プロローグ
「では次に23番の方、前に出て3分間の自己アピールをお願いします」
「はい」
スッと立ち上がった少女は、小さい顔に大きな目が印象的で、背は低いがスレンダーな体形でストレートの黒髪。紺のブレザーに丸襟シャツと、赤のチェック柄のリボンとプリーツスカート、黒のローファーを着用している。
その女の子がおどおどした顔で前に出ると、会場にいる全員が息をのむ。
(うわ、マジ可愛い!) (抱きつきたい!) (頭なでなでしたい!) (妖精…… いや女神や!)
等々、多少場に流されオーバーな感想を持った者もいたが、確かにこのオーディション会場にいる50人からの美女の中にいても、その美しさというか、可愛さは一歩抜きんでていた。
(あれ、みんなの反応がおかしいな。何かヤバいことしちゃったかな)
彼女はその容姿のため、散々ちょっかいをかけられたり、やっかみでイジメられたりしていたため、自分をカワイイとは思っておらず、多少被害妄想を持っていた。 とりあえず気を取り直して自己アピールを始める。
「初めまして、白崎ケイナ。17才です。歌ったり動き回ることが好きでこのオーディションに応募しました。 趣味はカラオケ、ゲーム、プラモづくり、特にガンプラを作るのが好きです。 特技は射撃、溶接です」
彼女の本名は『柴崎ケイル』戸籍上『22才』である。 最近は便利屋に所属し、主に女性専用のボディーガード等をして食いつないでいた。 先ほどの『白崎ケイナ』という名は今回の仕事の間、名乗ることになる偽名だ。 笑顔でスラスラと嘘とホントを混ぜた多少おかしな自己アピールをしつつも『白崎ケイナ』は釈然としない気持ちだった。
(うーん、所属タレントの一人を守るだけの仕事だったはずなのになぁ )
ここは新しく設立された芸能事務所『セフィロト』の三階、大会議室。
初老の資産家、天野哲郎という人物により、各プロダクションの優秀な若手スタッフ総勢9名を引き抜いて作られた事務所だが、出来たばかりで、建物はリフォームの真っ最中。 所々コンクリがむき出しになっている状態だ。
その建物でも比較的綺麗なこの大会議室で、天野を筆頭としたスタッフ10名が、今までの活動を通して培った人脈や、地道な募集活動で各地から集めてきた50名の候補者を相手に、新規アイドルグループのオーディションを行っていた。
新規の最弱事務所なのに、かなりレベルの高い美女50人を集めているのは、引き抜きといっても前の職場と友好な関係を築いたままスタッフが集まり、横のパイプが太い事の表れだろう。
歌唱力のアピールとして、某歌姫の代表曲を歌い終えたケイナに、スタッフで一番年長であろう初老の和服姿の男、天野が質問する。
「君ならグループじゃなく、ソロでも十分やっていけるんじゃないかな。ここを選んでくれた、動機とかあるのかな」
(え、依頼されてきたら、オーディションに引っ張り出されたんだけど…… まぁいいか)
「一人では得られない楽しさや感動、そしてそれを共有できる素晴らしい仲間に出会いたいからです」
ケイナは自分が本気でこのオーディションに臨むなら、こういう理由だろうと思い答えた。 天野はにっこり微笑む。
「うん、いい答えだ。席に戻りなさい」
この時、候補者のほとんどがこう思った。
(この子と一緒に頑張りたい!)
