寺で会議をしたからだけど「拙僧を貶めるため故意にその宗派にしただろう!」って責められたら論破できる自信がない……。


それにお手紙をくださったのは滋賀県のお坊様です。会議が開かれたのは京都あたりだったはず。滋賀と京都って近いから、リアルに繋がりがあるのですよ! まかり間違ってファンレターをくださったお坊様と会議のあった寺に繋がりがあったらシャレにならん! でもその可能性は異常に高い!! その業界(?)って狭いから、マジで血縁関係があったりするんですよ!!


これはマズイ! でも史実を基にして書いているから、他の宗派に変更したくない!


そういうワケで宗派が特定できる表現はすべて削除して、大陸の国名も変えました。最初は「明」って書いていたのですけれど、すべて「暗」にしました。ってここで明ってバラしちゃってるから、わたしの苦労は水の泡なんですけど……。


ですから本に出てくる僧侶のイラストが彼氏さんに酷似しているのを見て驚きました! 「なんでアンタがここにいるんだっっっ!?」 だって目の前の問題でオタオタしていたので、彼氏さんが僧侶だなんてすっかり忘れていたのです! それなのに本に出ている!! めっちゃ似てるんですよ!! もし彼が行方不明になったらイラストを見せて「この人を見かけませんでしたか?」って聞いてまわれば彼が見つかるっていうくらい似てる!! 


そういう騒ぎがあって他にも血管がブチ切れそうなトラブルが続出してやっと出版にこぎつけてほっとしていた矢先に「宝樹」や「六色の鳥」が仏教の経典に書かれているという……!! 知らんし! そんなことぜんぜん知らずに書いたし!!


宝樹や鳥の詳細を彼に教えろと詰め寄りましたが「それらについて書かれた資料を持ってきます。口頭で説明するのは難しいです」と言われたので、今はその資料が届くのを待っている状態です。いったいどんな風に書いてあるのだろう……??


この奇妙な偶然はいったいなんなのでしょうか? それとも私が知らないだけで、必然なのでしょうか? そもそも歴史を知らないのにお話が破綻してないのも不思議ですよね……。フツー、破綻すると思うんだけど……。


穴太夫も姫さまも実在の人物だったらしいし(← 本が出た後で知った)、宝樹や六色の鳥も経典に書かれているらしいし、私のあずかり知らないところでお話が進んでいるようです。

またなにか新しい事実が出てくるんじゃなかろうか……?? おそろしい……!!


またなにかありましたら、ご報告します。


今日の結論:歴史のお勉強をしていなくても、歴史物は書ける!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 歴史って、結構面白いんですよ。 お寺も今と違って、あの時代は相当な力を持っていました。 特に応仁の乱までの興福寺の力は絶大で、事実上大和国、今の奈良県あたりを支配していました。幕府が大和国に…
[一言]  それだけ符号するほど、世界観をつくりあげてきたってことですね。  仏教と波長が合うのではないでしょうか。
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