五十話「ブッピガァァァン!(効果音)」
「うわああああ! 」
駐車場の木霊する叫び声。
その場にいた全プレイヤーが駐車場の柱に隠れる。
「ウィッグ!今何キロ?! 」
イギリス代表のリーダープレイヤーの叫びと共に......
嗚呼、パンジャンが今!!
翼の幻想と共に、鳥になった!
そして
しめやかに爆散!
ちゃっかり安全面を考慮し、人のいない池の上で盛大に汚い花火となった。
生放送のコメントが画面を見えなくした位の盛況を見せ、バトルは好評のまま終了した。
いつから英国紳士は自爆を嗜むようになったのだろうか……
ことの顛末にポカンとするポゼ部一堂。
「何て酷いバトルなのかしら......」
菊名は白目になって立ちすくんでいた。
「とにかく一勝はもぎ取ったと見るべきだけど、見てるだけでお腹一杯......(ゲッソリ) 」
二依子がへたり込んで苦笑い。
終了後にネタが決まってハイタッチするイギリス代表の様子が、この後の心労を予感させる。
「考えるのは止めよう、アイツら只の自爆ジャンキーだ」
ザジがなだめる言葉をかける、ねぱたのボケ倒しに馴れた彼だからこそ、成せる技だ。
******
バトル終了を後にポゼ部の面々は二依子の家に集まって、祝(?)勝会を行った。
「戦いに勝ってネタはしっかり決められた......カンパイ......」
二依子の困った顔と共に、コーヒーやジュースを持ち寄った乾杯が開かれた。
「嬉しいけど私達、何にもしてないわ......」
「そうだよー、とにかくビックリして、更にビックリさせといて自爆なんだもん(抗議) 」
菊名と愛華は狐に摘ままれた顔のまま、勝敗が決しただけだったのである。
二依子が試合の結果を見る為に、速報サイトのまとめを見る。
「波乱の幕開けは私達だけじゃ無いようだね......」
まとめ動画にポゼ部の活躍が三分程でまとめられていて、イギリス代表の自爆が呆れられていた。
「紹介時間少なくない? まあしょうがないんだけど」
菊名が言う通り、注目の話題はポゼ部よりも初戦で会合した強豪、ギリシャ代表とグンマー代表の戦いだ。
スマホ画面のまとめ動画に注目が集まる。
(......)
巨大グンマー憑依ロボ「ムノノフ」がギリシャ代表に襲いかかる!
「グンマチャージ」から奥義スキルの「グンマクラッシュ」が炸裂!
ギリシャ代表のバトル憑依フィギアが、黄金のアーマーを砕かれて「何いいい!! 」と叫びながら頭から落ちる......
だが最後の力を振り絞り、謎の構えで繰り出された最終奥義スキルを敢行。
「!! 」
結果憑依フィギュアのボディが消滅し、ボロボロの黄金のアーマーだけがその場に彫像の如く組上がって残る。
自爆と言う形で決着が付いた......
(......)
「同じ自爆でも格好のよさが、天と地の差だね」
イギリス代表に対する二依子の感想は非情である。
「他のチームも結果が見えてきた......」
二依子がスマホをモニターに写して全員に見せる。
「エリア51代表は謎の残骸で作った″未確認飛行物体ボディ″を出したようだけど...... 放 射 線を含んでいたので失格になってるよ」
「「 アホかー!! 」」
これにはユナがもうツッコミを押さえられず、カバンから飛び出した。
更に結果が報告される。
「人工精霊作成チームは相手が悪かった......ブードゥー呪術チームには勝てなかったようだね」
「呪いの本業が来ちゃった......」
ユナがドン引きしながら見る。
「他にも勝ち上がってきたチームがあるけど......これはかなりふざけてるね」
二依子が眉間にシワを寄せて見ている。
「どんなチームだよ」
ザジの返答に二依子は答える。
「ポゼッションバトル運営チームよ、直々に運営が参加してるわ」
「なんじゃそりゃ?! 札を渡したくないってか? 」
「意図は解らないよ、公式でも発表は無し、イタズラだとか言われてるから......」
ザジも腑に落ちない顔をしている。
突然、スマホと睨めっこの愛華と菊名が騒ぎ出す!
そこには知った名前があった......KIRIKUの名前である。
「KIRIKU兄弟! 参加してるの?! 」
「私達の参加を追ってエントリーしたらしいよ、よほど前回のバトルが悔しかったようだね」
二依子が答える、ご丁寧に″果たし状″メールも来ているらしい。
他にも予選通過チームに注目が集まる。
「えっと......後は何かしら? コレ″南あわじ新国代表チーム″? 」
「また妙なタマネギ臭いチームが残ってる......」
御当地民にしか解らない寒いギャグをかましながら、ユナは微妙な顔をしてる。
「他には......」
二依子が何か急に黙り込んだ。
「なんですか? コレ″ヒドランジアの色″チーム? 」
ユナが二依子の肩に乗って見て言う、予選から上がってる謎のチームの名前である。
二依子は黙ったまま、ブツブツ言っているようだ。
(そんな......)