だが、ケイナはこう思っていた。
(これ落ちて、スタッフとして入ったほうが、きっと護衛も楽だと思うんだけどなぁ…… )
【 一週間前…… 】
線路沿いの細い道を、黒のジャージにサンダル履き、ぼさぼさの長い髪の高校生くらいの少女がコンビニに向かって歩いていた。
(やっぱ私、ダサいかな? )
少女は何を着て歩いていても、すれ違う人がジロジロと見てきたり二度見してくるため、自分がおかしな恰好をしているのではないかと常に気にしていた。だが、注目されている理由はダサいからだけでは無かった。
ジャージで多少わかりずらいものの、痩せ気味で足が長く、背の低いことを除けばモデルのようなスタイルで、顔は小さく色白でクリッとした目が印象的な整った顔立ち。 むしろ、その可愛さに気づいた者が二度見してしまっていたのだ。
そんな時、すれ違いざまに男が少女のみぞおちを殴りつけてきた。
(う…… バカにして殴りつけてきたのかな!? このまま蹲るのは癪に障る…… 舐められないように我慢してコンビニまでいこう…… )
内臓がねじれるような痛みをこらえて、横隔膜の痙攣を無理やり抑えて胸筋で呼吸を試みる。少女は表面上何事もなかったかのように、そのままスタスタと人通りの多い道に曲がっていった。
殴った男はあっけにとられて少女が角を曲がるまで見送っていたが、白いバンがそばまで来ると開いているスライドドアから飛び乗ってバンごと逃げ去った。 そのまますごい勢いでその場を離れるバン。
「くそ、あれで倒れねぇとは…… すげぇ上玉だったのに…… 」
「何やってんだよ~ おい~ 」
「やっぱかわいかったよなぁ! ぜってぇあきらめねぇぞ…… 」
「このまんまじゃ収まんねぇから、今日は別な女さらって明日リベンジな」
そのバンには、あとから乗り込んだ男を除いて運転席に一人、フラットにした後部座席に二人の男が乗っていた。 彼らは先日、先ほどの少女を見かけて目を付け、連れ去ろうとしていたのだった。
「次はスタンガンでも用意するか…… 」
助手席の男が缶コーヒーを開けて一気に飲み干すと、顔をゆがめて缶を取り落とした。
「くそ、殴ったとき手首ひねったか? 」
転げ落ちたペットボトルが運転席の下に転がりブレーキペダルに挟まる。
「あっ! バカおいブレーキが…… ! 」
速度を上げていたバンは赤信号に突っ込み、ぶつかりそうになった車を避けるためにハンドル操作を優先したため、サイドブレーキを掛ける間もなくそのままの速度で道路わきの壁に激突した。 運転手、助手席はもちろん、フラットにした後部座席に乗っていた二人も、勢いよく壁に頭を打ち付けて即死した。
そのころ、先の少女はコンビニの入り口脇でお腹を抱えてうずくまっていた。
(いたたたた…… いいパンチもってるじゃねえか…… )
幾人かに大丈夫かと声をかけられるが、恥ずかしいので顔はあげず、片手をあげて「大丈夫です」と答える。 痛みは我慢できなくはないが、体がうずくまろうとするということは、傷ついた内臓の修復に必要なプロセスの一つと考えて、戦闘継続の必要がない場合は従うことにしている。
しばらくそうして痛みが治まってからコンビニに入り、弁当とポテチ、コーラ、ジャンプを買って家路につく。
(通りすがりの人間を殴るとか都会はこわいなぁ、今後外出する際には気配を消して歩こう)
少女の名は柴埼ケイル。 高校生くらいの若さにしか見えないが、高校卒業後2年自衛隊で過ごし、建築現場からプログラマーと様々なバイトで食いつなぎ、今は便利屋に所属し、主に女性専用のボディーガード等をして食いつないでいた。
(ジャンプをジャージに入れてたら、殴られても痛くないかな)
コンパニ袋の中のジャンプを見つめて考え込んでいると、ジャージ上の左ポケットに入れていたiPhoneが振動する。 取り出してチェックすると、以前同じバイト仲間だった小林直哉(通称コバピー)からメールが来ていた。
「おや、なつかしい」
内容はというと、護衛の依頼のようだった。
