第七話 王都へ
少し残虐な描写があります。苦手な方はご注意ください。
ついに王都に行く日になった。
「ついにこの日が来たか。」
領地に出るのは魔物の森以外では初めてだ。どんな感じになっているのかな楽しみだな。王都には侯爵領にはないものがたくさんあるんだろうな。
ワクワクしていると声がかけられた。
「レイ。そろそろ出発するぞ。準備はできたか?」
「はい。父上。」
「それにしてもレイのアイテムボックスはすごいな一週間分の荷物がすべて入るなんて聞いたことがないぞ。商人が聞いたら喉から手がでるほど欲しい人材だろうな。」
「やっぱ、僕のアイテムボックスは異常なのですね。人前でたくさんの荷物をしまうことは避けるようにします。」
「それが賢明だな。商人が妬んで暗殺をしたり、商人と関係を持つ貴族が暗殺者やゴロツキを雇って誘拐するかもしれない。まぁ、レイなら返り討ちにするだろうがな。」
笑ながら父上は馬車に乗っていった。
僕たちは一週間かけて王都に行く予定だが、馬車の数は1台だけだ。僕たちが乗っているエルダートレントの馬車と護衛の騎士が50人ほどが今回王都に行くメンバーだからだ。
「よし、出発!!」
父上がそう声をかけ馬車がゆっくりと走り始める。
数時間すると父上が異変に気付いた。
「馬車の広さが外と違うのは聞いていたから驚かなかったが、この馬車全く揺れを感じないのだが?」
「そうですね。物理耐性が機能してるのもありますが、サスペンションがうまく効いているのだと思います。」
「さすぱんしょん?」
「はい。タイヤと馬車の結合部分にサスペンションを入れて揺れを防いでいるんです。」
「さすぺんしょん?はよくわからないがすごい技術だな。商品開発にも頭が利くとはレイは何でもできるな。」
父上がほめてくれたのは純粋にうれしい。ルンルン気分でいると遠くから血の匂いと剣のぶつかる音が聞こえてきた。
「父上!」
「あぁ、おい!様子を見てこい!!」
父上は近くにいた騎士に声をかけると剣戟の音が鳴る方に騎士を向かわせた。
しかし、騎士が向かうスピードでは間に合わないかもしれない。
僕はすかさずサーチを使った。
騎士が馬車を守るように三人いる。それをオークやゴブリン、ウルフなどが襲っている状態だ。
「父上、このままだと間に合いません。僕が魔法を行使して向かいます。」
「おい、待て!!」
僕は父上の静止も振り切って風魔法をまとい身体強化して走り出した。
途中で先に向かった騎士を追い抜き先に現場に到着する。
「助太刀します。」
「感謝する。って子供じゃないか!?こんなところに来てはいけない。早く逃げるんだ!」
騎士に逃げるように言われるが僕には全く声が届かない。
身体強化や風魔法はそのまま僕は魔物に切りかかる。
オリハルコンで作った刀は全くの抵抗を感じない。
「なんだあの子供は!?」
「助かった。」
「あの子は誰なんだ、、、。」
馬車を守っている騎士たちが思い思いのことを口にする。
三十体程いた魔物もあと三体になった。そのうちの一体が馬車に走り出した。
俊敏性のあるウルフだ。このままでは馬車が襲われてしまう。騎士もいるが満身創痍の状態であり、とても守り切れるとは思えない。
僕はさらに魔力を込めて走り出す。
しかし、残りの二体のオークが壁になり僕の侵攻を妨げる。
「くそ!このままでは手遅れになってしまう。」
僕はすかさず刀の火魔法を発動させて二匹のオークを切り倒す。
しかし、今から走り出しても間に合わない。
僕はすかさず刀から風魔法を発動し、かまいたちのような見えない刃を飛ばす。
『ヴゥ!?』
ウルフに命中した。そして、ウルフはゆっくりと倒れていき首が転がった。
「ふぅ、危なかったな。」
もう少しで騎士や馬車に乗っている人たちが危なかった。
「お前は誰だ!?」
騎士が焦ったように震えながらこちらに剣を向けている。
「見た感じ貴族の子どもだと思うが誰の子だ!」
「あぁ、僕は、、、。」
僕が名乗ろうとするとすぐに侯爵家の騎士がたどり着いた。
「大丈夫か!?助太刀に参った。ってあれ?レイ様?なぜここに?」
「騎士の皆さんが来るまでに馬車や護衛の皆さんが危なかったので先に来たのです。」
「そ、そうですか、、、。でも、我々が先に現場に向かったのに何でレイ様が先に、、、。」
「え?なんか言いました?」
「いえ、何でもありません!!」
僕たちがそんな会話をしていると父上が乗った馬車が到着した。
「レイ。何している!!危ないじゃないか!」
「申し訳ありません。」
父上がご立腹である。
「スタンフォード侯爵様とお見受けいたします。」
「うむ、そうだが。」
「助太刀感謝いたします。して、この子はスタンフォード様のお子ですか?」
「あぁ、そうだが。」
「私は近衛騎士団副団長のアルフレッドと申します。」
騎士団が護衛しているってことはこの馬車はもしかして、、、。
馬車の扉が開くと父上含み、すべての人間が頭を下げた。
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