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第1章 元エージェント


2020年、東京五輪前に東京都全体を巻き込んだ大規模バイオテロが発生した。このバイオテロには、新型の天然痘が使用された。政府は東京に壁を作り隔離し、民間人などを出入り禁止にした。バイオテロの混乱の最中、東京の治安は悪化。新たな武力組織が複数確認された。一方、この天然痘は、『子供は感染しにくい。』という特徴があった。そこで政府は『ブレイクエージェント』を設立。選抜されたな子供たちが対象になった。その1年後、東京の除染作業が終了したため日本政府は『バイオテロ終結宣言』を宣言した。それから2年後、、、




 俺は両手を縛られていた。足には銃弾を撃ち込まれていて動けない。目の前には生存者が縛られている。助けないと。

「我々がやらなければ、世界が終わる。残念だが、この感染者を『排除』する。」

 ヤバい、殺される!目の前で何の罪も無い人達が殺される!!

「やめろぉぉぉおおお!!」

『、、、レン君、レン君ってばぁー!!』

「はっ!!」

「どうしたの?そんなに汗ばんで?」

 それはただの夢だったようだ。俺は急いで時計を観る。時計は8時を指していた。

「やばい!学校遅れる!」

「ご飯作ってあるから食べて!」

 机の上に乗っかってるトーストを口の中に押し込む。ヤバい、み、水、、、。

「はい!水飲んで!!」

「、、、ぐはぁ!!」

 危うくパンで死ぬところだった、、、。俺は青木レン。元エージェントだ。今は都立高校の2年。勉強はギリギリで部活は入ってない。それで毎日俺を起こしに来るこの子は幼馴染の那須由香里。まぁ、どこにでもいる普通のJKだ。外見は、、、。

「ごめんね!危うく殺しそうになってしまいました!こ、これは死んでお詫びを、、、。」

 スカートの下についているホルスターから取り出したのは、シグザウアーのSIG P229。9×19mmパラベラム弾を使用する拳銃だ。って、早く止めないと!!

「おい、よせって!!俺は怒ってないっ!!」

「ダメなんです!!ここでお詫びさせて下さい!!」

「ほら、危ないからホントにやめろ!!」

 由香里の手からP229を離す。朝からごめんな、P229。

「じゃあ、体で、、、。」

「そういう事じゃないんだよ!?お詫びは良いんだって!!」

 今度は制服を脱ごうとする由香里を押えた。

「乱暴にしないでね、、、。」

「お前を止めてるんだ。止めろ。」

「そこまで言うなら、、、。」

 良かった、やっと止めた。なんか残念そうなのはどうして?って、ヤバい学校!!急いで制服に着替える。

「はい、マガジンに弾を詰めておいたよ。ついでにクリーニングも済ませておいたよ。」

「あぁ、悪いな。」

 由香里の手から俺のP229を受け取る。

「私とレン君の銃、お揃いだね。」

 ペアルックみたいに言うな。物騒だろ。

「さぁ、行くぞ。」

「分かった。」

 玄関の鍵を閉めて、学校に向かった。



 俺はスライムみたいに付いてくる由香里を自分の教室に行かせ、俺の教室に入った。

「ズドラートスラヴィーチェ、親愛なる同志。」

「おはようと言ってくれ。朝から物騒な事ばっかだな。」

 コイツは学校で恐らく1番ミリタリーな事に詳しい大川リョウだ。元エージェントの俺でも分からないような話をしてくる。基本、エージェントである事は周りには言わないが、コイツには言ってある。何だかんだで頼りになる協力者だ。でも、顔が強面で、テロリストみたいな顔をしてやがる。

