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走る方舟の憑依玩霊達(ファントムズ)  作者: 丸ーニィ
第二章二部 高高度激闘! 天国教団編
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七十七話「憑依玩具戦線、第二幕」

遅れっぱなしで申し訳ない

 

「まさか攻撃してたのは!? 」


 ザジが止まった船の巨大霊体の原因が、今にそこに居たと察する。


「その通りじゃ、この戦艦と共に強襲を画策しておったのじゃ、下におった別のプレイヤー連中に囮になって攻撃してもらって、船の中に隠れとるはずの親玉霊体が出てくるのを待って叩き潰す作戦じゃ」


 ヴァリアント・ドーマンのプラモデルボディで腕組みをしつつ、ドヤ顔で背後に映る頭目の霊体。

 頭目は意気揚々と現状の作戦を語る!


「確かに巨大霊体は本体が弱点だと思うけど、何で今こっちに来たの? 」


 しかしここで、ザジの率直な返事に頭目はちょっと困った顔をする。


「実はのう......結果的に奴の動きが止まったんじゃが......奴の声がウンともスンとも聞こえないんじゃ」

「攻撃しても霊糸の結界みたいなのが頑丈で突破出来そうにないし......」


 以下にも「闇雲に攻撃して本体を炙り出す作戦」が通用していない様子が見て取れる。


「反撃して来ない? って事? 」


「そうじゃ、じゃから角度を変えて上から強襲しようと模索した時に、お主らの声が聞こえたと言うところなんじゃが......」


 ザジの問いに答える頭目。

 その時、下に居るプレイヤー達から連絡が聞こえてくる。


「頭目さん、次の砲撃の準備出来ました! 」


 聞こえてきた声の主、下に居た憑依プレイヤーは協力的で、頭目の指示に従順に動いてくれる様だ。


「おお......スマンのじゃ陽動チームよ、今の他のプレイヤーと接触があったのじゃ、共闘してくれそうじゃぞ! 」


 頭目の言葉でビルの下の階から歓声の声が聞こえる。


「おおお! 流石陰陽師の頭目さんだ! 便りになるぞ!! 」

「これであの"妖怪"をやっつけられる!! 」


 近場に居たユナはこの「妖怪」と言うキーワードになんだか笑ってしまった、実に陰陽師らしい怪異に対しての説明をしていたと感じ取っている。


「あああ、確かにそうだ! "妖怪"って言う例えが妙にしっくり来ちゃう! 」


「妖怪退治......俺達も参戦しよう、追い付いてこれる人だけ着いてきて! 」


 笑ってしまったユナを尻目に、ザジは頭目の戦線に加わると決意。


「俺達も付き合わせろよ! 仲間を取り戻したいんだ」


 更にダニエルに問い詰めていたプレイヤーも、怯えていたプレイヤーも、傍観していたプレイヤーも......

 皆「戦う意思」と言う細やかな武器を握って、移した小さいプラモデルやフィギュア等の身体で決起し始めたのだ。


 ......こうして巨大霊体と戦う玩具達の小さな戦線が誕生したのである。


 ******


 しばらくの時間がたった、憑依玩具戦線は「敵、異常なし」を観測している。

 観測しているスナイパーロボットプラモデルのプレイヤーが、霊糸で通信するスキルで他のプレイヤーに伝令。

 ここで大型の飛行体がやって来たと言う報告がザジ達に届いた。


「到着したぞ! 二人とも無事か? 」


「お疲れパルド、レストルームを使うから開けてくれ。」


 伝令にあったのは、大型の飛行船ラジコンで現れたザジ達の亡霊メンバー、パルドだ。

 ザジの要求に応じて飛行船の入り口を開け、ザジとユナが格納される。


「やっぱり、あの時の巨大霊体の別種じゃないか! 」


 飛行船の中のパルドが前方を見て驚愕する、彼は緊急事態を聞き付けて飛んできたが。

 感じれる強い霊力に以前の巨大霊体を思い出し、キャンパーにSNSで緊急連絡を開始。


「霊声通信も繋ぐよ、ユナもパルドも集まって来て」


 大型飛行船の中にあるミニチュア四畳半の小さな霊力充満施設......

