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第28話

「アンドリューが悩んでいたのってその事だったの?」


 私は帰る途中アンドリューにそう聞いてみた。


「ああ、やっぱり俺はどうにも納得出来ない。お前は恨んでないのかよ?」


 そう聞かれて私は今までの事を思い出す。

 ユーリから色々酷い仕打ちにあって来たし、私の知らない所で私は悪者扱いされていたし、思い出せば出す程良いところなんてない。


 でも復讐したいと言うよりは……


「恨むというより、もう関わりたくないって気持ちが強いかしら。

それに、あの屋敷を出れたのも結果的にはユーリのお陰だし、そこだけは感謝してるわ」


「ふーん、そんなもんなのか」

「それに、アンドリューにも、他にも色んな人達に会えたしね!」


 そう言うと、アンドリューは少し顔を赤らめた。


「あっそ、なら良かったな」



 一方、ニュースでは未だにレイラの悪行が流されていた。


「もう私も追放されて一ヶ月程経つけど、ブラウン家って馬鹿なのかしら?」


 私は首を傾げた。追放された事も勿論ニュースになっていたが、その後もずっとこの調子である。

 きっと私の音沙汰が無いから、死んだとでも思ってるのだろうか。


「まあいいや、放っておこう」


 レイラはあまり深く考えていなかったが、街の人達は段々と怒りを覚えていた。


「まーたレイラお嬢様の悪口だよ」

「あのレイラお嬢様がこんなこと言うなんて思えないな」

「どうせこれも全部嘘っぱちだろ?

ブラウン家は実の娘の株を落として何がしたいんだか」


 そう次第に民衆はニュースに関心を持たなくなっていった。


 休みの日に私が市場へ行くと、みんなこぞって声をかける様になった。


「よおレイラお嬢様!野菜はどうだい?」

「私もうお嬢様じゃないってば」


「おーい我が儘お嬢様!うちの魚買ってかないか?」

「またぼったくろうとしなければね」


「あらレイラちゃん!今なら少しまけちゃうよ~」

「あらありがとう!」



「お前、大分モテてんだな」

 

 そう隣に歩くアンドリューに言われる。


「まあ、元々知名度だけはあったしね」


 しかし、最初は冷たかった街の人達がこうも優しくしてくれるのはありがたい話である。


 それから暫くして、裁判長からあの法案が通ったと連絡が来た。

 程なくして全ての貴族達の権力は前よりも落ち着いていったのだ。


 勿論、ブラウン家もその例外ではなかった。



「くそッ、何なのよあの法律!

一体何処の馬鹿が考えたのよ!?

しかも過半数以上が賛成だなんて!

みんな頭おかしいんじゃないの!?」


 そうユーリは自室でブチ切れていた。


「ダニエルの奴も金が無くなりそうだからって婚約破棄したいとか言い出すし、何なのよみんなして!」


 そんな時、ユーリの部屋のドアがバンッと勢いよく開いた。


「な、何よ急にっ!?」


「突然すまない、ユーリ・ブラウンであってるか?」

「何なのよあんたは!」


 すると入ってきた男性はクイっと帽子を上げた。


「警察官だ」


 そう警察官のおじさんはニッと笑った。

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