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5話 女神セイレーンを討伐しちゃいました①

ふぅ~、ギリギリ間に合ったな。


まぁ、かなり恥ずかしい目に遭わせてしまったけど許してくれ。王女様の貞操は守れたから良しとしよう。


(ん?)


俺の腕に抱かれている王女様を見たけど・・・


真っ赤な顔でキラキラした目で俺を見ている。


(もしかして、ヤッてしまった?)


何だろう?俺の背中に汗がダラダラと流れてくる。あの黒髪を振り乱しながら俺に迫ってくる羅刹女の姿が浮かんでくるが気のせいでないと思う。



「そりゃそうだろうが・・・」


ヤバイ!もう戻って来た!


「何か胸騒ぎがすると思って引き返して戻ってくれば・・・」

ジロッとカーミラが俺を睨んでいる。

「絶体絶命の危機に颯爽と登場し救出される。そのようなシチェーションでときめかない女はいないぞ!しかも、この女は元々魔王様に気がある感じがするからな。」


「え!」


(し、しまったぁあああああああああああ!カーミラ!バラすなぁあああああああああ!)


「ま、ま、魔王様って・・・」


「いや、魔王違いだ。俺の名前が『マオ』って呼ぶからそう聞こえただけだろう・・・」


しかし、王女様がクスクス微笑んでいる。


「ふふふ・・・、これで分かりました、あなたが異常に強かった訳が・・・、あなたが悪魔王だったのですね。」


「だ、だから違うって・・・」


「良いのです。私はもう勇者をクビになりましたし、あの国にも神にも未練は全~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~く!ありません。男のように振る舞う必要も無くなりましたし、魔王様、どうか私を貰って下さい。」




「・・・」



「・・・」



(この女、何を言っている?)


ジッと王女様を見つめてしまったが、ポッと頬を赤くして顔を逸らされてしまった。


(うわぁぁぁ~~~~~、すっげえ可愛い!)


あの王女様だぞ!この前まで俺を殺す為に目を吊り上げて斬りかかってきた女だぞ!それがこうも正反対の態度をするなんて・・・

多分、あの男達に襲わせる為に王女様の体を麻痺させたのだろうが、その際により絶望感を与える為に泣き叫ぶ事が出来るよう、首から上は痺れさせられていないようだ。そのお陰でこんな可愛い王女様の一面を見ることになるとは思わなかった。



「おい、魔王様よ。」


いかん!いかん!王女様ばかりに構っているとカーミラがへそを曲げてしまう。


「カーミラ、それじゃ頼む。お前だけにしか出来ない事だしな。」


「分かったぞ。それにしてもだ、魔王様がこの女の為に妾に『何でも言う事を聞く』と約束したのは嬉しいのか悲しいのか微妙だぞ。だけど約束は守ってもらうからな。妾の約束は決まっているがな。ふふふ・・・、今宵は魔王様と妾の・・・」


(何だ?)


カーミラの顔が真っ赤になった。しかもなぜかモジモジしている。


(どうした?)


俺の視線に気付いたのか、真っ赤な顔だったカーミラがブンブンと顔を振ってから真面目な表情になって俺を見た。


「魔王様、何でもないからな!それでは行ってくる!」


「あぁ、頼んだぞ。」




「妾が最初に生れてから5000年・・・、そして今の姿に生まれ変わって5000年・・・、1万年の間ずっと妾は待っていた。今宵はとうとう貴方に・・・、へへへ・・・」




カーミラが何か嬉しそうにブツブツ言っているけど、よく聞こえなかったし、気にしないようにした方が我が身の為のような気がした。


フッと姿が俺達の前から消えた。



「貴様ぁぁぁ~~~、何者だぁああああああああ!」


ぶっ飛ばした男がヨロヨロと立ち上がりギロッと俺を睨みつけてきた。

だが変だ。

首がプラプラと折れ曲がっているのだが、普通に起き上がっている。


(遠慮せずに確実に首を折ったはずだが?)


