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第3話

「ここにいる方って馬鹿ばっかりですよね?

可愛い女の子にコロッと騙されちゃう様な!」


 私はそう叫んで笑ってやった。


 どうせもう何を言っても遅いのだ。


 なら思う存分、今まで我慢していたことを洗いざらい吐いてしまおう。


「みんなして他人の目を気にして、かちこちのマナーで縛り付けられ、決まった相手と結婚して、特に産みたくもない子供を産んで、一生を血筋に囚われる!

そこには一体何の価値があるのかしら」


 私は誰に言うでもなく大声で叫んだ。


「誰か!レイラを捕まえろ!」


 父の叫びに近くに居た執事やメイドに私は取り押さえられる。


「お前みたいな恥さらし、もうブラウン家に置いておけるか!

お前は今日を持って勘当だ!」


 そう父が叫び、私は自室まで連れて行かれた。


 すると、母も自室にやってきた。


 私は思いっきり平手打ちを喰らう。


「あんたのせいで何もかもめちゃくちゃよ!

とっとと荷物を片付けて出てって頂戴!」


 それだけ言って母はまた大広間の方へと戻っていった。


 その後に事態を聞いて駆けつけたメイド達が私の元へ寄って来た。


「レイラお嬢様!

大丈夫ですか!」


「またユーリお嬢様の仕業ですか!?」


 私はメイド達に頭を下げる。


「ごめんなさい、私、もうブラウン家の者でなくなるの。

だから貴女達も、こうなる前にうまく逃げなさい」


 するとメイドの1人に抱きしめられた。


「そんな!レイラお嬢様のお陰で私たちこのお屋敷にいられたのに!」


 私はそのメイドを優しく宥めた。


 ユーリは下っ端のメイド達には容赦なく色んな悪行を働いていた。


 それを見つけては、私がさりげなくフォローしていたお陰で、私は下っ端のメイドからの信頼は厚かった。


 しかし、私がこの屋敷を追放されたら、もう彼女たちを救ってくれる人はいない。


 私はそれが唯一の気がかりだった。


「レイラお嬢様はこれからどうするんですか?」


 メイドの1人がそう涙ながらに聞いてくる。


「当分はこの宝石やドレスを売って、後は適当に働きながら暮らすわ」


 私はそう言って出来る限りトランクにありったけの金目になりそうな宝石類やドレスを入れていく。


 働いた事などないが、私は一応刺繍は出来るし、家事もメイド達のを見てやり方ならちょっとだけ分かっているつもりだ。

 後は気合でどうにかするしかないけれど。


「レイラお嬢様、私たちも一緒に出て行きます!」


 そう言うメイドに、私はダメよと冷たく言った。


「私の味方なんて、世間にはいないもの。あなた達まで危害が加わったら、そっちの方が悲しいわ」


 そう私はメイドの申し出を断った。


 そして大きめのトランクを2つ持って、私は屋敷を出て行った。



 きっと、ユーリはさぞかし喜んでることでしょうね。


 でも、お陰で私は屋敷の生活からおさらば出来る!


「ああ、今日は何て良い日なのかしら!」


 私はそう鼻歌を歌いながら街の方目指して歩き出した。

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