02
「レーヴェさまが行方不明?」
早朝、予定よりもずっと早く到着した一団の中に、レーヴェさまの姿がなかった。
「そ、それが……ご到着と同時に両腕いっぱいにお土産をお抱えになられたかと思うと、止まり切っていない馬車から離脱。その後、制止する我々の声も青褪める侍女の悲鳴も振り切ってどちらかへ駆けて行かれまして……」
急停止した馬車から護衛の者が降りた頃にはもう、影も形もなかったらしい。
報告に来た一団は動揺と混乱から半泣きだ。
「まさかこれほどお転婆な方だとは思わず、申し訳ございません」
あら、まあ……。
目を丸くするわたくしの横で、殿下は声も出ないのかしきりにこめかみを揉み解している。
「殿下、どういたしましょう?」
「放っとけ」
「殿下ったら……」
声に含まれた怒気が漏れている。
「とりあえず、陛下にご報告を――」
――ばあんっ! と。響いた破壊音に一斉に振り返る。視線の先には、両腕いっぱいにお土産を抱えたレーヴェさまが、満面の笑みで立っていた。
王宮内の至る所に設置された隠し通路の一つ、その出入り口が開いていた。……なぜ、わざわざそんなところから?
レーヴェさまはまっすぐな金糸の髪を高い位置できっちり纏めている。凛とした青い双眸は理知的で、如何にも才女といった面立ちをした女性だ。しかし浮かべる表情には少女のようなあどけなさがあり、その落差で幾人もの殿方を骨抜きにしてきた魔性でもある。
ぶちぃ、と聞こえたのは多分、殿下の堪忍袋の緒が切れる音。せっかく揉み解したこめかみには、さっそく青筋が立っている。
そんなわたくしたちに、レーヴェさまは笑顔のまま駆け寄ってきた。
「お久し振りです、叔父さま。しばらくお世話になりますわ。アイリーンさまも、お久し振り。とってもお綺麗になられたわね。あ、そうだ、ご結婚おめでとうございます。お父さまからのお手紙でお話は色々と聞いていますわ。お幸せそうで何よりね。叔父さまが旦那さまではたくさん苦労されると思いますけれど、どうか見捨てないで差し上げてね。アイリーンさまに見捨てられたら、こんな柄も口も悪くて意地悪なおじさんなんてお先真っ暗真っ逆さまに違いないんだから。あ、これお土産です。じゃあ私はお父さまとお母さまへ挨拶しに行ってきますね!」
早口でそう言って、抱えたお土産を丸ごと殿下に押し付ける。そしてあっという間に西の離宮へ行ってしまった。
返事どころか相槌を打つ暇もなかった。嵐のような方だ。
「お元気そうで、何よりですわ……」
「戻ってきたら殴る」
ぽかん、としてまたもレーヴェさまを見失ったことに、まだ誰も気づけていない。
「将軍、レーヴェさまが行ってしまいましたわ」
声をかけると、なぜか一団の奥の方で視線を逸らしていた人物が、げっ、と呻いた。
しかめ面のまま数人に指示を出し、レーヴェさまの後を追わせる。
「失礼いたしました殿下、……妃殿下」
「ものすごく嫌そうに言いましたね、今」
「アイリーン知り合いか?」
エヴァン・アスセーナ将軍。国が抱える軍で、主に北方の国境警備に当たる第三軍を任されている傑物だ。
鋼のような筋肉に覆われた巨躯と、真一文字に結ばれた唇、厳しい眼光を宿す瞳。立っているだけで子どもが泣き出すような容姿は、実際に幾人もの幼子を号泣させている。その威圧感は、歩けば自然と人が道を譲るほど。
「お父さまのご友人ですわ」
「お言葉ですが、あの男とは何でもありません」
「このように、大変な恥ずかしがり屋さんでいらっしゃいます」
「妃殿下!?」
後ろで聞いている部下の方々は、青くなったり白くなったり大忙しだ。将軍とわたくしを交互に見ては目を白黒させている。
将軍は北の暴れ熊と称される。容赦のなさと厳格な性格から、北の国境では恐怖の代名詞として名を轟かせていると聞く。そんな人物が女であるわたくし相手にしどろもどろになっていれば、それは目を回したくもなるだろう。
「お父さまからは久し振りに一献交わしたい、と連絡が来ておりますのよ」
「妃殿下、なぜ連絡などされたのですか!? 私はあれに会いたくないのです!!」
「近いうちに王都に出てくるそうですわ」
「妃殿下!?」
将軍の悲鳴のような声に、後ろの面々がさっと顔を逸らした。見ればわずかに肩が震えている。
「アイリーン、カサンドラ卿にそうしょっちゅう領地を空けてもらっては困るのだが」
結婚式以来、お父さまは何だかんだと理由をつけて王都に遊びに来がちだ。娘と会える喜びを再確認し、また、兄がずっとわたくしに張り付いていることが羨ましくなったらしい。とはいえ主たる目的は、殿下への再戦の申し込みだ。
「殿下が負けて差し上げれば、父も落ち着きますわ」
「そうするとあなたに褒めてもらえない。却下だ」
「では殿下、諦めてくださいまし。将軍も、父がこちらに着いたらぜひ旧交を温めていらしてね」