「ケイルさん、ひさしぶり。ちゃんと仕事してますか? 俺は企画会社でバイトしていた時にお世話になった人と組んで、新しく芸能事務所を立ち上げました。そこでお願いがあります。今度大きな企画を立ち上げる予定なのですが、メインとなるメンバーの中に問題を抱えている子がいて、ケイルさんに護衛などのサポートをしつつ、一緒にイベントを盛り上げてもらえればと考えています。長期間になると思いますので、住居や衣装代など生活費もこちらで持ちますので、是非折り返し連絡ください」
ケイルは小さい頃から絡まれることが多かったため自己流で体を鍛えていた。先ほどの鳩尾へのパンチも、殴られると感じた瞬間に腹部全体の筋肉を収縮させ、腹膜へのダメージを抑えたのだった。そのためコバピーがチンピラ複数人に絡まれた時、難なくチンピラを撃退し、むしろ過剰防衛で捕まらないよう一緒に逃げたことがあり、それ以来コバピー経由で仕事をもらうことがある。
東京に出てきたばかりで、次の所属先も決まっていなかったため渡りに船だ。 ちょっと条件が良すぎるような気もするが、書き方からして護衛対象は女の子のようだし、その子の精神面のケアも含めてと考えれば、まあそんなものかと思い直す。 借りたばかりの賃貸マンションを長期留守にするのは釈然としないながらも、詳しいことを聞こうと電話番号をプッシュする。
【 数日後 】
ケイルはコバピーからの指示により、東京某所の駅裏通りにある雑居ビルの前に立っていた。 さすがにジャージではなく、ジーパンにTシャツとランニングシューズだ。
目の前のビルは五階建てで、一階がその他の階より道路から少し奥まった形で、工事中の看板が立ったミニシアターの入り口と、二階より上のテナントへの階段とエレベータがある。 側道側に地下駐車場への入り口があるが、案内等がないので関係者専用の駐車場だろう。 外観はやたら綺麗だが、三階から五階のテナントの窓からは、まだテーブルや椅子が端に積まれているのが見える。
待ち合わせに指定された、二階の喫茶店だけは営業している。 階段を上って入ると、すでにコバピーが窓際のテーブル席でアイスコーヒーを飲んでいた。
「あー、こっちこっち」
ケイルがコバピーの向かいの席に座る。二人以外にはカウンターに初老のマスターがいるだけで、ほかには誰もいない。 マスターは準備中の札をかけて、カーテンを引いた。
「聞かれたくない話もあるんで、貸し切りにさせてもらったよ、マスターありがとう」
「では私は奥にいますので、ごゆっくり」
マスターはケイルの前にもコーヒーを置いたあと軽く頭を下げて奥の部屋に入っていった。
「さて、コバピー、護衛の依頼みたいだけど、話せる範囲で依頼内容を教えてくれるかな? 」
「うん、起業前に世話になった芸能事務所がつぶれちゃってね、そこから一人だけ行く当てのなかった子をうちで面倒見ることになったんだけど、その子宛てに何度も脅迫文が届いててね…… 一緒に死んであの世でなんちゃらとか…… 警察にも連絡して、巡回してもらったりはしてるけど、これからその子も含めてアイドルグループを作って売り出そうって矢先だし、いつ危険な目に合うかわからないからね」
「ふむー。 脅迫だけで終わらないと考えた出来事があったってことだよね? 」
「実はここ、買い取って間もないんだけど、このビルの裏口に脅迫文がナイフで突き立ててあってねぇ…… その子はついこの間、挨拶で一度来ただけだから、かなり近く張り付かれてると思うんだよ」
「そうか、わかった。引き受けるよ」
「え? 即決? 報酬は無しでいいの? 」
「当然報酬はもらうよ~。 メールに有った通り衣食住はそっち持ちだよね? あとは護衛の時間1時間千円。 事案発生時は危険度に応じてプラス3千から2万、可能かどうか別として犯人確保して解決できれば20万、あ、初回相談料も3千円にまけとくね」
小林が期待に満ちた顔になる。
「犯人捕まえられるかな? 」
「あくまで可能性ね、なにより守ることが肝心だから」
「わかった。あくまで護衛、安全第一だからね…… で、形式だけなんだけどオーディション受けてくれる? ほかにもやりたいって人いてさ、俺の顔を立てると思って、ね? 」
「確かに、このご時世に衣食住付きってのはおいしいもんなぁ、わかった」
