260. 水桶(?)の代償
260. 何人も、(川や運河から水を引くために使用される)撥ね釣瓶または犁を盗むに於ては、金子3シケル償ふべし。
If any one steal a shadduf (used to draw water from the river or canal) or a plow, he shall pay three shekels in money.
260.人が水桶または馬鍬を盗むに於ては、銀3シケル償ふべし。
If a man steal a watering-bucket or a harrow, he shall pay 3 shekels of silver.(Harper translation)
260. shadduf:"shadoof"または"shaduf" とも。「槔」または「橰」の漢字あり。水桶・錘を天秤棒の両端に取り付け、水源近くに支点を据えた水汲み機。外観はシーソーに桶・錘が付いた形で、水の重量に錘が釣り合うため、楽に水汲みできる。原理はエレベーターそのもの、但し動力は人力。ご存知ない方のために載せた挿絵は、エドワード・モースが大隅地方の農家を描いたもので、今となっては貴重な1枚。
もっとも、盗まれた品目をキング版は"a shadduf or a plow"、ハーパー版は"a watering-bucket or a harrow"、佐藤先生は「開墾鋤または馬鍬」とされていて一致しない。犁は牛馬に牽かせる耕耘機、鋤は和式シャベル、馬鍬は牛馬に牽かせる熊手の1種。ハローは熊手のトゲトゲが複数列並ぶので、大きさはプラウに匹敵する。「盗む」というのは、実際には無断拝借が多かったのであろう。撥ね釣瓶で揚水したなら、バケツ部分はどうしても傷みが来る筈で、しかし木材はレバノンからの輸入品。気軽に修理交換もできず、人様の物をコッソリ拝借に及んだか。ハローに至っては牛に繋いで使ったので、使い終わって放置していたら、何処かの牛追いが自分の牛に繋いで持っていったとか。まあ根拠はないので勝手な夢想である。
円匙シャベルの普及で見なくなった「鋤」は、用途も形格好も似たようなもので、但し木製品ゆえ刃が着かないものと思えばよい。