「妃殿下、お願いですから私の話を聞いてください」
ここで、部下の一部が限界に達した。ぷふ、と最初に吹き出したのは誰だったか。一人が崩れるとあとは芋づる式に笑声が弾けた。すかさず将軍の鋭い眼光が振り向く。ぴたり、と背筋を伸ばして誤魔化す様が可笑しくて、今度は殿下が笑った。
「そろそろ移動しようか。将軍、部屋を用意してある。報告はそちらで聞こう。個室の方が照れずに語れよう」
「殿下、ご容赦ください……」
到着した頃よりげっそりした将軍が部下を散らした。ほとんど蹴散らすような勢いで指示を飛ばす将軍に、殿下の肩がまた震える。
「そういえば……殿下、到着後すぐレーヴェさまを追って行った若いのが一人、戻っておりません」
「隠し通路の迷宮で迷子だとすると……見つかる頃には干乾びているかもしれんぞ」
「……骨だけでも故郷に帰してやりたいので、捜索をお願いできますでしょうか」
「ふはっ! わかった、捜させよう」
部屋までの移動中も、殿下の肩はずっと震えていた。
◇
王宮内、特別なお客さま用に整えられた一室にて、
「信っっっじられない!!」
レーヴェさまの旋風のような嘆きが反響した。西の離宮から戻ってきた時は、踊り出しそうなほどご機嫌だったのに。
「もう! どうして喧嘩していないの!?」
「喧嘩すりゃ兄夫婦に叱られ、仲直りすりゃ姪に文句言われんのか俺は!? 勘弁しろ!!」
宣言通り、レーヴェさまに殴りかかろうとした殿下の腕に縋りついて止めたわたくしを見て、その表情は笑みのまま凍りついた。
どうやら殿下は、わたくしと仲直りした件を陛下にお知らせしていなかったようで。離宮での陛下たちとの会話でわたくしたちが喧嘩していると思ったレーヴェさまは、お互いの旦那さまの悪口大会を催そうと決めたらしい。結婚祝いはあくまで口実。実際は、旦那さまへの積もった不満が爆発して飛び出してきた、ということだったとレーヴェさまが先ほど叫んでいた。
期待を裏切られ、当てが外れ。旦那さまへの悪口大会は丸ごと殿下への八つ当たりにすり替わった。
「アイリーンさま! どうして許してしまったの!?」
ついでに、わたくしも遠慮なく嘆かれている。
「どうしてって……わたくしの番犬を撃退した殿下が、とってもカッコ良かったんですもの」
「これだからカサンドラは!!」
頭を抱えて反り返る姿は、絶望の底にいる様を強烈に表している。
「レーヴェさま、お話でしたらお聞きしますわ」
存分に愚痴ってくださいな。そう言ったわたくしへの反応は、見事に真っ二つに割れた。
パッと表情を輝かせたレーヴェさまと、うっそだろこいつ、と言わんばかりに瞠目した殿下が、それぞれ席についた。
「旦那さまったらね!」
びっくりするくらいの急展開に、さすがのわたくしも口端がわずかに引きつった。前置き無し、いきなり本題から始まった。
「わたくしを放ってお仕事ばっかりなの! 三日も口を利いていませんのに、気づいてもくださらないのよ!!」
「まあ、それは寂しいですわね」
「そうなの! 寂しいの私は!」
殿下は早くも遠い目をして虚空を見つめている。それは、いくら何でも飽きるのが早すぎだと思う。
「男性はお仕事に夢中になると、真っ先に女を後回しにするのよ。アイリーンさまも気を付けてね」
「ふふ、ですって殿下」
好都合だと殿下に話題を振る。途端に渋面をつくった殿下は、わかりやすく困っていた。勘弁してくれ、と表情が物語る。
「あなたを後回しにしたことなどないだろう?」
「今後はわからないわよ、ね? アイリーンさま」
「レーヴェ、やめろ。アイリーン、話半分で聞け。ろくなことを言わんのだこいつは」
ふふ、と笑みがこぼれる。
「騎士団の一角を任されるような殿方ともなるとお忙しいのね。第六班の隊長さまだとか」
「そうなの。仕事は主に第二王子の護衛なのだけれど、こき使われているみたい」
北は王子が六人いる。まだみな若く、第一王子でも十六だ。
仲はあまりよろしくないという噂だ。護衛する側もさぞ気を遣うことだろう。
「第二王子さまはあまりお体が丈夫でないと聞きますわ」
その言葉で、またレーヴェさまが頭を抱えた。
「ほとんど宮に引きこもっていらっしゃるだけの王子さまなのに! 私から旦那さまを取り上げるほどのどんな立派な仕事があるっていうのよ!!」
「体調を崩すと心細くなると言いますもの。どなたかにそばにいて欲しいのかもしれませんわ」
「私の旦那さまである必要はないじゃない! 私だって今! まさに! 心細いのよ!!」
まあまあ、とティーカップを渡すと、乱暴に取り上げぐい、と飲み干す。叩きつけるように置かれたカップがソーサーとぶつかり悲鳴をあげた。
「私から旦那さまを取り上げるなんて酷いわ。これならまだ第一王子付きの騎士の方がマシよ」
今度はしくしく泣きだした。……お茶を飲んだのよね? お酒ではないわよね?