コバピーがニヤリとして携帯でメールをする。商談成立を誰かに伝えたようだ。
「今10時か、あと4時間後に三階の大部屋でオーディションやるから、その奥の更衣室で準備して」
いまのメールで呼ばれたらしい眼鏡をかけたスーツ姿に巻き髪のいかにも秘書といった女性が入ってくる。
「この女性は杉田有紀さんね。みんなのマネージャーをやってもらうから。 杉田さん、こちら話してた柴崎さん。 オーディションまでに衣装とメイクをしてあげて」
「はじめまして、柴崎ケイルです…… ん? メイク? 」
「杉田有紀です。メイクは護衛が円滑にできるよう柴崎さんの素性を隠すためと聞いております。ではこちらへ」
杉田の後についていくケイル。コバピーは満面の笑みで手を振っている。
この男が笑うときは大抵ろくでもないことを企んでいる。
通された部屋は更衣室と言っていたが16畳ほどの楽屋のようなスペースだった。
杉田は手早くケイナにメイクを施した、大きな目をより強調しその他はナチュラルに見せつつ表情が表に出すぎないように血色を抑える。
「柴崎さんには今後、身バレしないように表向きは『白崎ケイナ、17才』で通していただきます。」
「17!? 」
「護衛対象が17才なので、そのほうが近づきやすいでしょう。 大丈夫です、見た目大きさ的に17で通ります」
「むぐぐ」
「ということで『ケイナ』さん。護衛対象は『齋藤鈴』ちゃん、このビルの5階にメンバーの宿泊用施設を作りますのでそこで暮らすことになります。また、ここから徒歩10分の高校へ転入が決まっていますので、学校と、この建物が主な活動エリアになります。 それとオーディションですが、3分間の自己アピールタイムがあります。 自己紹介は必須ですが、あとは歌でも踊りでも、前向きな姿勢と伸び幅を見せてもらいます。」
「え、歌? 踊り? 」
そのとき、ドアをノックしてから女の子が入ってきた。 ケイナより少し背が高いがまだまだ小柄で、全体的に細めではあるものの、付くべきところにしっかり肉がついてグラマーな体形、肩までのセミロングに丸顔に少し幼い顔立ち。 高校の制服なのか、紺のブレザーに丸襟シャツと、赤のチェック柄のリボンとプリーツスカート、黒のローファー。
「失礼します。時間には早いですが、ここにいると安心なので来ちゃいました」
「ああ、ちょうどよかった。 ケイナちゃん、今来たこの子が齋藤鈴ちゃんです。 リンちゃん、こちらが白崎ケイナちゃん。 同い年だけど、田舎から出てきたばかりだから色々教えてあげてね」
「白崎ケイナです。よろしくお願いします」
「齋藤鈴です。こちらこそよろしくお願いします。 白崎さんもオーディション受けるんですよね? お互い合格できるよう頑張りましょうね! 」
ケイナはハッとした顔で杉田を見る、杉田はようやく気付きましたかという顔でにっこり微笑む。
「そっちのオーディションだったか~! 」
ケイナは頭をおさえて宙を仰ぐ
「えっ? 」
「ケイナちゃんは、スタッフの採用試験と勘違いしてきちゃったみたいですね」
「えーっ!そんなに可愛いのにスタッフなんてもったいないよー!絶対一緒にオーディション受けようね!」
リンは目を見開いて、両手をぶんぶん振り回して必死に説得する。
「えっ!う、うん。 わかった」
(一緒に行動したほうが守りやすいかな?、コバピーはそれが狙いか…… )
ケイナはあきらめ顔で杉田をみる。
「同い年ってことは、学校も? 」
「ええ、リンちゃんと同じ学校に転校する手続きはもう済ませてあるから」
(まじかー!どうやってやったんだろ…… 参考のために後で詳しく聞こう)
「ケイナちゃんもオーディションに出るなら、その恰好よりも転入先の制服に着替えた方がいいから、ちょっとその服脱いで」
この杉田女史、先ほどからの話の流れで、二者それぞれに対して相手の状況に応じて話を展開していくところからして、かなり切れる人物のようだ。
(まさか制服のサイズもぴったりとか言わないよなぁ…… いったい何者なんだこの人)
