表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
走る方舟の憑依玩霊達(ファントムズ)  作者: 丸ーニィ
第二章二部 高高度激闘! 天国教団編
96/203

九十六話「夜明け......スズハと嘘、そして飛翔する舟(アメノトリフネ)」

もう少しで百話ですか

実は外伝でも書こうか考えてます。

 

 スズハのプラモデルボディは、陶器の器が壊れるかの如く衝撃により四散した。


「見つけた! データカード! 」


 砕けた上半身パーツの背部に、データカードを発見するユナ。

 おもむろに拾い上げると、熊手ソードで回路と、データカード部分を器用に引き裂いた!


 クマの背後に浮かび上がる赤い血文字のイメージ。


「 FATALITY ! ( フェイタリティ! )」


 街的なファイターなイメージかと思いきや、モータルでコンバット的な殺伐なイメージでござった。


「これで大丈夫! 回路が焼ける前にボディを壊した! 」


「更にデータカードと回路の間も、ついでに真っ二つ! この隙を生じぬ二段構え! (ドヤ顔)」


 ユナはこれでもかと言う程に、スズハの危機を救った......が。


「パープルの話......きっと嘘ね」


「 へ? 」


 霊体になったスズハは、高らかに掲げるポーズでデータカードを持つユナに、事実を伝える。


「アドミニストレータが言ってたけど、(くびき)データなんて存在しないわよ......きっと嘘の演技ね、彼は劇団員だもの」


 ボディを失ったスズハは、虚空に浮かび上がる霊体になった、亡霊なら消滅もあり得る緊急事態だが......霊体は消えない。


「私......やっぱり、まだ生きてたのね。」


「処理装置とか言ってたけど、本当は......それがハッタリね、パープルさんはやっぱり嘘が下手だわ......」


「ええええええ! 」


 ガックリくるユナを尻目に、スズハは壊れたプラモデルボディを見て言う。


「このボディの縛り......自分で思い込んで、強くしてしまった私を......解き放つための細工と演技だと思うわ」


「焼け始めて驚いた所を、誰かにボディを壊して貰う......、初めから私を解き放つ算段じゃないかしら......」


 スズハの霊体は崩れる事なく輝く、これから長きに眠って居た自身の肉体に、向き合う覚悟を見出だしたかのように。


「殻に閉じ籠って誤魔化して亡霊を演じてきたけど......もう殻に閉じ籠っても籠る殻が無いわ」


 空を見上げる。


 光が見える。


 もう夜明けが近い。


「大人しく戻ってあげるわよ、元の体で会えたら覚えてなさい、......ザジ」


 微笑みかけてトゲのある言葉を言うスズハに、ザジは微笑み返して言う。


「うん、覚えとくよ......助け出せたら二依子と三人で会おう! 」


「......」


 スズハは霊体が肉体に引き寄せられる感覚を覚える。


「時間ね、言えた義理じゃ無いけど......」


「お願い、二依子を救って......」


 そう言うと彼女の霊体は、朝の日の光に乗るように、流れ星の軌跡を描き......


 飛び去っていった。


 朝日が射し込み、スズハの帰還を歓迎している様に大きく、街を包んでいく......


「さあ、覚悟しなさい......ってあれ? 」


 ユナの敵意はパープルとポリマーに向けられる......


 筈だった。


 だがそこには居らず、ユナの視界の遥か遠くに映っていた。


「ああああ! 逃げた! 卑怯者! 」


「......してやられたな」


 荒ぶるユナを宥めるザジ。

 プラモデルボディからはみ出た霊体は、参ったなと言わせる様なジェスチャーをしていた。


 

 ******


 

