三十九話「憑依バトラー」
まだ煮詰めていないので容姿関連は次回にでも
夜も更け、遠くに街の明かりが見える。
そこを目指す夜間迷彩で飛ぶ飛行船ドローンがあった。
3m半はある大型の飛行船ドローンは、上空に上がって夜に紛れ目的地にゆっくり近付いていた。
「目的地は閑静な住宅街だな、人気のない場所で着陸したい」
パルドが操作しながらザジに家の場所を聞いていた。
「二依子の家の庭に降りて良いらしい、他の家の人も留守でアイツしかいないそうだ」
ザジはSNSで交流しているだけあって、家庭の事情も理解があるようだ。
「目的地には時間がかかる、十分に電力を備蓄しておくべきだな」
エンジンラジコンに使われるエンジンで発電しながら長距離移動行う、自作のグローエンンジン搭載の飛行船ドローン。
時にはフォッカーの航空空中母艦として扱われる為か、空飛ぶ戦艦のようなゴリアテ的な外装をしている。
「見つからないようにってのが難しいんだ、この街は以前ちょっとしたイザコザがあって……」
ザジの話しにユナが食い付いてきた。
「それが二依子ちゃんとの運命の出会いですね! ノロケてるなー! ザジ君は! 」
「いや、だからそこで会ったのは当たってるけど、そんなんじゃないってば」
困っているザジがとても新鮮であるらしく、微笑ましい顔でパルドが見ている。
「ム? なんだ? 」
ジャレあってる二人にパルドが急に静止を促してきた。
「しっ……何か霊声らしきものが聞こえる」
「……」
微かに聞こえるのは叫び声の様だ。
「……! ……!! 」
パルドが言う通り、ザジとユナにもその霊声が聞こえてくる。
「これは……戦闘している様に聞こえるんだが?」
パルドが状況に困惑していると、ザジがレストルームの一室から飛び出してガールズプラモデルから戦闘に使える騎士ロボボディに憑依。
ここで使うボディは、以前の騎士ロボットを改修したもので……
破損した手足を余剰パーツや適当な合うパーツで修繕、更にはカンチョウのブロックトイのジョイントパーツを貰って即席で改修したものだ。
「場所は近いな、亡霊じゃない可能性もある」
ザジは霊声の聞こえる場所を探る。
「亡霊じゃないって? え? 」
ユナの察した言葉通り、ザジが頷く。
「生き霊なの!? 」
ユナは自分の境遇がダブる。
「以前にこの街はとある"亡霊になった人間"が起こした事件があって、その影響で生き霊が多く見られるような事があったんだ」
「札も無しでどうやって!? 」
ザジは改修した騎士ロボットのボディで立ち上がって言う。
「簡潔に言うと、スマホアプリで生き霊を制御しているらしい」
「「 えええ!? 」」
ユナは以前に黒服達が霊力を探知するアプリを使って居るのを見たが、生き霊を作成するアプリがあることに愕然とした。
「最初は実験で作った非公開アプリで、ボディに霊体を移した奴が夜な夜な冒険ごっこするだけの遊び心のモノだったらしい」
「だが霊体のダメージや霊力スキルの使い方に気が付いて改良、次第に研究がエスカレートしていったんだ」
ザジが悠長に語る。
「結果アプリは完成した、霊体と肉体に掛かっていたプロテクトみたいな"モノ"を解除してしまう"憑依アプリ"だ」
「何て事を!……」
驚愕するユナを後ろに、ザジがボディの稼働をチェックする、そして準備を整える。
「まあ……話しはそこだけじゃないんだけど、今はそんな場合じゃないな」
飛行船ドローンの居住部分が開く。
ザジが騎士ロボットの背中にワイヤーを繋ぐと、風に煽られながら外に飛び出した。
風を受ける薄い霊力バリアを張っている。
ザジが凧の様に風に流されながら探知を詰めていくと、身を乗りだした甲斐あってか特定も容易だった様だ。
「見つけた! あそこだ! 」
建設現場が見えてくる、戦闘が行われているのはどうやらこの場所のようだ。
( …………! )
「やっぱり……! 」
ザジは建設現場の広い場所で霊体の気配を汲み取った。
「パルド、こっちだ……」
ザジに引かれてパルドが遥か上空をドローンで周回すると、二人の男女の人影が確認される。
両者の前に出ているのはフィギュアとプラモデルという様なボディを持つ霊体( ? )が二体。
両者両霊いがみ合いの構図。
生き霊と人がタッグを組んでいる状態である。
プラモデルやフィギュアの入った生き霊が戦う構えをし、後ろで人が携帯のアプリで何やら操作をしている。
「止めさせないと、肉体との定着が甘くなって取り返しが付かなくなる! 」
「お、おいザジ! 突っ込む気か!? 」
パルドの静止も聞かず、ザジは戦闘の間に突っ込む!
「アプリで定着した不完全な生き霊だ、近くにもう一人本体がいるはず……」
はっと思いユナは辺り霊体を乗り出して見渡す、すると離れた場所に人が倒れている!
「まさか本体ですか!? アレ! 」
ザジはワイヤーを外して特攻して行く。
「近いな! 行くぞ! 今ならボディを破壊しても肉体が近いから、フィードバックもほぼ無い! 今がチャンスだ! 」
剣を振りかざしたザジの騎士ロボット(改修)は、建設現場のビルの骨組みを縫う様にファントムブースターで飛んでいった。
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視点が変わり、工事現場中央の広場。
先程の説明の通り、ここでは両者両霊のいがみ合いが繰り広げられていた。
「コイツがランカーね! 愛華、準備は良い? 」
ツインテールの生き霊の少女が可動フィギュアに乗り移りライフルを構える。
「待ってよー菊名ちゃん、今スキルのデッキ更正終わるところだからー! 」
後ろの眼鏡の三つ編みの少女は、スマホの画面を操作している。
画面ではKIKUNAの文字と共に沢山の数値と、デッキと呼ばれるスキル画面が写っており。
画面下にはバイタルゲージらしき部分が表示、肉体の状態を表していた。
今度はいがみ合いをしていた男の方に視点が写る。
「ああ良いぜ! 嬢ちゃん、俺達がこの街の序列14位のランカー″KIRIKU″だ! 」
男の方もチャラい男がプラモデルに乗り移り、豪快のバズーカ二刀流を振りかざして構える。
後ろには顔はそっくりなのに真面目な装いの弟らしき姿があり、同じくスマホを構えていて。
同様に画面に″KIRIKU″の文字とデッキ、バイタルゲージが並んでいた。




