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プロローグ
どうぞ、一時の泡のような時間をお楽しみください。
理不尽で構成されるこの世界で私はただ一人で行き続けてきた。
殺しも盗みもした、手はすっかり汚しきって恨みを買いまくっていた。
ある日帰り道の途中で襲われ瀕死にされた。
すると不意に声が聞こえた。そこには男がいた。そして男に拾われて幾らかしたある日。
男はある日私に
「月の光は幻のようにカメラには映らない。何故かって?それはね。」
そう言いながら死にかけの私を救ってくれた男はこう言っていた。
「「それは人がそうであろうとする幻影なんかじゃないかってね」」
それが戦争で左目を撃たれた時に見えた月に言った言葉だった。