思わず自分のティーカップの中身を見つめてしまう。その様子を見ていた殿下が口元を押さえてさっと顔を逸らした。震える肩で、笑いを堪えているのだとわかった。今日の殿下はちょっと笑い過ぎだと思う。
「第一王子さまは騎士さまにお優しいのですか?」
「喧嘩っ早いし乱暴だし性格は最悪よ。でも煩わしがって騎士をあまり寄せ付けない方だから」
「あいつまだ生きてんのか」
ふいに、殿下が話に加わった。さっきまで笑いを堪えていた方とは思えない、見事な切り替えの早さに内心で舌を巻く。
「生きてるわよ。しょっちゅう問題を起こしてるけど、狡賢いからうまく逃げ回ってるわ。……体も丈夫だし」
「殿下、ご存じですの?」
「鉱山での研究に興味を持って寄ってきた連中の一人だ。態度が悪いんでぶっ飛ばした」
……他国の王子さまをぶっ飛ばしてはいけません。
「で、殿下……それ、大丈夫でしたの?」
「しょっちゅう喧嘩を売りに来るようにはなったが、それくらいだ。毎回ちゃんと買ってやっていたが、特に害はなかった」
「夢中になると周りが見えなくなるタイプだから、研究のこと放って叔父さまと喧嘩しに行ってたみたいよ。護衛の騎士が泣いてたって」
どの辺が大丈夫なのだろう、と首を傾げる。仮にも一国の王子が鉱山の研究員と毎回のように喧嘩してはダメだろう。そんなことが続けば、なるほど騎士も泣きたくなる。殿下も律義に全部の喧嘩を買わなくてもよろしいのに。
「殿下、その喧嘩には勝ちましたの?」
「アイリーンさま、気にするところはそこではないわ」
「勝ったぞ。全勝だ」
誇らしげな殿下に、わたくしも微笑む。
「さすがはわたくしの旦那さま」
「アイリーンさま、そうじゃないわ。そうじゃないでしょう!?」
勝敗は大切だ。
深々と溜め息を吐き出すレーヴェさまが、付き合っていられない、とクッキーを頬張る。しかしクッキーでは気持ちが晴れなかったのか、嚥下の後また深いのを一つ吐き出した。
「もう、どうして男の人って喧嘩が好きなの?」
「わたくしのお兄さまも殿下と喧嘩してばっかりですわ」
「あら叔父さまったら、臣下をいじめているの? 嫌われるわよ」
「いじめられてんのは俺だよ」
最近、お兄さまは殿下へ渡るもの全ての上下を入れ替えているらしい。よほど暇なのだろう、と宰相さまへ密告したら、仕事が倍に増えたと泣いていた。それ以来、上下だけでなく前後も入れ替えて八つ当たりしているらしいので、密告の件は殿下には内緒だ。
「ふーん……あ、そうだわアイリーンさま」
「お前、俺の困り事には興味なしか」
「ありません。それでね! 今回の里帰りに連れてきた侍女なのだけれど、」
ぐいぐい、と腕を引かれ、壁際で控えている一人の侍女へ顔を向ける。
チョコレートブラウンの髪が美しい、可憐な娘だった。自分が話題にあがったことが恥ずかしいのか、頬がわずかに上気している。
「可愛らしいでしょう? まるで百合のような子なの。それに刺繍がとても上手でね、こっそり習っているのよ。アイリーンさまもいかが?」
「まあ、素敵ですわね」
「そろそろダリアの見頃でしょう? 次の刺繍は黄色のダリアにしましょうねって話したばかりなのよ」
「ぜひご一緒させてくださいな」
一つ褒めるたびにますます赤くなる姿が愛らしくて、レーヴェさまと二人、顔を寄せあって微笑む。
「まったく、姦しいことだな」
話がひと段落したわたくしたちへ、殿下がぼそっとそんなことを言う。
「あら、私たちでそんなこと言って、年嵩のご婦人はこんなものではないわよ」
「……アイリーン、機会があっても俺を呼んでくれるなよ」
肩を落として情けない顔をする殿下に、また笑みがこぼれた。わたくしも殿下のことは言えないかもしれない。今日はずっと笑っている気がする。とても楽しい。
「わたくしが呼ばなくても、他の方が呼んでしまいますわ」
「モテる男性の性ね」
ぴくり、と殿下の肩が跳ねた。次いで、鋭い視線でレーヴェさまを刺した。それを受けて、レーヴェさまがにっこり笑む。