「魔王様、アレはどういう事だ?」


どうやら王女様も気付いたみたいだ。普通ならあの一撃で確実に死んでいる。しかし、目の前にいる男は死んでいないけど、生きてもいないのだろう。

視線を女へ移すとニタニタと笑っている。


「コイツ等はもう私の操り人形ですよ。女神である私の駒になる名誉な役割を与えたのですよ。生ける屍として私の事だけを思い、私の事だけの言う事しか聞かない、きゃはははぁああああああ!何て素晴らしいのでしょう!これですよ!私が女神として最高の気分になれるのは!私の前に跪く!誰のお陰でこの世界で生かされているのか!」


「ホント、クズな女神だよな・・・」


「はい・・・、私も今までよくこんな神を崇めていたなんて、私の人生の恥でした。」


俺が呟くと王女様が応えてくれた。

確かに今まで崇めていた神がこんなクズだとは想像しなかっただろう。


「私達神の加護を受けていない魔族なんか、私のこの女神の力で滅ぼしてあげるわ。のこのこと私の前に現われた事を後悔しながら死になさい!王女様はさっきの続きよ、今度は舌も麻痺させて自害出来ないようにしてあげるわ。」




何で俺がここに来たのかというと・・・


数日前・・・


「魔王様、バーミリオン王国で動きがありました。」


シャドウが俺へ報告をしてきた。こうして俺に報告をするって事は重要度が高い話なんだろうな。


「あの国はどうやらあの王女様を見捨てるつもりです。」


「どういう事だ?」


「自称勇者パーティーの男共を監視していましたが、教会の教皇の息子が親と一緒に、女神の神託を聞いたとの事でした。『近々に勇者の選定を行う』との神託でした。」


「おい、今の勇者は健在だぞ。それなのに新しい勇者を選ぶってか?」


とうとうあのクソ女神が実力行使に出てきたか・・・

こうなると王女様がヤバい。


「そして、王国にある最難関ダンジョンへ修行と称して討伐へと出発してます。しかも、勇者パーティーのみだけで、それ以外の護衛や世話係も同行していません。」


うわぁぁぁぁぁぁぁ、何て分かりやすいんだよ。

確実に王女様を殺しにいっちゃっているよ。


「魔王様・・・」


シャドウの後ろにカーミラが立っていた。


「妾の探知で分かったのじゃが、あのボンクラ共の中にいる女だが、どうやら女神っぽい感じだな。いつも魔王様が瀕死にさせてもしばらくすれば何食わぬ顔で復活している。あの女がどうやら回復していたようだ。興味が無かったから最初は無視していたが、あまりにもゾンビみたいに死ななかったから調べてみたのじゃが、どうやら間違いはないだろう。さしずめ、勇者の監視でもしているのじゃろうな。」


「まぁ、あのクソ真面目な王女様だ。女神にとっては面白くなかったのだろうな。あれだけ国が傾いて上の連中はバカばかり蔓延っているんだ。確実にあの国をおもちゃにして遊んでいるのは俺でも分かるよ。そんな中で異端ともいえる存在の王女様だからな。」


カーミラがニヤリと笑った。


「妾なら女神すら黙らせる事も可能だ。まぁ、魔王様も出来ない事はないだろうが、女神が天界のどこにいるか分からないだろう。妾なら居場所は突き止められる。例えあの小娘だけでも助ける事は可能でも、元凶である女神を駆除しなければ、ずっとあの国から攻められるだろうな。それこそ神託で国民総動員でなりふり構わず襲ってくるやもしれん。」


くそぉぉぉ・・・

カーミラの言いたい事は分かる。

そしてあのクソ女神を早々に黙らせるにはカーミラの協力が必須でもある。

今のところ、天界に行けるのはこの世界では俺とカーミラしかいないし、この世界以上に広大な天界にいる女神の居場所を追跡出来るのはカーミラだけだ。


だけどなぁ・・・

カーミラにお願いをするのは・・・


「どうした、魔王様よ?妾にお願いをするのは嫌なのか?ほれほれ、素直に妾に頼むのだ。だけど、神殺しまでするお願いだからなぁ・・・、普通の報酬じゃ納得しないからな。」


(く、くそぉぉぉ・・・、足元を見やがって・・・)


だけど、あの王女様もなぁ・・・

散々女神に利用されて最後はポイって!

