表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/33

第4話

「さて、これからどうしようかしら?」


 私はるんるん気分で1番近くの街にやってきた。


 しかし、何やら活気がない様な気がする。


「どうしたのかしら?」


 私は近くを通りかかった人の良さそうなおばさんに声をかける。


「あの、すみません。

この辺に質屋ってありますか?」


 まずはお金を作って、家を借りるところから始めなくては。


 しかしおばさんは困った様に答えた。


「お嬢さん、随分身なりが良さそうだけれど、この辺の質屋はぼったくりばかりだからお勧めしないよ。

治安も悪いしね」


 この辺りの近くは、確かブラウン家が統治している筈である。


 屋敷にいた頃は特に街の治安が悪くなっているなんて話聞いたことないのだが。


「この辺はいつ頃から治安が悪くなったんですか?」


「10年ほど前くらいはまだ良かったんだけどね。

ブラウン家の娘の、確かレイラお嬢様だっけか?

その子の我が儘で税金は高くなるわ、給金は減らされるわ、宝石なんかの金目の物は全部献上させられるわで困ったもんだよ」


「え?」


 何だその話は?


 私はそんな我が儘を言った覚えなどない。


 そもそも私は女だから政治に口出すなと街にすら出させて貰えなかった。


 しかし、大体話しは読める。


 恐らくユーリが色々我が儘言って、それを全部私に擦りつけていたのだろう。


 ユーリは宝石とかも好きだったし、金遣いも荒かった。


 その皺寄せが街に来ているという事か。


「大体分かりました。

ありがとうございます」


 私はそうおばさんに会釈して更に街の奥へと進んでいった。


 奥に行けば行く程荒れている様が伺える。


 すると、1人のごろつきの男に声をかけられる。


「おいおいお嬢ちゃん、そんな良い格好して1人でうろついていたら危ないぜ。

俺みたいなのに襲われちまうからさ」


 そう男は私にニヤニヤと近寄ってきた。

 威勢はいいが、恐らく私と同じくらいの年齢だろう。


「あなた、宝石は好きかしら?」


 私は冷静にそう尋ねる。


「ああ?

金目のもんなら全部好きだぜ?」


 私はポケットからゴソゴソと大きいダイヤのついた指輪を差し出す。


「これあげるから、この街で1番信頼出来る質屋に連れてってくれないかしら?」


「なっ!これ本物か!?」


「信じられないなら質屋に見て貰った方が確実でしょ?

それに、ちゃんと案内してくれたら更に報酬を出すけれど」


 すると、先程と打って変わって男は態度を変えた。


「本当か!?

ならいい所に案内してやるよ!」


 そう男は目を輝かせてスタスタと歩き出した。


 私は内心ヒヤヒヤしたが、何とか上手くいった。


 この男に仲間とかは居ないのか、はたまた宝石を独り占めする為に裏切ったのか。


 私に話しかけて来た時、ポケットに手を入れていたのは、ナイフだろうか?

 脅して金目の物を奪うつもりだったのでは?


 でもそれなら私をすんなり質屋に連れて行ってくれるだろうか?


 そんなまどろっこしいことをせずに、最初から襲ってしまえば、全部金目の物を手に入れられるのに?


「ねえ」


 私は前を歩く男に話しかけた。


「先に言っておくわ。

私はレイラ・ブラウンよ」


 男はびっくりする様な表情をしたが、すぐに笑い出した。


「はっ!

あんたがあの悪女のレイラ・ブラウン!?

お嬢ちゃん、嘘つくならもっとマシな嘘つきなよ!」


 どうやら信じて貰えてないようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