(まさか......偶然じゃないの? )
「二依子? 」
ザジは急に口数の無くなった二依子が気になってるようだ。
(......ハッ)
「何でもないよ、急にご免なさい」
周囲の反応に二依子が気がついたのか、再び二依子が口数を増やす。
「あと一試合」
「まだ最後の一試合始まって無いけど中継が来ているわね」
「対戦チームは何処と何処だよ」
口数を取り戻した二依子にザジが聞く。
「相手はドイツ代表″ファントム&パンツァー″と......」
二依子が不思議な顔を見せる。
「なにコレ? 」
「″機動《 陰 陽 》士 ヴァリアント・ドーマン″チーム? 」
「!!!? 」
ここでザジとユナが思考停止!
とにかく″陰陽″の二文字が、気になって目に焼き付いて離れない。
(ザジ君! )
ユナが不安の顔見せる。
(アイツら(黒服)、そう言えばユナの札を狙ってた訳だから、報酬になってる札も確保しに来ても不思議じゃない! )
ザジも気が付いていた、道理も合ってる。
「どうしたの? 二人とも黙り込んで、バトル始まるよ? 」
「 ! 」
ザジとユナがヒソヒソと話し合っている内に、バトルの中継が始まる。
(......)
モニターの向こうでは、ザジ達と同じ駐車場が映ってた。
既に相手チームのドイツ代表″ファントム&パンツァー″が準備万端で構える。
ドイツ代表の構成は生き霊戦車二人に、スカウト枠二人分の亡霊戦車。
そして三体の戦車隊のスキルを一手に監理するリーダーが中心となる、所謂″スキル監理多忙型″だ。
「パウル叔父さん、準備はいい? 」
リーダーの少女の問いかけに亡霊の入る戦車模型が語る。
「リナ、僕はいつでも大丈夫、みんなも行けるね」
大きい戦車模型の超重戦車「マウス」から亡霊パウルの声が聞こえる。
左右に展開した生き霊のティーガー戦車から少女の声が聞こえ、準備が万端だと確認された。
「オッケーみんな、そろそろ相手チームが出てくるわよ!! 」
ドイツ代表チームの前に、ザジ達には馴染みのある黒い車が止まっていた。
「......頭目様、カタパルト展開準備完了しました。」
これまたザジ達に馴染みの黒服の男が車中でスマホ片手に何やら操作をしている。
黒い車のボンネットに設置された、細長い箱状の滑走路が変形しなから展開する。
「システムオールグリーン! ヴァリアント・ドーマンセット完了! 」
中に競り上がる様にエレベーターから滑走路にセットされたのは......
紅いクリアパーツであしらわれた和風テイストの陰陽師風ロボットプラモデル!
「頭目様、何時でもどうぞ! 」
助手席にザジ達に馴染みのある、やたら恨み節を吐いていたあの女性″頭目″の姿があり!
眠る様に憑依状態になり、陰陽ロボのプラモデルに搭乗( ? ) する!
「アイハブコントロール......」
「ヴァリアント・ドーマン、ミチヨ・アシヤ出撃する! 」
ミチヨ・アシヤと名乗った頭目、霊体にパイロットスーツとヘルメットを体現する気合いの入れようである。
そしてカタパルトが緑色に光る、電光がほとぼしりヴァリアント・ドーマンが出撃する!
射出されたヴァリアント・ドーマンがフワリと舞うと、何かを待つ体制になる。
......黒服が続いて操作する。
「シキガミストライカーパック″鳳″射出! 」
黒服のボイスコントロールにより、カタパルトから別に戦闘機のようなフォルムの補助用マシンが射出!
式神″鳳″をプラモデルのパーツに組み込むと言う、暴挙に出たソレが変形!
空中で中折れ状態になって、紅い霊糸でヴァリアント・ドーマンの背部に接続する!
プラモデルなのに何故( ? )か重厚な金属音を鳴らし!
機動陰陽士ヴァリアント・ドーマンが!
ライフルを持った右腕と右足を曲げ、シールドを構えた左腕と左足を伸ばし!
煽り構図で目を光らせて、光の翼の様なブースターを吹かして!
カッコイイポーズを決める!
「行くぞ亡霊共! 祓ってやるぞ!! 」
この陰陽師ノリノリである。




