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走る方舟の憑依玩霊達(ファントムズ)  作者: 丸ーニィ
第二章一部 憑依バトル編
61/203

六十一話「何とかジュラオンアーク」

ちょっと更新遅くてすいません


 ボロボロの人形を見てザジが言う。

 

 「俺達と違って群れる事を知らない亡霊は″ノマド″と言うんだ」

 

 「あれじゃ悪霊とか言われてもおかしくないと思うだろ? 昔の亡霊はひとりぼっちで互いを牽制し合う存在だったんだ......あれも一つの亡霊の形だ」

 

 ザジの解説は何処か孤独感が感じられる、ユナはザジの言うその話題に心当たりがあった。

 

 「カンチョウが過去に、激しい霊力の奪い合いみたいなのがあったって......」

 

 「ああ、基本的に霊力は不足するから、奪い合いは必須だったんだ、あの人形もそうして存在の維持をしてきたと思う」

 

 ユナの心当たりにザジが答えた。

 

 「陰陽師さん勝てるのかなあ? 」

 

 不安な顔の二依子は、割りとヴァリアント・ドーマンが気に入ってた様子。

 

 「あの人形の手足、よく見たら長さが微妙にチグハグだ、いい加減にパーツを見繕った様に見えない? 」

 

 二依子の言葉に反応するようにザジが、人形のボディを分析する。

 

 「( ! ) もしかしたら俺なら何とかなるかもしれない、でも今は陰陽師の人が戦ってるからどうしようもないけど」

 

 画面の向こうではヴァリアント・ドーマンが苦戦する姿が写っていた。

 

 「でやあああ! 悪霊退散! 退散! 退散! 退......! 」

 

 「効かぬ! 効かぬ! 効かぬわ!! 」

 

 激しい双方の打ち込み合いが行われている。

 

 剣を振るうギガンティックパワーローダー″ゼンキ″の腕が軋み、音を上げる。

 

 「ぬおおおぉぉ! 負けんぞ! 」

 

 「ふはははは! 」

 

 互いの打ち込みにより装甲は疲弊し、表面が白化変色を起こす。

 

 ソレだけの一撃に乗せる霊力を増やさなければ、致命傷を与えるには遠い。

 

 ここでヴァリアント・ドーマンの攻撃が止み、受けの姿勢になった。

 

 「くははは! どうしたそんなものか?! 陰陽師! 」

 

 呪いの人形は小さなダメージを諸ともせず、床屋のカミソリを振り回して襲いかかる。

 

 ヴァリアント・ドーマンもゼンキの腕に装備した大剣「DX(デラックス)陰陽セイバー」(ダイキャスト制)で抵抗するが……

 

 「ぐあああ! おにょれええ......(フラフラ)」

 

 受け流す剣術もおごつかない、憑依している頭目はもう霊力がカツカツでグロッキーだ。

 

 「奴の霊力の回復が段違いに早いのじゃあ! 」

 

 スタミナ管理制のゲームでの対戦では、回復を早める方法を取る方が優位に立てるだろう。

 

 今は正にソレのような状態に近い。

 

 ヴァリアント・ドーマンは式神の補助で回復力を賄っているが、頭目本人の霊力の器が小さい為か打ち込み負けをしていた。

 

 「頭目様! 奴の後ろに注目してください! 」

 

 「ムムッ! 」

 

 その視線の先、そこに見えたのは三人のスキル管理者。

 

 亡霊一体に手綱を握るスキル管理者が三人居る......と言う相手チームの構成は、ソレだけ″呪いの人形が強力な亡霊″と言うことに違いはない。

 

 「腕でも足でも破壊出来たら、スキルによる呪縛が崩れて霊力バランスを崩すかもしれません! 」

 

 「なるほど! こやつは繋がれとる方が正気で居られる可能性があるのじゃな! 」

 

 黒服の分析が以外にも的確に冴え渡り、勝利の光明が見え始める。

 

 ......が、以前強力な一撃一撃が以前此方の霊力や装甲やらを削っていく事には変わり無い様だ。

 

 「決めてやろう! これで終わりだ! 陰陽師!! 」

 

 呪いの人形が右手に何か掴んでいる、いつの間にか手に鉛玉を持っていた!

 

 どうやら口の中に入っていたモノらしく、比重の高いその鉛玉は呪いの人形の武器の様だ。

 

 「ありゃなんじゃ? 散弾銃の弾か? 」

 

 頭目の見解の通り、狩猟用の散弾である。

 9粒弾と言う猟銃の大きめの散弾が頭に入ってたと見て良いだろう。

 

 「何じゃ? 投げる気か? 」

 

 呪いの人形の動きに応じてヴァリアント・ドーマンが防御の姿勢を取る。

 

 「はあああぁぁぁぁぁぁ!! 」

 

 呪いの人形が鉛玉を投げる仕草をしている様だが、鉛玉に異常な霊力が集束していた!

