六十五話「ユナの家系」
このあとの展開がちょっと複雑な為に、整理が必要になってしまった。
二依子の通う学校はN市のごく普通の進学校だ。
故に図書室は進学の為の各種書籍が多く並び、デスクでは勉強する為に休日でも登校する学生が黙々と勉学に集中していた。
「失礼します......のじゃ」
モジモジと腰が引けた頭目が図書室の戸を明けて入ってくる。
図書室で流石に静かにしておけば目立たないだろうと考えられる。
目指すはこの学校の記録、卒業生の名簿に当たるアルバムや部活の記録等である。
「何とか図書室潜入に成功したのじゃ、卒業生のアルバムらしき書籍棚も丁度直ぐソコに見えるのう……」
「頭目様、三年前のアルバムを見つけてください、例のチーム登録者の名前があるはずです」
黒服達の声に従い頭目が棚のアルバムの列に手を付ける、だがここで欠けている卒業アルバムのバックナンバーが有ることに気が付く。
(はっ! 丁度三年前の記録が無いのじゃ! 誰かが持ち出しているようなのじゃ?! )
周囲を見渡す頭目、黒服達も想定外の事態のようで困惑したやり取りが続く。
「......あれ? もしかして頭目さん? 」
そこに現れた女子高生、頭目は面識が無いがはっきりとその顔に見覚えがあった。
「お主は! 確か日奈代二依子とか言う......」
そうその場で頭目が面識を合わせたのは、今日登校してきていた二依子だ。
部活動で本日のバトルに対するミーティングの前に、調べモノをする為に図書室に来ていた。
「本当に頭目さんだ! あれ? プロフィールに二十歳って書いてたような......」
「 ! 」
ここで馬鹿正直にバトル登録時に、ガバガバなプロフィールを書き込んだと言う失態に頭目が嘆く!
「しまったのじゃ! これでは潜入したのがバレてしまうのじゃ! 」
慌てる頭目、だが二依子の顔は笑顔で応対してきた。
「潜入なの? 頭目さん何か探しているの? 」
「ぐぬぬ......お主はワシを警戒せんのか? 」
ここでの二依子は以外に頭目に対し以外にとてもフレンドリーだ。
何故なら頭目の戦いを見て二依子は憧れを抱いていたのである。
「警戒なんてしないよ、むしろ会えたのがビックリだよ!話ししてみたかったんだ」
「お、お主、あの亡霊のガキ(ザジ)の仲間じゃろう? 」
その反応に二依子は喜んで答える。
「うん、そうだよ、ザジ君も頭目さんのバトルをハラハラしながら見てたんだから」
頭目はやや赤面して言い返した。
「あの小僧は今度こそ祓ってやるんじゃ! ......そんなことよりここにあったアルバム知らんか? 」
「あー、それなら今日のポゼ部のミーティングに使うから借りてるよ、どうして三年前の卒業アルバムを探してるの? 」
頭目は二依子からアルバムの事を聞き出すと、その中に書かれているであろう名前を二依子に訪ねる。
「そのアルバムにあった秋山蒼々花と言う名前の卒業生を調べとるんじゃ」
「......」
蒼々花の名前を聞いた二依子は、急に真剣な面持ちで頭目の手を取って言い返した。
「頭目さん! 」
突然二依子が頭目ににじり寄る、顔はとても真剣だ!