何か俺の母親と同じ人生を送っている気がしている。母親は最後まで俺の事を大切にしてくれたが、母親自身の幸せは無かった。

王女様もそんな目に遭うと思うと・・・


幼かった俺は母親に何も出来なかった・・・

そんな人を少しでも減らしたい・・・

今の俺にはそれだけの力がある。


そして・・・


カーミラの言いたい事は分かっている。



カーミラはいつもあんな軽い感じだが、あいつ自身も本当は・・・






(腹を括るか・・・)






女の1人や2人、幸せに出来ないで何が男だ!

まとめて面倒を見てやる!



「カーミラ、頼む!お前のお願いを何でも聞いてやるからな!」


「な!何だと!『何でも言う事を聞いてくれる』のか!本当にだな?」


真っ赤な顔でカーミラが俺を見ているよ。

どんな想像をしているのか、この表情ですぐに分かるけどな。


「本当だ。」


「取り消しは効かないぞ!本当にだな!」


「あぁ、あの王女様が可哀想過ぎるよ。どうしても救ってやりたい・・・、そして、カーミラも・・・」


真っ赤な顔のカーミラだが、プイっと横を向いた。

そんな態度も可愛いけどな。

その横でシャドウが俺とカーミラのやり取りを微笑ましそうに見ている。

「まるで恋人みたいですね。」って・・・


「分かった、魔王様よ。その約束は当日まで取っておく事にするぞ。あの女は女神の依り代であろうが、単に王女様の監視だけの時は魔力を追っていけん。王女様に何かをする時は必ず女神の力を使うだろう、その時がチャンスだ。妾がその魔力を追い天界にいる女神本体を叩き潰してやろう。」


ニヤリとカーミラが笑った。

この時の表情の彼女は本当に心強いと思う。



さぁ!クソ女神!首を洗って待っていろよ!




話は元に戻る



「きゃはははぁああああああ!雑魚が!神に逆らう雑魚共が!どんなに頑張っても私に勝つのは不可能よ!雑魚は雑魚らしく死になさい!」


かんに障る甲高い声だ。この女神の声は聞けば聞く程に不快になってくる。

もう、さっさと終わらせよう。


「キュア!」


呪文を唱えると王女様の体が白く輝いた。


「これは・・・、体が動く!ありがとう、助かった。」


「クリエイト!」


別の呪文を唱えると今度は青く輝いた。


「嘘・・・、魔王様って神様以上なのか?」


ゆっくりと王女様を下ろしマントを外した。さっきまでは男達に下着まで破られ全裸だった状態が、今は青い豪華なドレスを着ていた。

スタイルはカーミラとタメを張れる程に素晴らしい!

カーミラは蠱惑的な感じのスタイルだが、王女様はとても煌びやかで清楚な感じがする。

ここまでの美しさとは想像もしていなかった。


「やっぱり鎧姿よりドレス姿が似合うよ。こうやって立っていると王女様の方が女神様に見えるくらいだよ。」


「そ、そんな恥ずかしい・・・」


う~ん、照れている王女様も可愛いな。

この姿なら王女様でなくても女王様になっても問題無い。それくらい美しい存在だよ。


(この美しさは確実に女神を越えている。まぁ、カーミラもだけどな。)



「貴様!何を余裕をかましているんだよ!」


おっと!男共の事を忘れていた。


「バインド!」


「「「うっ!」」」


男達の足元から黒い触手みたいなものが湧き出て全身に巻き付いた。


「く、くそ!貴様!この俺様に無礼を!さっさと解放しろ!」


ふふふ・・・、無駄だよ。お前達ではどう頑張っても抜け出せない。

しっかし、こいつら自分の立場ってのを分かっているのか?