そして制服のサイズもぴったりだったことは言うまでもなく、冒頭のオーディションが行われた。 ケイナは参加者の状況をチェックしつつ、隣室に装着した隠しマイクで選考の様子も確認していたが、意外なことに選考はガチで白熱した議論が続き、流れによってはリンもメンバーに選ばれない可能性があった。
(へー、ちゃんとしててチョット安心したなー)
ケイナが小林のテコ入れもなく、初めに選ばれたのには本人でありながら釈然としないものがあった。ただリンに関しては予想外に難色を示す者もいた。 すでに子役として活躍していた時期があるとか、何故プラスではなくマイナスにつながるかよくわからないが。
結果として、リン、ケイナを含めて9人のメンバーが決まった。 そのうち3名は両親との話し合い次第では高校卒業まで参加できない可能性もあるとのこと。 本来は22人くらいほしかったらしいが、できたばかりの事務所でここまで集められれば御の字だろう。
杉田が合格者の番号を発表した後、申し訳なさそうに話す。
「番号を呼ばれなかった方は、残念ですが不合格となります。 気を付けてお帰りください」
ケイナは会場内のリンに向かう視線や気配に気を配っていたが、特にリンに対して感情を向けている者はいないようで少しホッとする。 番号を呼ばれなかったメンバーが帰り、スタッフ10人が拍手をしながらみんなの前に立ち、コバピーがマイクを持って話し始める。
「みなさん、おめでとうございます。 私はプロデューサー兼ディレクターの小林直哉といいます。今日選ばれたみなさん9人がアイドルグループ『メジャー・アルカナ・キャプターズ』の第一期生となります。テーマは『挑戦するアイドル』おもにそのサポートをするのが私を含めたこの10人です。」
紹介されたメインスタッフ
・天野哲郎 事務所所長 和服姿の背の高い老人
・佐藤輝視 財務法律 スーツ姿の痩せたおじさん
・小林直哉 プロデューサー兼ディレクター ジーンズにジャケットのイケメン
・杉田有紀 マネージャー スーツ姿で年齢不詳の美女
・小金沢吾 振り付け担当 ジャージー姿のフツメン
・片岡幸雄 作詞作曲アレンジ バーテン風で無精ひげの痩せ気味のおっさん
・竹内敦久 美術/衣装 ツナギを着て太り気味のおじさん
・岡田朋希 劇場監督/設備 派手なセーターの小柄で目がギョロっとしたおっさん
・清水光一 システムエンジニア スーツ姿太った眼鏡をかけたおじさん(大)
・石川武 シナリオライター ジャケット姿太った眼鏡をかけたおじさん(中)
「まず、ミニシアターのリフォームが終わり、デビュー曲が完成したら、ミニライブ等を行っていきますが、それまでは自分たちでやりたいことを色々出してもらい、それを実現していく過程をストリーム配信します。それぞれのメンバーの人となりを知ってもらうことでファンを集めていきます」
その後いろいろと説明が続き、二日後に正式な契約を交わしレッスンを開始することに決まった。やりたいことに関しては宿題として出された。
その後9人+杉田で集まってメンバー間での簡単な挨拶と自己紹介、趣味の話やとりとめもない話で盛り上がる。
合格したメジャー・アルカナ・キャプターズ 第一期メンバー
・三浦麻美 18 キャプテン
・西咲律 18
・白崎ケイナ 17
・齋藤鈴 17
・千田由香 17
・蝦須恒子 15
・福士環 14
・佐々木詩織 14
・川原真玲 13
第一回のストリーミング配信は各自の自己紹介と、ミニシアターのリフォームをしてくれている業者やスタッフの皆にカレーを作ってふるまうことに決まった。そんなこんなで軽く打ち解けてから解散となった。
とりあえず一日目が終わり、近場に住むメンバー以外は、準備されたビジネスホテルに泊まる。
ケイナはリンが部屋に入ったのを確認して、杉田と共にメンバーたちの部屋の扉が見える自販機コーナーで見張りをする。
「ケイナちゃん。明日はリンちゃんと転入のあいさつに行きますから、よろしくお願いしますね」
杉田はにこやかに言うが、ケイナは浮かない顔で答える。
「頑張ります」
学校に行くと、またなにか、いろいろと面倒ごとが増えそうな気がして胃の痛いケイナであった。