「ななな何じゃ! 急に」
「今すぐ部室に来て! 早く! 」
二依子の提案に頭目も困惑、だがここで図書室の扉が急に空いた。
「見知らぬ生徒が居たと聞いて探しているんだが......」
入ってきたのは教員だ、他の生徒から報告を受けて探し回っているらしい。
(......頭目様、それは危険です! 逃げましょう! )
「何じゃと! あわわわ! 不味いのじゃ! もうバレたのじゃ! 」
二依子はここで目を光らせて頭目の手を取ると、図書室の入口に連れていき廊下に引っ張って行く。
「頭目さん! 私が連れて行くからこのまま部室に行こう、そこなら安全だよ」
「頼むのじゃ! 」
頭目はあれよあれよと二依子に連れられ、ポゼ部の部室に逃げ込んだ。
******
部室には困った顔のザジとユナが居た。
「制服コスプレ陰陽師......何て如何わしい職業なんだろう」
ザジが呆れている。
「なんかあったら教員に突きだして、通報してもらおう。明日の朝刊の一面になるよ」
ユナは黒服達に追い回された過去が在るゆえ、ここいらであの時の怨みを晴らそうと踏んでいるらしい。
「や、やめるのじゃ! ここで派手な振る舞いは避けたい、何とか水に流してくれんかのう? 」
二依子が対立中の頭目とユナの間に入る、宥めるようにユナのクマに手を置くと頭目にも微笑みかけて和解を促す。
「もう、駄目だよ二人とも、頭目さんは大事なお客さんなんだよ? 」
(大天使!二依子エルじゃ! ......ありがたや)
陰陽師が宗派も御仏も呆れる暴言を、キリスト的な発言を心の内に叫ぶ。
「まあいい、この人には一度聞きたいことがあるし......答えてくれたらどんな因縁であっても水に流そう、ユナはどうだ? 」
ザジは情報が聞きたい様である。
「頭目さんに因縁は無いけど、部下の黒服達には一度燃やされそうになったから、出会ったら即! 目潰ししてやるもん! コノウラミ! ハラサズオクベキカ!! 」
ユナは可愛い仕草から想像もつかない、とてもバイオレンスな発言で黒服達を怯えさせる。
(頭目様、私そっちには絶対行きたくないです)
イヤホンから聞こえてきた黒服達は、ユナに祟られて怖がってる様だ。
「やはり聞きたいと言うのはお主、その札の事じゃろう? そのクマ(?) の様な何らかのものに憑いておる小娘よ」
ユナは指名された事に反応し、ヌイグルミ(?) のクマも背筋を立てて返事をした。
「はい、そうです是非ともこの札の詳細を詳しく簡潔に! 」
「......実はワシらもようわからん、回答しようにも文献も記録もわからんのじゃ」
ユナはその回答に驚愕を禁じ得ない!
「えええええ! 何でそんなもの燃やそうとしたりしたんですか?! 」
クマの姿でたじろくユナの反応に、頭目が答える。
「発動してすぐなら燃やしても自傷作用も薄いと思ったんじゃ、施設は幸い心肺蘇生も可能じゃと聞いておる、あの時なら″ギリギリ″生き残る可能性が無きにしもあらずと言う事じゃ」
「そんな無責任なー! 」
ユナの反応に頭目も首を横に振って言葉を返す。
「仕方ないじゃろう、古代の未知の式神の札なんぞワシらの手に余る、大体その札はお主の家系のモノじゃろう? 」
ここでユナが自身の家系の事を思い出す。
「確か、ウチの家はかなり昔は山の奥に住んでて、都会に引っ越して来たとか言ってた様な......」
「家系の詳細は大体は察しておる、お主の札は只の式神札ではない、式神の業を応用した別の何かじゃ」
「 ! 」
頭目はスマホを出してある画像を見せた。
「これを見よ、この画像に写ってるモノは何じゃと思う」
その画像にユナとザジがざわめく!
そこに写ってたモノは土人形、そう埴輪だ!
「これ......あの時に俺達と戦った土偶の兵士! 何でこの画像が? 」
「宗家の倉の奥に厳重に封印されたモノじゃ、だがこの埴輪は壊れていて動く事はなかった、だが腹の部分を見てみい」
埴輪の画像の腹部に注目する二人、その注目の先に何やら飛び出したモノが見える。
「何か木で出来た破片の様なモノ見える。」
ザジは自信が戦闘で破壊した埴輪を思い出した、同様にユナもその事を思い出す。
「埴輪の中央に″仕込まれた″のは木札じゃ」
「 ! 」
ここで「木札」と言うキーワードに二人は驚愕する。
「つまりお主の家計は″コレ″を作っていたモノ達の、末裔と言う訳じゃ! 」




