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走る方舟の憑依玩霊達(ファントムズ)  作者: 丸ーニィ
第二章二部 高高度激闘! 天国教団編
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九十七話「ダメコンなんて無かった」

 

「君にいくつか聞きたい事がある」


 ダニエルは射撃武器を突き付けられても尚、静観するアドミニストレータの様子に、知っている限りの情報で質問する。


「舟の霊体を従えて、君達はどうするのかね、この事件を起こして何処に行こうと言うのかね。」


 アドミニストレータは霊体が浮かび上がってるが憑依しているボディが見えない。


 だが近くには必ずそれが在ると思われる、ダニエルは憑依玩具戦線の全力攻撃を撃ち込んで一気に大きな損傷を与えるならこの瞬間しかないと考えた。


 そして彼はダニエルの問いにこう答える。


「決まっているじゃないか、"天国"に逝くんだ......解りきってるだろう?」


「ポゼッションバトル運営会社、パルドワーカーCEO......ダニエル・ロイド、貴方がアプリを見つけたお陰で、この計画は順調だよ」


 このアドミニストレータの返答はダニエルを憤慨させた、今にも突っ込んで銃口を突き付けたい衝動にダニエルは駆られる。


「クソッ......悔しいが、君の言う通りだ」


 衝動を押し殺し、ダニエルは再び問いかける。


「見つけてくれた......そう言ったね君は、つまり君は廃墟のビルに憑依アプリの入ったサーバーを隠した張本人か......あるいは」


 ダニエルは自身が気が付いた確信を、アドミニストレータに向かって突き付けた。


「「憑依アプリの開発者そのものなんじゃあないか? 」」


 そのやり取りは周囲のプレイヤーにも聞こえていた。

 同じく戦線で並んでいる頭目もその質問に驚愕する!


「こやつが、この事件だけじゃなく、アプリそのものを造った元凶じゃというのか!」


 そのダニエルの確信めいた問いに、アドミニストレータはこう答える。


「なるほど良い質問だ! 折角だから、自己紹介と行こう......」


 アドミニストレータは手を広げて軽く会釈し......


「......お初にお目にかかる、僕が憑依アプリの開発者である、久遠坂 紫蘭 (くおんざか しら)だよ。」


 アドミニストレータもとい久遠坂 紫蘭は(以下、久遠坂シラ、及びシラ)ゆっくり舵を回して、舟の霊体をゆっくり浮かび上がらせる。


 目の前でゆらりと見える久遠坂シラのボディ。

 そのボディは霊体に覆われてボディがよく見えない状態だったのだ。


 霊体の下に隠れるボディが露出する、ダニエル達はその瞬間を逃さなかった!


「fire! fire! 」


 憑依玩具戦線全員の射撃武器が唸る!


 ニードルやミサイル、投擲武器等が、直接、久遠坂シラに撃ち込まれる!


 ......だが


 強力なバリアが形成され、全ての射撃を無効化するに至った。


「壊さないでくれよ、舵は重要な機材なんだ......」


 久遠坂シラはゆっくりと歩き、舵から離れると......


 見えている姿のまま、ダニエル達に向かって飛び込んだ!

 その様子にダニエルは推察する。


「霊体に隠れたボディが見えたぞ! それが君のボディかね......」


 向かってくる人の姿、久遠坂シラそのものの姿は、バリアを形成しながら、戦線が展開している戦艦AWAJISIMAのど真ん中に着地。

 腕の広げてシラは言う。


「そうコレが僕の......ボディだ! 」


 ダニエルは間近にその彼の姿を見て、気が付いた。

 ボディの無い霊体が立っている様にも見て取れる。


「これは......一体? 」


 人の姿の霊体に重なるように見える、人体可動模型......

 表面はのっぺらぼうの様にツルッとしていて、間接の繋ぎもシーリング加工している。

 だがすぐに霊体の内側に入って見えなくなった。


「このボディは限り無く人に近い見た目と、霊体の姿をトレース出来るように一体化しているんだ」

「まるで霊体が、ボディ無しで行動している様に見える位、完全な姿で居られる特殊なボディさ......」


 そうそのボディこそが「天国で生活する為のボディ」である事に、ダニエルが気が付いた。


「全く邪道じゃあないか……憑依するのが玩具だから夢溢れると言うのに……味気の無い"ガチなボディ"は、バトル運営として認めたくないね」


 久遠坂シラは不敵に笑う。


「"ガチなボディ"だから戦えるんだよ......」


 そう言った彼はまるで無双ゲームのような軽快な動きをし始めると、ダニエルの隣の憑依プレイヤーのボディに蹴りの一撃を見舞い、吹き飛ばす。


 それに反応する憑依プレイヤー達の近接攻撃が、久遠坂シラを追い詰めるべく繰り出されるが......