 

 「 ! 」

 

 モニターの向こうでザジが驚く。

 

 「どうしたのザジ君? 」

 

 ユナはザジの反応が気になった。

 

 「集束した霊力は多分加速化だと思う、けど比重の高い鉛玉だから、もしかしたら″重力″を上乗せした加速化かもしれない! 」

 

 「そんなことが出来るの! 」

 

 「物理強度の軟化と対極する技だ! ねぱた姉さんが使える! 」

 

 ザジの返答はユナはおろか二依子も驚く! モニターに注目が集まる!

 

 モニターの向こうで、呪いの人形が投げた鉛玉がゆっくり宙に浮いていた。

 その鉛玉には霊力が込められ異様に回転し、緑色の霊力を帯び始めると、1拍置いて急激に加速し始めたのだ!!

 

 「不味い! 」

 

 ......頭目の回避は間に合わない!


 ヴァリアント・ドーマンはパワーローダーゼンキの合体により表面積が大きく、素の状態で回避は不可能!

 

 だがここで背部のシキガミパック″鳳″が突然分離!

 鉛玉目掛けて突進を慣行した!

 

 「ああ! 勝手な事を! 」

 

 突進先では爆発的な加速を産み出した鉛玉が、大砲の弾の如き爆音を放ち!

 

 「 !! 」

 

 一気に加速!!

 シキガミパック″鳳″が衝撃でバラバラに爆散した!

 

 身代わりになったのかヴァリアント・ドーマンには直撃はなく、掠める程度で終わっている!

 

 「頭目様! 」

 

 黒服の隣に眠る頭目の本体、式神のダメージが自傷作用で頬に血が滲む!

 

 「慌てるでない、中の札は軽いダメージじゃ! 飛べはせんがのう」

 

 呪いの人形がほくそ笑む幻術を顔に施す。

 

 「かわしたか......だが次は無いぞ! 」

 

 呪いの人形の口が開く、カランっと音を立ててまた鉛玉が出てくる!

 

 (こやつ! 過去に射たれた弾でも体に残しておるのか? 何処かに穴が空いているのか? )

 

 見た目からして頭に空洞が有るように見えない。

 

 (破損ダメージを補修しておる、頭の何処かに弾痕がある? )

 

 「二度は撃たせん! 」

 

 頭目のヴァリアント・ドーマンが一気に間合いを詰めた!

 

 「そう来ると思っていたぞ! 」

 

 加速化霊力で鉈の如く降り下ろされるカミソリ!

 対強度軟化霊力を帯びたヴァリアント・ドーマンのダイキャスト剣と激しくぶつかり......

 

 ガキィィン! と大きな金属音と共に、相殺した霊力が弾け!結果双方の武器が砕ける!!

 

 「まだじゃあ! 」

 

 ヴァリアント・ドーマンがパワーローダーの腕を使って取っ組み合いの姿勢を見せると、呪いの人形は「受けて立とう」と言わんばかりに取っ組み合いに応じた!

 

 「腕の長さでは負けんぞ! 」

 

 リーチは確実にヴァリアント・ドーマンのパワーローダーアームが上回っている!

 だがそのパワーローダーアームに呪いの人形の小さな腕が、押さえ込まれる所か逆に押し返される位の力で負荷が掛かる!

 

 「ぐうぅぅ! 何て霊力じゃ!! 」

 

 亡霊特有の″霊体の手″が小さな腕からはみ出る位の霊力を見せて、ヴァリアント・ドーマンのパワーローダーアームに絡み付くように取っ組み合う!

 パーツが軋みだし、頭目の霊力が削れ始めると......

 

 「選択を間違えたな! 」

 

 「 ! 」

 

 呪いの人形がケタケタと笑う! 口が大きく開いて内部が開く!

 

 (はっ! 先ほどの鉛玉が手に持っていたはずじゃのに! 口に入れ直しているじゃと!! )

 

 そう、今呪いの人形の口の中で緑色の霊力が重加速化を始め、鉛玉が放たれるのを準備していたのだ!

 

 「頭目様!! 離れて! 」

 

 「のわああぁぁぁ! 無理じゃ!! 掴みが激しくて逃げれん! 」

 

 絶体絶命のピンチ!

 

 ......だが!

 

 取っ組み合うパワーローダーの腕が急激に、呪いの人形の腕を押し返し始めたのである!

 

 「へ? ななな何じゃ? おおおお? 」

 

 頭目の霊力はとっくにカツカツで、底力なぞ出してはいない。

 だが明らかに腕を絡む呪いの人形の霊力を押し返す謎の力は″別の何か″だ!

 

 モニターの向こうでザジが驚愕の声を出して言う!

 

 「あれが式神の力!! 」

 

 ......そこで手力(タジカラ)を授けたのは、正に式神。

 

 プラモデルのパーツにまで堕ちても尚発現する、式神″前鬼(ゼンキ)″の意地の力である!

 

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― 新着の感想 ―
みちよさんがすごい絶体絶命の時に式神たちがいっぱい力を貸してくれてて胸熱展開ですが……恐ろしい呪い人形よりもみちよさんに勝って欲しい(読者の希望です)
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