四十三話「マイエンジェルラブリー二依子」
他のまとめ後ほど
KIRIKU兄弟が立ち去った後、ポゼ部の二人がその場に残った。
生放送はザジが捕まった寸前で途切れている。
「むぐぐぐ! 」
ザジが人体に対し無力であると悟られてしまったが故に、愛華のボディプレスから逃げられない。
「愛華そのままよ! 上手く肉の壁で押さえといて! 」
「床が冷たいよー(……ダイエットしようかな……)」
菊名はアプリを起動させて霊体に対し交渉しようと試みる。
アプリには生き霊を確認する機能があるのだが、同時にそれ以外の霊体の存在を確認可能な事もあり
亡霊も確認出来ると踏んでの事だ。
「凄い! 亡霊がこんなにはっきり確認出来るなんて初めて! 」
「菊名ちゃん、どんな霊体なの? オジサンの霊とかだったりしない? 」
「顔が見辛いから解らないわ」
今さらにおいて恥じらいを感じている愛華に対して、菊名が情況を説明する。
「あれ? でもコイツ妙に小さいわね……プラモデルの後ろに写ってるけど小人みたいよ」
「見たいー! どんなのか見たいー! 」
珍獣を捕まえたかのような二人の様子に対しザジは抜けだそうと必死の様子。
愛華もアプリを使って押し潰しているザジを確認しようと覗き見る。
「本当だ、小さい! 可愛い! 」
可愛いの基準がなんなのか不明ではある。
愛華は拘束を解いてザジを掴み上げ、ヌイグルミの如く再び抱き締めた。
「タスケテ……ボディ……壊れる……」
ザジはグロッキーのようだ。
するとパルドとユナの霊声が聞こえてきた。
「ザジ君! もう戻って来て、時間が大分かかってるよ! 」
「抜け出せるか? ザジ? 出来なかったらこっちにリスポンするしかないぞ!」
近くに飛行船ドローンが隠れている様だ。
(く、悔しいがやるしかない……)
ザジが脱出困難と見てリスポンしようと霊力を分散する準備を始めたその時!
「愛華! 菊名! 止めなさい! 」
走ってきたのか肩で息をしている女子高生がそこにいた。
長い綺麗な長髪とやや細身の彼女は美しく気品に溢れていた。
「美しい……」
パルドの飛行船ドローン内でも、その姿を確認している。
「パルドさん誰か来ましたよ! 」
「今がチャンスだ! ザジ! 」
しかしここでザジの応答がない?
「おい? ザジ! どうした? 」
******
現場では菊名と愛華が現れた女子高生に対して挨拶している様子。
「日名代先輩、放送見てたんですか? 」
「見てたわよ惜しかったね……それより、その″彼″を離してあげて欲しいんだけど……」
「 彼? 」
愛華の胸元でグロッキーなザジを、その女子高生は心配そうに見ていた。
先輩と言われる彼女がザジを救いだす。
「助かった……」
ザジはその彼女に両手で優しく捕まれ、ボディの状態を確認されている。
「よかった……ザジ君、ボディの破損も少な目だ……」
ザジはようやくその相手を確認する、そこにはザジの知る人物が居た。
「二依子!! 二依子じゃないか! この情況なんだよ! コイツら何なんだ。」
そうそこに駆けつけた女子高生こそ、今回の目的地である二依子本人である。
「二人共、この子は私の大事な友人なの……ごめんなさい私が預かるね」
二依子の言葉に対して菊名が答える。
「先輩がそう言うなら仕方ないわ、愛華もそれでいい?」
「いいけど、彼ポゼ部の一員になってくれるのかなあ」
二人は仕方なそうに立ち去ろうしていた。
「って待ってー! 二人共! その制服ボロボロのまま帰るのは不味いよ! 」
はっと二人の外見を確認した二依子が二人を家に連れて帰る事にする。
(そのまま帰ったら家の人がビックリする!)
そうしてザジを連れてポゼ部二人と共に二依子の家に向かった。
******
一方、飛行船ドローンではパルドとユナが目を丸くしている、情況に着いていけてない。
「はあああああ? 二依子ちゃん来たああああ! 」
「うおおおザジいいい! そこ代われええええ! 」
お前等叫んでばっかじゃね?とツッコミが入りそうだ。
ザジを追跡するかのように上空を飛行船ドローンが追従する、予定よりも早く目的の女性に会えたのは幸いだが……
「ザジ君のピンチに颯爽と登場とか……二依子はんはマジもんのヒロインやでえ」
またユナのキャラがブレ始めた。
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場所は移って二依子の家。
神社の近く、二階建てのやや大きいマイホーム、そこの二階の部屋でポゼ部の二人がボロボロの制服の代わりの服と制服の予備を譲り受けた。
着替えながら愛華と菊名が二依子に礼を言っている。
「先輩ー、有り難うございます」
二依子は二人に簡単な今後の方針を啓司する。
「彼については追々説明するから今日はもうお帰り」
「はい」
二人がそう言うと、あっさり帰っていく。
「せんぱーい、また部室でー」
菊名が手を振る。
「はいはい……」
見送る二依子、ポゼ部の日常がゆるーく終わっていった。
「さて……」
二依子が庭先の窓を開ける、そこには着陸した大きな飛行船ドローン。
「乗ってるのは誰?」
ヒョッコリと出てきたのはユナだ、サイボーグ熊の姿が勇ましい。
「お、お初にお目にかかります! 私目がユナで御座いまして、此方がパルドさんです」
パルドは飛行船ドローンから身を乗り出して挨拶する。
「俺がパルドさ……(美人だなあこの子)」
二依子は飛行船ドローンを確認した。
「大きいね、これ部屋には入らないなあ」
「うわああん(泣き)ドクの馬鹿ああ! 」
そのまま外で泣くパルドを待機させて、ユナが二依子の部屋に入る。
ズラリの積み上がってるのはプラモデル。
幾つかの箱を漁って、二依子が作業を始める。
「ザジ君に合いそうなプラモデルを幾つかピックアップしておいたんだ、修繕するより早いよね」
ザジがここで″作品″のボディの話を切り出した。
「スマン、あのボディ……壊してしまって」
「いいんだよ、結果皆が無事生還したわけだし、気にしないでザジ君」
ザジの懺悔の言葉もあっさり許される。
「なんちゅうヒロイン力じゃあ! ピピピッ…(ボン)」
「あはは、この熊(?)の子も面白いね」
ユナのキャラのブレ具合にも、平然受け流すヒロインパワー。
「ユナちゃんだっけ? ザジ君から聞いてるけど変わった方法(紙札)で取り憑いてるって聞いたよ……」
ザジとSNSでやりとりしているそうでユナの話題を取り上げていた様だ。
「はい……体の札の事については私もよく解らないままなんです」
ユナの返答に対して会話する二依子。
「あれ? 私達普通に会話してる!? 」
「うん……昔から霊感が強いんだよ、ザジ君にあったのもそれが原因」
「なるほど……」
そうこう会話している内に二依子がスマホを出して何やら画像を出してきた。
「ユナちゃん、その札はコレに似てない? 」
「へ? 」
ユナが唐突にスマホの画像を見せられた、そこに写るモノは……
ポゼッションバトルの上位報酬画面に写る謎の紙札!
彦名札
であった。