「オタクんとこのシグザウアー調子どう?」

「まだ今日は撃ってない。てか俺なんか撃つことはもう滅多に無いからな。」

「一度兵士になった人間は、死ぬまで兵士だからな。気を抜くなよ。」

 物騒な事を言ってるが、コイツのいう事は正しい。確かにいつ、何が起こってもおかしくない。

『ガラッ』

 教室のドアが開いた。まぁ、誰でも良いだろう。と、思ったが足音はこちらに近づいてくる。

「イラつくんだよ!!」

「いや、何で俺!?」

 リョウの脚を蹴ったコイツは黒波菜々美。胸はまな板の腐女子である。

「お前何かムカつく!!」

「蹴るな!!まな板!!」

「誰がまな板だ!」

 あーあ、リョウ。火に油を注いじまったな。

「俺はまな板の方が好きだけどな!!お前とは言ってないが!!」

「気持ちわりぃんだよ!!バーカ!!」

 朝から教室でストリートファイターが始まってるんだが。ってもう少しで授業が始まる。俺は自分の席に着いた。


「出席!3秒以内に席つけな。」

 コイツは俺達のクラスの担任、大越汐里だ。額に傷があり、どこからどう見てもアル中だ。「あぁ、手が震える」とか言ってやがる。ヤバい薬でもやってるのか?教室がザワザワしてきたな、、、。これはマズいぞ、、、、。

『パァン!!』

「うるせぇ!!花畑に送ってやろうか?」

 担任は、元自警団でシルバーのM92Fを所持している。M92Fは、イタリアのベレッタ社が開発した9×19mmパラベラム弾を使用する拳銃だ。担任は普通に生徒に拳銃を向けるのだ。教室は一瞬で静まり返る。

「ハハッ!!良い気味だ!!」

 なんでこんなヤツが教員になれたんだ?アウトブレイクで日本は頭おかしくなったのか?俺は朝から最悪な気分だった。


 やっと昼食だ。あーあ、腹減った。学食で俺とリョウが定食を食っていると、

「やぁ、レン君。リョウ君。混ぜてもらって良いかい?」

 とんでもない美少年が地味な俺たちのテーブルに座ってきた。彼は渡辺鏡介。現役の天才エージェントだ。頭も良くて美少年とか神かよ、、、。すると次は、

「ヤッホー、『イージス・ミリタリー・サービス』のセールスだよー。鏡介さんにご案内に上がりました!」

 篠原明音だ。テンション高めのJKなのだが、コイツもヤバいヤツだ。武器屋でアルバイトをしている。武器屋は国の許可があれば販売して良い事になってる。もちろん限られた人間だけだが。

「もう昨日パラベラム弾を買ったよ?1箱?」

 鏡介は困った顔をして、明音のセールスを追い払おうとしている。可哀そうだな、鏡介、、、。

「ほら、鏡介は要らないって言ってるんだから帰れよ。」

「営業妨害で訴えるよ?」

「迷惑防止条例で捕まるぞ。帰れ。」

「レン君、何か買よね?」

「帰れ。」

 明音はションボリしながら帰っていった。ザマァみやがれ。

「あー、俺は何か買えば良かったなー。」

「お前は買えねーよ。」

「フッ、そうだったな。」

 何だコイツ?買えないのに笑ってやがる。気持ち悪い。

「それより、エージェントに復帰しないのかい?レン君?」

「あぁ、俺はもう良いんだ。普通の人間として生きていきたいから。」

「そうだよね。やっぱり普通が一番だよね。なんかごめんね?」

「良いんだよ、鏡介。」

 鏡介は俺にエージェントに復帰して欲しいらしいが、俺は普通になりたいんだ。本当はこんな銃は今すぐにでも手放したい。でも万が一の為に携帯しなくてはいけない。普通って何だろうな?俺は中3の時にエージェントになって戦った。そこで感覚がおかしくなったんだろうな。俺は政府の発表した『終結宣言』の次の日でエージェントを辞めた。エージェントに残った友達は街の平和と保つとかいうヒーローみたいな事をしている。でも俺は辞めたんだ。

「じゃあリョウ君、エージェントに入らないかい?」

「俺はいいや。『正義の味方』なんて感じじゃないだろう?俺。」

「ふっ、そうだな。」

「あぁ、そうなんだ。俺は悪役、お前たちはヒーローだ。」

「冗談で済むように祈るよ。リョウ君。」

 鏡介はリョウにもエージェントになって欲しいのか?それとも人手不足なのか、、、。まぁいいや。

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