「良い演技でしたパープル、今回の作戦の要をよく遂行してくれました。」


 教団亡霊ポリマーとパープルはすでに、ザジ達の前から姿を消していた。

 そしてポリマーに運ばれて、パープルはアドミニストレータより労いの通信をもらっていた。


「慌ててるあのガキ二人の顔が滑稽だったぜ、アイツら掌で踊ってたとも知らずに頑張りやがった」

「お陰で、ずいぶん楽に秋山を体に戻せたよな」


 パープルは清々しい顔で感想を述べる。


「パープルさん、スズハちゃん気に入ってたでしょ? 生前に結構気にかけてましたよね」


 パープルを運ぶポリマーが言い、パープルはスズハの事を語る。


「やっぱり天国は俺達だけで良い、あの子は俺達の紅一点であって、キールとちょっと良い関係だった......それだけだ」


 ポリマーがパープルの返事に笑う。


「それ、絶対あばよ! ってカッコつけて演技してるだけじゃないですか」


「んだよ! 悪いかよ! モテない亡霊の僻みだよ、モテる必要性ないけどな! 」


 パープルとポリマー、教団亡霊二人の談笑が続く。

 目の前に舟の霊体の艦橋が見えてきた。


「夜明けだ、出航の準備だ!  錨を上げろ! 」


「行こうぜ! 天国! 」


 パープルの霊体は、アドミニストレータの前で大きく手を空に上げて、掴むように仕草した。


「ええ、こちらも出航の準備が出来ました、キール君をちゃんと解き放つ事に成功しましたよ。」


「後は"鍵役"の二依子ちゃんを起こして、俺達で天国の扉を開くだけだ! 」


 出迎えたアドミニストレータの霊体に、上げていた手でパープルがハイタッチ。


 その後パープルとポリマーは二依子のプラモデルボディを脱ぎ捨てる。


 二人は新たなオリジナルボディを得るために、棺の様な格納庫に入った。


「俺達の旅路に乾杯」


 棺の中でそう言う仕草をしながら、彼は新たなボディを得て状態を確認していた。


 

 ******


 


 舟の霊体下部では、サーバーの電源破壊のため、菊名と愛華、ねぱたとよしこが行動していた。


「こちら第一サーバーの愛華&菊名、電源装置を破壊に成功! 」


 電源装置には沼島ナックルが突き刺さっている。


「第二サーバーのねぱたや、こっちも破壊に成功したで! 」


 ねぱたも破壊が終えており、近くにはねぱたの今のボディの持ち主の子供も、助け出す事に成功している。


「アオンワオオオン! (此方よしこ第三サーバー、破壊成功)」


 よしこもテイルブレードにより、電源装置を破壊していた。


「おおおおお! やった!やったぞ! 」


 これら吉報を皮切りに、すべての人質達が一斉に称賛の声を挙げ始めた。


「ありがとう! みんな! 亡霊の人達には感謝しかない! ありがとう! 」


 ザジ達亡霊には、思いもよらない感謝の声はとても大きく、ちょっともどかしく思える程に......。


「あかーん、そんな言われたらテレるわー! 」


 テレテレで困り果てるねぱた、サーバーから帰還している三組(ねぱた、よしこ、菊名&愛華)は喜びの仕草を見せた。


 愛華と菊名は言う。


「あと一人、助けなきゃならない人が居ます! 」


 

「「二依子センパイです! 」」


「みんなの力を貸して下さい、最期の一人の救出をするために! 」


 この二人の願いと宣言と同時に、残る二依子の救出に力が入った。


「よし!......後は艦橋のサーバーだな! 行くぞ全員突撃! 」


 ダニエル達が集う憑依玩具戦線の最期の攻撃である。

 戦艦AWAJISIMAが突撃形態で発進する!


 ......


 

「パージ」


 

 ......


 何処からともなく聞こえた声、霊声は明らかに舟の霊体から聞こえており。

 その言葉はまさしく切り離しを意味していた。


「何!? 」


「何や!? 」


「ギャオン! (これは! )」


 内部で電源装置の破壊を行って、撤収していた三組は大きくたじろく。

 鳥の声や大きな音が周囲に鳴り響く!


 パージ......その言葉の通り。


 第一サーバー、第二サーバー、第三サーバー。


 それぞれが舟の霊体の下部から、抜け落ちるように切り離される!


「何じゃと! サーバーを捨ておったぞ!」


 頭目がその舟の、変わっていく霊体の姿をみて驚く。


 舟の霊体は外装を脱ぎ捨てると、大きな翼を広げ始める。

 その姿は......


 恐ろしい亡霊の舟"ナグルファル"が割れ......


 輝く、"アメノトリフネ"が出てくるような幻想的な光景だ!


「いかんぞ! 奴ら飛ぶ気じゃ! 」


 ......そう!

 舟の霊体が飛ぼうとしているのである。


 巣を思わせる結界が破れ、天井らしき部分が割れ、舟の霊体が浮き上がった!


 その姿を少し離れた場所で、ザジ達も見ていた。


「二依子......! 」


 ザジは急いで戻ろうと必死だが、間に合わない。


「させるかね! 諸君、行くぞ! 今が踏ん張り時だ! 」


 上空で舟の霊体と、対峙するダニエル率いる戦艦AWAJISIMAが激突する!


 大きさは舟の霊体の方が遥かに大きい、だが防壁を失った以上、勝算を感じる。


 ダニエルはそう確信していた。


「いやあ、御対面だねえ......」


 その声に戦艦AWAJISIMAは、舟の霊体の艦橋前で停止。


 声の主である、艦橋サーバーの上で舵を握る謎の亡霊の姿を見て、ダニエルと憑依玩具戦線の残存勢力は射撃武器を構える。


「君がアドミニストレータだね、今回の事件の首謀者で間違いないね」


「ご同行願おうか......」


 ダニエル達残存勢力は、ついにアドミニストレータにチェックメイトを差すべく、全ての戦力の標準を突きつけたのだ!。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
最初から喜一さんとスズハさんという肉体が生きている二人は解放するつもりだった!!(* ゜Д゜) でも肉体が亡くなってしまったポリマーやパープルは戻れない……。 ちょっと切なすぎました……。 ポリマーも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