五十九話「ご当地ロボ大決戦」
出身地は淡路島なもので……
「ご当地バトルがガチ過ぎて困る! 」
ポゼ部全員のこの時点での、ドン引きの感想である。
壮絶な修羅の国同士の殴り合い、料理で言うなら桐生うどんとタマネギバーガーが殴り合う!
(タマネギバーガーとは、そのまま輪切りのタマネギが挟んであるバーガーだ、淡路島にはタマネギのUFOキャッチャーが有る位のタマネギ推進国である)
話題をバトルに戻して......
上陸することによって艦橋の前に立ちはだかるムノノフ、戦艦AWAJISIMAの主砲の上に乗り上がる!
「グンマーの剣を受けるが良い! 」
ムノノフが刀を振り上げAWAJISIMAの艦橋を斬りつける!
豪快に振り抜かれた大太刀!
AWAJISIMAの艦橋はこの一撃で真っ二つに別れるが......
「え? ええ?! 」
観戦しているポゼ部の面々が、ここで大きく驚愕の声を上げる!
真っ二つになった艦橋、それはムノノフの一撃で両断されたのではなく......
自ら分割変形するダミー艦橋だったのである!
「何!? あれ? ......まさか」
クマボディでモニターにかじりつくユナが、ここでAWAJISIMAの動きに変動を感じる!
何かを始めている!
対戦相手のムノノフも割れた艦橋の前に居るのだが、手応えの無さに戸惑う。
そしてこの状況に恐怖した!
「まさかAWAJISIMAが″変形″している! 」
「これは不味い、嫌な予感がする! 」
ムノノフのプレイヤーが離脱しようと後ずさると、側面から突如強烈な打撃が襲い掛かった!
「″由良″ダロスアタック! 」
AIボイスが響き渡る!
AWAJISIMAの側面、航空甲板がアームの様なパーツに繋がれて延長したかと思えば。
そのまま航空甲板で殴り付けるという一撃が、ムノノフの胴部に直撃した!
この状況にザジが叫んだ!
「この戦艦、只の戦艦じゃない! 」
「「グラップラー(バトル)シップだ! 」」
ムノノフを上陸させたまま、AWAJISIMAの変形が始まった!
アームで延長された航空甲板や割れた艦橋、そして主砲までもがその位置から移動し変形のレールに乗る。
そのまままるで戦艦が巨大な″椅子″の様な形を模していく。
「なんだこれは! 何が起こって要るんだ! 」
先程の一撃が重かったのか片腕のせいなのか、ムノノフが刀落としてしまう。
床に突き刺さる刀、それを再び取ろうとムノノフは、AWAJISIMAから離れ落下。
「AWAJISIMAは変形してどうするの? ムノノフは片腕でも戦えるはず! 」
刀を回収するムノノフ、プレイヤーがダメージコントロールで霊力の漏れを塞ぐ。
「破損アームパーツの霊糸を切り離し完了! まだやれる! 」
ムノノフは五人分霊力の二人憑依型だ(スキル管理三人)、片方は補助に全力を使える。
だが戦艦AWAJISIMAはまだ奥の手らしき変形をしただけで、不格好な形状のまま浮いている様だ。
「ムノノフはどうするつもりなの? 近接攻撃で勝てないなら詰んでしまってない? 」
観戦している菊名がこの状況に首を傾げて言う。
ザジがここで言う。
「行くしかないんだろう、グンマーの″ムノノフ″はそう言うプレイヤーだと思う」
特攻......
正にムノノフが出来る最大の攻撃。
ザジがこの場に居たらそうする、正に攻撃は最大の防御。
「おおおおおぉぉぉぉぉ! 」
ムノノフが飛んだ!
AWAJISIMAの懐目掛けて!
そう、今なら変形の弊害で射角が一部制限されている!
多く並んでいる近距離用砲台も、″椅子″の形状をしている今なら飛び込んで仕舞えば当たらない!
そうなればこちらのモノだ!
ムノノフのプレイヤーはそう模索しているのだろう、だがそこで気付くべきだった......
何故″椅子″の形をしているのかと!
「一気に勝負に出るつもりね! 」
菊名がムノノフの様子を見て語る。
ザジもムノノフの状況に共感しているらしく、ここでの決着に理解を感じていた。
「もう決着を着けるんですか? 」
ユナはこの状況に着いて行けてないのか困惑。
画面では射角を逃れて距離を詰めながら懐を目指すムノノフが写る、愛華がユナに説明をし始める。
「五人分憑依型でも完全な五体憑依のAWAJISIMAは霊力の回復が見込めるの! 」
「対してムノノフは三人の霊力の″残り香″が失われたら、ボディ自体が動かないのよね」
「なるほど! あの腕のダメージが致命的だったんですね」
愛華の説明でユナが理解した、クマ(? ) のヌイグルミのボディで理解のジェスチャーする。
画面の向こうではムノノフが射角を掻い潜り、AWAJISIMAの正面に到達する!
ここでAWAJISIMAの最も大きいパーツ、諭鶴羽コンテナがオープン!
だが時すでに遅し!
ここで機銃や砲塔の展開するにも射角が艦体を巻き込む、AIの安全面を考慮したムノノフ側の狙いは其処に有る。
好機とばかりにムノノフが刀を構えると、AWAJISIMAの中央部分に向けてグンマー斬りを降り下ろした!
しかし!
何もコンテナから出てくるのは、機銃や砲塔だとは限らない。
「 !!! 」
斬りつけようとしたムノノフの振りかぶる腕に、強力な打撃による一撃が加えられ!
この一撃が再び刀を落下させる事になる。
コンテナから現れ、蹴りを放った物体!
そこに見えるのは、ムノノフよりやや小さい程度の大きさの″可動美少女フィギア″!
ムノノフの前に腕を組んで立ち塞がる、正に偶像を彷彿させるソレは!
椅子の形をしたAWAJISIMAを背負う用に合体!
艤装と合体した姿こそがこの......
戦艦( 娘? )AWAJISIMAの真の姿だ!!
「「なんんじゃそりゃあぁぁ!! 」」
モニターの前のポゼ部一同愕然!
ムノノフもその真の姿に驚きを隠せない!
そして遂に決着の時が来た!
戦艦娘AWAJISIMAの右腕が天を掲げる!
AWAJISIMA下部の第三艦橋が切り離され、飛び上がり!
手甲を思わせるパーツに変形!
「沼島ぁぁナックルゥゥ! 」
右腕に装着された沼島ナックルを構え、遂にAWAJISIMAの必殺技が炸裂する!
「「奥義! 第・三・艦・橋!! 正拳突きー!! 」」
宇宙戦艦史に残る驚異の大破率の第三艦橋、これを相手に殴り付けると言う暴挙!
つまりは「どうせ壊れるならこれで殴れば良いじゃない」と言う無茶苦茶な道理が今!
ムノノフの顔面を捕らえた!
吹き飛んだ頭部、残った右腕が虚しく空を掴もうと前に突きだしたまま。
ムノノフは今、崩れる様に落下していった......