「ホラホラホラ! 」


 久遠坂シラのフル可動人体模型は、本人の霊体を表面に映したまま。


 怒濤の連続攻撃!


 襲いかかるプレイヤー達の玩具ボディをパンチでぶち抜き、チョップで切断し、キックでカチ割った。


「パラダイス・オブ・セイバー! 」


 久遠坂シラの手刀から過剰な霊力の刃が発生すると。


「光刃天輪! 」


 クルクル回転しながら次々プレイヤーのボディを凪ぎ払っていく。


 素手から剣に繋ぐチェイン攻撃。


 無双ぶりに更に拍車がかかり、憑依プレイヤーの軍団を次々斬り倒していった......


「やあああ!」


 そんな中、憑依玩具戦線の最期の戦線に参加していた、ダンサーの美少女フィギュアの女の子も、戦力の一人として参加していたらしく......


 華麗に舞い右手のマイクから展開した「マイク型クナイブレード」で襲いかかるも。


「残念だね......可愛いのに勿体ない」


 シラの手刀に胸を貫かれ、フィギュアのボディが破壊された。


「おんどりゃああ! 」


 ここで飛び込む一陣の風、ヴァリアント・ドーマンこと陰陽師の頭目である。


「小烏丸セイバー! 」


 サイドからの怒濤の横格、だがシラはその技を見切る!

 そしてあっさり真剣白刃取り。


「んな! 何て正確な"受け"! 姉上みたいじゃ! 」


 だが白刃取りをする以上、両手が塞がる。

 頭目はその隙を逃さず、式神「ゴキ・スピードスター」の陰陽ビットを展開!


 背後からブレードビット形態で物理透過を光らせながら、シラの背中に突き立てる!


「やったか! 」


 以下にも言ってはいけないセリフを吐いてしまった頭目。


 やはりそのセリフの通り、ブレードビットはバリアに阻まれて勢いを殺されている。


「良いね、バリアを使う程に追い詰められたのは称賛するよ......陰陽師さん」


 シラは小烏丸セイバーを掴むと......


 まるで草を刈りちぎる様に、意図も簡単にへし折ってしまった!


「ぎゃあああああ! (姉上に怒られる! )」


 刀を折られた頭目のヴァリアント・ドーマン、狼狽える姿に久遠坂シラの怒濤の一撃が襲いかかる!


「ひいいいい! 」


 やられた!


 そう思った頭目、だが目の前に居たのはシラの姿ではなく、アメトイのフィギュア。


「アメトイのボディは、頑丈さが売りの筈なんだけどね......」


 そう、頭目に当たる筈の致命的な手刀突きの一撃は、ダニエルのボディであるアメトイのフィギュアボディが、庇う様に受けて......


 胸部を貫かれていた。


「下がれ! 私に構うな! 」


「すまん!恩に切るのじゃ! 」


 ダニエルの犠牲に戸惑いながら、頭目は後方に退避。


 ダニエルのボディの胸部から腕を引き抜いたシラは、再び頭目のヴァリアント・ドーマンを破壊しようと拳を構える。


 ......だが


「艦首ドリル阿方(あま)ナックルモード! 」


 戦艦AWAJISIMAの艦橋が割れて、艦娘モードの巨大フィギュアが立ち上がり、ドリルを右腕に付けて豪快にパンチ!


 しかしシラには届かない!

 バリアの上でドリルは虚しく回るだけに止まる。


「おっきいなー、でも霊力の無駄だね、物理透過攻撃が乗り切れてないよ......」


 そう言うとシラはパチンと指を鳴らした。


 轟音と共に舟の霊体の艦首が割れて、大きな鳥の頭が現れると......


「主砲発射! 」


 シラの言葉と共に......

 鳥の口から強大な音波の奔流が解き放たれた!


「 ! 」


 ザジの時と違って巻き上げたガラスや砂塵を音波で振動させて、ビームのように撃ち放たれたそれは......


 戦艦AWAJISIMAに、致命的な損傷を与えた!


 もぎ取られるように打ち砕け、散乱するパーツ。

 淡路島を模した船体は、真っ二つに砕ける。


「大破......大破......本......艦は、現在致命的な状況......にあり」


「甲板......のクルー......は退避を......」


 ゆっくり墜落していく戦艦AWAJISIMA、半分以上吹き飛んだ艦首と、防御しきれずに両腕を失った巨大艦娘フィギュアが痛々しい。


 ボロボロになった艦娘ボディの中で、AIイザナギが語る。


「私の最期は......艦と共に......します」


 こうして戦艦AWAJISIMAは暁と共に墜落......


 轟沈である。


 

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― 新着の感想 ―
読書配信へのお申し込みありがとうございます! アドミニストレータしらさんがめっちゃ強い!! 皆で攻撃しても、全然倒せる気がしません(。>_<。) 戦艦AWAJISIMAがここまですごく活躍してくれ…
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