「アイリーンさま、叔父さまは北方にいた頃、それはそれはおモテになったのよ」
「レーヴェ……!」
伸ばされた手を避けるように、レーヴェさまがわたくしの腕を引いて盾とした。迷いのない動きだった。何の躊躇もなく、わたくしを盾にした。酷い。しかし非難の目を向けるより先に、レーヴェさまが続ける。
「泣かせた女性も多かったようで、旦那さまの部下の中には本気で暗殺を企てる方もいたそうよ。残念ながら全て撃退されてしまったけれど」
「残念って何だお前! ……アイリーン、アイリーン違うんだ、いや確かにモテたが、」
「否定しないのね叔父さま」
そうなんだが、そうじゃないんだ。縋るような視線がこちらを向く。
「あちらでは叔父さまを待っている女性が大勢いると聞くわ」
「レーヴェ! お前覚えてろよ! アイリーン、誓って! 俺はあなた一筋だ」
おろおろする殿下が可笑しくて、また笑みがこぼれた。
「アイリーン――」
「残念でした。もうわたくしのものですわ。どなたにも差し上げません」
妻の立場も、殿下の心も、全てわたくしが独り占め。
「わぁお、熱烈ですこと」
茶化すレーヴェさまには返事をせず、殿下がぽかん、と目を丸くする。その顔に、じわじわと赤が広がった。
「あぁ、あなたという人は本当に……」
目元を手で隠して、殿下が深い溜め息をこぼす。
「叔父さまったら、アイリーンさまにはちっとも勝てないのね」
「こんなの放ってくる奥方に勝てるわけねえだろ」
二人の会話を聞きながら、わたくしは勝利の愉悦に浸って、しれっとお茶を飲む。
「お前もこれほど堪らんことを言ってやれよ。そうすれば旦那も放っておかんだろう」
「叔父さま、世の中には言っていいことと悪いことがあるのよ」
さっそく雲行きが怪しくなってきた。
ちらり、と視線を向けると、レーヴェさまのこめかみには青筋が立っていた。笑んでいるのは顔ばかり。怒髪天を衝いている。殿下は殿下で、目元を覆った手の下、口元がわかりやすく弧を描いていた。
「私への言葉選びは気を付けた方がいいわよ、叔父さま。私は、アイリーンさまの幼少期を知っているのよ」
「え……?」
「なるほど、お前に対する評価を改めよう」
「へ……?」
おかしい。雲行きがおかしい。
どうしてわたくしの幼少期の話になるのか。お茶を飲んでいる場合じゃない。
「お、お二人とも何のお話をしていますの?」
「アイリーン」
真剣な眼差しをした殿下が、ゆっくりとわたくしの肩に手を置いた。
「俺の兄とその妻はな、あなたの幼少期の話をしてくれないんだ」
だから何だというのでしょう。
眉尻を下げた悲しそうな表情が、わたくしの疑問をより濃くする。
「俺は、是が非でもあなたの幼少期の話が聞きたい」
「な、なぜそこまで……」
幼少期のわたくしの何が、殿下をそこまで駆り立てるのか。
「王位争いが面倒で逃げ出したが、失敗だったな」
それは、いつか聞いた言葉。
「幼少期のあなたを愛でる為なら、兄を蹴落としてでもこの国に残ったよ俺は」
――ものすごくカッコ悪い言葉だった。がっかりだ。
あの時、顔に熱が集中するほどカッコ良かった殿下が嘘みたいだ。残念過ぎる。こんな殿下は知らない。
「で、殿下……?」
「と、いうわけでアイリーン。俺は今から幼少期のあなたをじっくり愛でる。あなたは外に出ていろ」
言うなり回り込み、わたくしの体を抱き上げる。
「で、殿下!? 本気ですか!?」
「本気だとも。今ばかりはメレディスと時間を共有することも認めるぞ。存分に兄妹の仲を深めてくるといい」
殿下はずんずん進んでしまって、パニックに陥ったわたくしは抵抗もできず。
気づけば部屋の外に下ろされていた。
「それではアイリーン、また今夜」
「待ってください殿下!」
必死の言葉は虚しく響き、無情にも扉はぱたん、と音を立てて閉ざされた。
「う、うっっっそでしょう……?」
しん、と静まり返った回廊に、わたくしの声が寂しく響いた。




