幕間 ―守られるもの―
◆◆ヴァルキア邸◆◆
一日の終わり、明かりを消し、寝入る直前。
「お姉ちゃん、勇者様達いつ帰ってくるかな」
アオイがもう何度目かわからない呟きを漏らす。
あれからしばらく経ったが戦地の情報はあまり流れてこない。
だだ、四天王の一人を倒したということだけは新聞で号外が流れており、王都中に伝わっていた。
勝利の情報を多くの人が喜ぶ中、私達は勇者がケガをしたという情報にひどく悲しんだ。
その後、完治して次の戦場に向かったと聞いて安心したが。
「きっともうすぐよ。勇者様はすぐに帰ってくるわ」
自分に言い聞かせるように言う。大丈夫、みんな生きて帰ってくる。お父さんやお母さんのようにいなくなることは無い。だから、私なりに今を一生懸命頑張るのだ。
アインが私達の様子に気づいたのか近くに寄ってくる。その温かさは安心感を与え、悲しみを紛らわしてくれる。
彼も寂しいだろうに、私達をずっと優しく見守ってくれている。
素敵なナイト様だ。
「アイン。ありがとう。貴方も心配よね」
彼を撫でるとそうだとでも言うように頭をすり寄せてきた。
恐らく、アインは戦場に一緒に行きたかっただろう。彼にはその力がある。
だが、彼はここに残った。私達を守るために。
その想いを踏みにじるわけにはいかない。二人の頭を撫でつつ気合を入れた。
一家の主が不在ならば留守番組で一番年長者が頑張らなくちゃいけないのだから。
◆◆王都孤児院◆◆
子供達は勇者様の不在を寂しがっている。ここ最近はどこか元気がないのがはっきりとわかる。
「ねえねえ、勇者様いつ帰ってくるのー」
「ああ、もうちょっとしたら帰ってくるさ。だから、それまではおっちゃん達とアイツの帰りを待とう。ほら、今日は木のうまい削り方を教えてやるよ、かっこいい聖剣作りたいだろ?」
「え、聖剣!?作りたい!!どうやってやるの!?」
「まあ待て待て、かっこいい聖剣は落ち着かなきゃ作れないぞ」
院長室からそれを見ていると商店街の人達がそれをあやし、元気づけているのが見えた。
あのお祭りの後、このような光景がよく見られるようになった。
勇者様が繋いだ縁。それは、彼が不在でもしっかりと残っている。
彼は好青年と呼ぶにふさわしい人だろう。
子供達は皆彼を慕っている。それに街の人達も彼をずっと心配している。
戦場で華々しく活躍するのはとても素晴らしいことだろう。だが、私にとっては彼の命のが大事だ。
どれほど無様でもいい、死ぬくらいなら生きて逃げ帰ってきて欲しい。
今の私達にとっては彼が勝利を掴んでくるより、そちらの方がはるかに重要なのだから。
ちょっとここ数日鬼のように仕事を振られたので次の更新は土曜日になるかもしれません。