いくら女神が傍にいても、まず助けてくれる訳がないのに・・・


五月蠅いし・・・


「「「ぐぐぐ・・・」」」


バインドの触手を変化させて猿ぐつわを噛ましたから、これ以上は騒げないだろう。


(さて、どうしようかな?)


「こいつ等は女神の力で死ぬ事もなさそうだけど、使い道が無さそうだな。かと言って無意味に血を流す事も嫌だし、ていうか!クズらしく最高の地獄を見せないとな!」


ピン!と閃いた!


指を鳴らすと俺の後ろに魔法陣が浮かび上がる。


「「「お呼びでしょうか?魔王様!」」」


魔法陣から3人の人影が現われた。

サキュバス族のヤナ、オーク族のメリー、アラクネ族のミランダ、3人の美女が俺の後ろで膝を付き頭を下げていた。

振り返り3人に視線を移す。


「う~ん、お前達にプレゼントしようと思ったけど、どうかな?」


ヤナが頭を上げて俺を見つめていた。

「魔王様、人間は食料にしてはいけないとお決めになったのでは?いたずらに人間と敵対しないようにとの事で・・・」


「あぁ、それは大丈夫、コイツ等はクズの中のクズだし、生かす価値が無いからな。ただ殺すだけでは勿体ないだろう?お前達なら出来る限りギリギリまで殺さずに拷問出来るしな。遠慮はしなくて良いぞ。」


「畏まりました。魔王様のお望みのままに・・・」


3人がジッと男達を見つめて、各々が1人ずつ男の腕を掴んだ。


ヤナは

「この男をもらいますね。ふふふ、快楽も限度を超えれば地獄に変わる事を教えてあげましょう。我ら精鋭を相手にどこまで耐えられますかね?思う存分絞り尽くせるなんて、こんな餌を与えてくれた魔王様に感謝します。」


メリーは

「私達オーク・クイーンも最近は男遊びが出来なくて弱っていたのです。他種族の男なら妊娠する事はありませんし、心ゆくまでクイーン達全員と楽しませてもらいますね。絞りカスになっても食料として最後まで美味しく食べられますし、あぁ~~~、ウズウスします。」


ミランダは

「人間の養分は最高の子供の餌ですからね。子供達にご馳走を与えられるなんて・・・、魔王様、感謝します。子供達の嬉しそうな顔が浮かんできます。子度達には少しづつ食べさせますから、なかなか死なないように苦痛を出来るだけ長引かせます。ヤナさん、絞りカスは私達が美味しく食料にさせていただきますから、遠慮しないで絞り尽くして下さいね。」


「喜んでくれて何よりだ。」


パチンと指を鳴らすと、3人が男達と一緒に姿が消えた。


「魔王様、何をしたのだ?」


王女様が不思議そうに俺を見ている。


「簡単だよ、アイツ等には死すら生温いお仕置きを与えただけだ。王女様を傷物にしようとしたんだ、不敬罪なんか生温すぎる。徹底的に地獄を味わってもらう事にしただけさ。」


「そ、そんな・・・、私の為に怒ってくれたなんて・・・」


ギュッと俺の腕に王女様が抱き着いてくる。


(こ、これは・・・)


王女様の胸が俺の腕を包みこんでいるよ。

王女様の顔がちょっと赤いからワザと胸を押し付けているな?


とても恥ずかしいけど、凄く嬉しい・・・



「き、貴様等・・・」


あ!女神の事を忘れていた。


ギリギリと歯ぎしりをしながら、とてつもなく鋭い目で睨んでいる。

美人が台無しだな。


まぁ、あれが女神の本性だろうな。




さて、次は女神の番だ。



容赦しないから覚悟してもらおう。


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