七十一話「ガチャに水着は含まれない」
遅れてすみません
ロボアーミーリーダーに憑依しているダニエルがその様子に反応する。
「霊力を補給するパーツを自作する事は本来出来ないのが当たり前なんですが、自作で可能にしたのは我々以外に居たんですね」
霊力は霊体無しでは拡散してしまい固定出来ない消費エネルギー。
タンクに保存するには特殊なガスを使って運営側が作成したタンクのみ可能にしていたため、他に存在しないモノと運営が踏んでいた様だ(よって制限パーツに指定していない)。
だがザジ達亡霊にとっては、一定のボックス形状と保存に必要な霊糸回路が作れれば殆どの亡霊でも作成可能だったのである。
これ等はザジ達亡霊達が、取引等で使われる通貨としても使用している。
「いけるうううう! 今なら技の連発も可能おおおお! 」
菊名はちょっと霊力の急速補填によりハイになっている様子。
「ちょっと! 菊名ちゃん! 何荒ぶってんの!? 」
愛華がテンションの高い菊名に焦る、アプリの霊力量が許容以上の霊力量を表示。
スマホゲームで言えばスタミナがオーバーフローしていると言うところ。
「俺が先に出るよ、前衛を打ち崩すから背後の支援アーミーに攻撃を! 」
ザジが菊名達の前に出る、藍色のボディのプラモデル騎士が盾を構えると、以前のボディで使用していた大剣と盾がセットになった武器を手に装備した。
「二依子! スキルをタップして! ハイ・ファントム・オーヴァードエッジ! 」
「うん! 解ったハイ・ファントム・オーヴァードエッジ! (タップ)」
ザジの大剣から霊力の過剰な刃がほとぼしる!
吹き出す炎のような不定形な刃はゆっくり形を整えて、しっかりとした刃に変わって行く。
「ハイ・ファントム・オーヴァードエッジ! 」
「"ツヴァイヘンダー"!! 」
霊力の刃は騎士大剣「ツヴァイヘンダー」を模した形状に変化!身の丈を上回る長さを利用して、一気にアーミー達へ凪ぎ払いを慣行する。
「でやあああ! 」
盾から飛び出すパイルバンカーを床に突き立てる!
グルリと周囲を滑走しながら弧を描き、大きく広がる凪ぎ払いを繰り出すと、そのスライドした間合いに吸い込まれる様にアーミー達が切り払われる。
「凄い! あれじゃあ防御もへったくれもない! 」
ダニエルが後方に下がりながら、吹き飛ぶ部下アーミーを見て驚愕していた。
「盾アーミーも防御を突き抜けてる! 相手の前衛が崩れたよザジ君! 」
二依子が状況を確認、やはり亡霊の霊力は半端ではなく。
元よりアーミーの装備で防御可能な威力ではない為、受け止めたアーミーは横一文字に凪ぎ払われて装甲は意味もなく断面図を見せる。
「二人もやられたか! カウンターだ! ファイヤー! ファイヤー! 」
ダニエルの指示によるザジに向けての反撃射撃!
アーミーが装備した霊力で動く自動小銃が精密な射撃でザジを狙う。
「ファントムシールド! 」
防御を先読みしていた二依子により、タップされたスキルによる防御スキルが発動する、盾の装備は反撃の対応の為でもあるのだ。
「アーミーの盾持ちが居なくなったぞ! 今だ!二人とも! 」
ザジを背後に待機していた菊名のフィギュアが剣を構えると、可動枠を生かして両手持ち、霊力を剣に走らせてアーミーに飛びかかる!
「おおおお! アストラルソード! 六連ーッ!! 」
「六連!? 」
菊名のスキルリクエストに愛華が驚きながら必死でタップする!
当然六回分!
これは過剰に供給されたとは言え、完全に霊力満タンから枯渇までの全回数分である。
「どりゃあああ、三段斬り! 」
補給アーミーに一太刀で武器を切り払い、二太刀で装甲を破り、三太刀でアーミーの内部ボディに剣を突き立てる。
「行ける! 菊名ちゃんもう一体! 」
愛華の指示は補給アーミーの近くにいたもう一体のアーミーを指している。
「もう一体! しゃああああ! 」
そして続けて三段斬り!
隣接していた秘書アーミーに獣の爪のような連続斬擊跡が胴体に刻まれて、こちらも内部に一太刀入ったのか霊力が漏れだして倒れる。
「よっしゃああ! もう全く動けないわ! (ガクー)」
動くにも霊力不足になった菊名のフィギュアボディが、ガス欠にでもなった様にピタリと止まって、膝からへたり混む。
この時点で残るアーミーは一体のみ、CEOの操るリーダーアーミーである。
「いやあこれは本当に凄い、我々の想像を超えた強さだよ」
ダニエルはザジ達の力量を見て感服しているようだ。
「実は全く勝てる気がしなかったよ、経験の差を見せつけられた、強いパーツで固めて延々と隙をついて戦うのは亡霊相手には意味がない様だね、そして徹夜もキツイ(笑) 」
ダニエルは完全に勝利のビジョンが無くなっていた、亡霊の参戦はそれだけバトルのバランスを傾けている様だ。
「アーミーも面白い装備をしてたよ、あなた方が亡霊だったならこうは行かないよ」
ザジの亡霊らしい感想が返ってくる、そして剣を構えて終演の時間の刻を刻む為にトドメの一撃の霊力を込める。
「おっとザジ君、その前に他の試合の開始ゴングも早めに鳴らそう、スケジュールが詰まっているんだ、ウチの秘書のルカ君にお願いしよう。」
憑依から抜けた秘書らしき女性がワタワタとモニターの方に向かう、別の会場ではヒドランジアチームとKIRIKUチームのバトルがスタンバイされている。
「こちらルカ、たった今ヒドランジアチームとKIRIKUチームのゴングを鳴らしました」
「サンキュールカ君、では私も悪足掻きしようか、ここで君達に隠しポイントの発表だ! 」
「へっ? 」
ザジや二依子、菊名と愛華は突然の発表に目を丸くしている。
「ナニそれ? 」
二依子が聞き返す、全く知らない様だ。
ダニエルはそれを見て答える。
「このイベントバトル全体でチームの人気投票を行っているんだよ、アピールポイント( ! )と言った方が良いかね」
「それが何の特になるって言うの? バトルに勝ったら良いじゃない」
菊名は知ったことかと言わんばかりの顔をしている。
「よく聞きたまえ......ポイントは後に豪華景品の交換と、次回に行われる大型アップデートでのリニューアル! つまり全スキルリセット後に引けるパーツ&スキルガチャチケットとの交換を予定している! 」
「つまりポイント次第では十連ガチャチケットが沢山手に入る! 」
菊名と愛華が思考停止、二依子も困った表情を見せた。
愛花がここで聞き出す。
「私達のポイントはいくつ位? 」
ダニエルは答える。
「425ポイントで現在四位! 人気がザジ君に集中していて女性の"ウチに来て"アピールで稼いではいる様だが上位には届かない」
「......」
ポイントの状況に菊名と愛花が考えをまとめる。
二依子に対して期待の眼差しを向けて言う。
「センパイ......水着になりましょう! 」
「何でよ! 」
二依子の適格なツッコミの返しはユナに似ていた。