「レストルーム」

 今ここでボディから抜けたザジとユナが、母船であるキャンパーとの霊声による電波交信を開始していた。


「カンチョウ......報告です、これから俺達、巨大霊体との交戦に入ります」


 ザジはカンチョウに定期連絡、交戦決定を報告した。


「パルドから異常事態が発生していると報告を受けたが、よもやまたあのような巨大霊体が現れるとは......」


 カンチョウが神妙な面持ちで状況を聞く、自分達亡霊でも逃げるのがやっとの存在である、人の世界なら対応出来ないと「失われるモノ」が全然違う。

 そんな報告を聞くだけしかできないカンチョウに、ユナから提案が出される。


「私、もしかしたら"出来るかもしれない"事を思い付きました、ねぱた姉さんに端末の前に待機させておいてくれませんか? 」


「うむ? わかった、ねぱた君を呼んでくる......」


 ユナの突然の提案に、カンチョウもやや困惑しながら返答する。

 このあとしばらく、ねぱたが端末の前にやって来て、ユナのやり取りが行われている。


「......」


「 !!? 」


 ここでザジが驚く、外から何かあったのか激しい音が聞こえてくる!


「なんだこの音?! 」


 電子音が聞こえる! 鳴り響くのは緊急アラームである!!


 これはビルの下で鳥の鳴き声のような、奇妙な霊声が鳴り響き!

 周囲のプレイヤー達が警戒体制、即座に緊急警報を鳴らした音である!


「小僧出てくるのじゃ! 下の様子がおかしい! 」


 聞こえてきた頭目の声、何かしら動きがあったと察したザジが、再びプラモデルボディで外に出る。


「何があった!? 」


 外に居た頭目のプラモデルボディであるヴァリアント・ドーマン、霊体の頭目が指差す先に、ザジの見たモノは意外な物体だった。


「ビルの外階段付近から突然出てきたんじゃ、あれは人ではなかろう......」


 頭目の言葉通り宙に浮いているマネキン人形が突然現れ、空中を滑る様に船の巨大霊体に向かって飛んでいるではないか!

 コレはヒドランジアチームの正体のマネキン人形である。


「よく見て、太いレールの様な霊糸の上を滑る様に移動している! 」


「なんじゃと! 何処に行く気じゃ......まさか」


 ザジの指摘に驚く頭目、霊力で飛ぶなら霊力の浮力ブースト切れが落ちるのが確実である長い距離。

 それを真っ直ぐ支障なく、モノレールの様に船の巨大霊体まで進んでいく様子が見て取れる。


「あれが本体に近いモノか重要なモノであることに相違ないのう! 」

「全員攻撃!! あのマネキンに集中攻撃じゃ! 」


 頭目の号令! 一斉にプレイヤー集団が、上から下からと攻撃を開始!


 ......かといっても彼らの遠距離攻撃は限られている。


 安定した標準の狙撃を行うには空気抵抗に囚われないように、レーザーポインターの如く、先に霊糸を標的に飛ばしてから、ミサイルや矢弾を射出する。


「 ! 」


 だがここで放たれた数本のミサイルは、着弾することなく反れて遥か違う処で爆散。

 一部のミサイルが反れる前に爆破を行う事に成功したが、爆片によるダメージや射撃の矢弾はマネキン側からのバリアで止められている。


「失敗したか! だがアタリじゃな、第二陣......突撃! 」


 再び頭目の号令と共に、上階のプレイヤー達の突撃が勧降される!

 ダイビングするかのように、次々とプラモデルのボディのプレイヤーが、飛び降りて来る様が映画のワンシーンの如く派手に映る。


 機動力重視のランキングプレイヤー達の、変形ロボットプラモデルの編隊飛行による射撃攻撃!

 息もピッタリの時間差ミサイル攻撃が次々着弾し、それらがバリアに阻まれるも足止めには十分な様子だ。


「よし! まず足止め出来たら成功じゃ、奴を船に近付けるでないぞ! 」

「このままワシらで霊糸を切断して孤立させるんじゃ! 」


 頭目の作戦通りに行けば、間違いなくマネキンは倒せるだろう。

 だがそこでレールの様な太い霊糸が一本ではなく、数多に張り巡らされている事に気付くのが遅かった。


「 !! 」


 船の巨大霊体がここで動き出す!


 数多の霊糸を引っ張る様に浮き上がると......

 再び鳥の鳴き声の様な声が響き、それは超音波の様に振動を起こす。

 それらが霊力で増幅されて霊糸を伝い。


 ビルの外側に張り巡らされている硝子を割り始めたのである!

 砕け散った硝子は正に凶器!


 そして霊糸に絡み取られ、取り巻くように引き寄せられ、巻き付く様に回転!


 風を巻き起こして竜巻の様になったソレを、一つ言葉で現すなら......


 暴風砂刃のハーベスター(穀刈機)だ!

 

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― 新着の感想 ―
ヒドランジアチームのマネキン人形はただ倒すだけじゃなく、一体どうしてこういう事になってしまっているのか事情を聴きたい!(*'ω'*) 船に突入してサーバーを壊すのが目的だけど、これはそう簡単にはいかな…
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