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第25話

「いや、何でもない」


 そうアンドリューは再び歩き出そうとするのを、私が手を掴んで止めた。


「でも、何だか顔が暗いわ。

やっぱり何かあった……」


 しかし、私の手をアンドリューはすぐさま振り解いた。


「良かったじゃんか、男爵に惚れられて」


「え?」


「俺みたいな元ごろつきの野郎といるより、よっぽど幸せになれるし、お前も元お嬢様だし、お似合いじゃんか」


 レイラは眉をひそめる。


「どうしたの急に」

「だからさ、早く男爵と結婚して、そしたら、男爵がお前を守ってくれるだろうし、俺みたいなやつと一緒にいなくてすむし、そっちの方がいいだろ?」


「何で?」


 私はアンドリューの言ってる事が分からなかった。


「何でってそりゃあ」

「私アンドリューと一緒にいたくないなんて思ってないよ?」


 私はそうアンドリューの目を見て答えた。


「はぁ?普通怖いだろ、お前の事殺すって言ったり、喧嘩くらいしか脳のない俺のこと」

「でも、守ってくれたじゃない。

それに、私アンドリューを怖いなんて思ったこと一度もないよ?」


 アンドリューはチッと舌打ちする。


「だからっ!俺と一緒にいるより、男爵と一緒の方が絶対良いだろって!」

「そんなの、どっちが良いかなんて私が決めることでしょ?アンドリューが勝手に決める事じゃないわ」


 私はそう自信満々に言う。


「私はアンドリューと一緒に居たいからいるのよ。

最初から言ってるじゃない。

私は逃げないって」


 それを聞いて、アンドリューは拍子抜けした顔をする。


「……あそ、じゃあ好きにしたら」

「言われなくとも好きにしてるわ」


 そうして二人はまた手を繋いで街へと戻っていった。


 街へ着いたらもう夕暮れになっており、アンドリューは路地へ帰っていった。


「じゃあアンドリュー、また明日!」

「……ああ、また明日」


 私はというと、メイド達が来てから一緒に小さなホテルを借りてそこに住んでいた。


「お嬢様、あのアンドリューという少年の事好きなんですか?」


 そうメイドに聞かれる。


「?

嫌いじゃないけど、どうかしたの?」


「だって、何処に行くにも一緒に行動してますし」

「それは、私の護衛?として来てもらってるけれど」

「それに手を繋いでますし!」

「それは、まあ名残りというか……」


 ちなみに実は殺すと脅迫されていた事は伏せている。


「身分差の恋って良いですよねー!」

「憧れちゃう!」


 そうキャッキャっとメイド達ははしゃぐ。


「身分差って、私もうお嬢様じゃないし、それに、アンドリューの事好きかも分からないし。

今は恋なんて言ってる場合じゃないしね」


 そう言うと、メイド達は何やらニヤニヤとし出した。


「いつかお嬢様の惚気話が聞ける様に祈ってますね」

「お嬢様、交際し出したら教えて下さいね!」


「え、ああ、うん」


 みんな恋話が好きなんだなーとレイラはそう思った。

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