三十五話「おやつとフォッカーのおこずかいは三百円まで」
能力イメージ補足
ダメージコントロール能力"尻尾切り"
ボディに貯まっている霊力部分を一部だけ切り離し
腕や足を犠牲にして霊力漏れを防ぐ
ゲームのデメリットのある復活スキルみたいなモノ
霊体に対する物理攻撃自体は、霊体は水面に写る影の様な物で揺らぐけれども意味は無い。
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あの戦闘後、一日が経過。
破損部分の点検の結果、キャンパーの破損状況は"中破"状態と診断された、この時点での修理は可能であり大きく内部フレームにはダメージが届いていないのが幸いである。
中でも激しい戦闘のせいでキャンパーの屋根の補修作業が必要であり、一時的に山間の荒れた車道を外れて人気の無い野原で停車していた。
屋根の修理には全員が辺り、道中で拾ったスクラップや廃車を見つけてファントムスラッシュ等で部品を切り出しては削って合わせて……
溶鉱炉を使って溶かしたり流し込んだりと部品溶接作業が進む。
「溶けた鉄やアルミなんかは、ウチら霊体には別に熱くないし霊体の手で運んでも大丈夫や」
ねぱたは作業用の共同ボディであるロボットトイのモブロボット(ジ○やザ○的な)ボディでユナと作業を進める。
ユナは札から出れないが、熊のヌイグルミからは出れない訳ではないので札の箱を入れ換えて、別のヌイグルミに入り作業を手伝っていた。
「霊力で硬度を歪めて切り出したり、溶けたアルミを霊体の手で器用に掴んで形に入れたり、接合部分に会わせて接着したり…」
「みんな器用ですね(感心)」
ユナはてっきり簡単に修理なんて出来ないと思っていたが、見た目や形だけならすぐにも完了しそうな勢いである。
補助部品を付けて行く修理用のメックスーツから、カンチョウのブロックトイ人形が顔を出して言う。
「補修作業は順調だ、明日にも移動を開始する、みんなよくやった!! 」
カンチョウは3Dプリンターで補強に必要なパーツを作成しつつクルー全員にねぎらいの言葉を言う。
「だが屋根の補修は出来ても備品の消耗はどうしようもない……」
ドクは今回の巨大霊体のとの交戦での消耗を語る。
書き出された書類には多くのチェックマークと予想される金額が書かれていた。
「砲台の修理部品、消費した矢弾、破壊されたボディ、摩耗した車の部品etc……」
「自作可能な部分もあるが、やはり購入可能ならそうした方が楽だろう」
ドクは幾つかの部品や装備をまとめているようだ。
「この姿で買い物ですか! 仮にネットで買っても受取人とかどうするんです? 」
購入手段について考えるユナは困惑している様子をみせると。
ここでカンチョウが説明に入る。
「我々にも協力者が居てね、受取人は代行してもらえるんだが、迷惑な量になりそうなんで……」
「今回はそう言うルートではなく亡霊の商会を使おうと思っている」
カンチョウの話を聞く限り、案外仕入れに困らない様子だ。
ユナは興味を持ったのかその商会について問う。
「亡霊のお店ですか!単位はちゃんと円で買えるんですよね?」
詰め寄るユナに対するカンチョウの回答は……
「現在の相場で……一霊力は135円だったような」
「「 霊力に相場がついてるんですか!? 」」
驚愕するユナ。
ここで作業しながらねぱたが会話に参加する。
「宵越しの銭も馬鹿にならへんねん、んでもって霊力も買える時代やねん」
「だから奪い合いとかよりも平和的解決も可能なんや……まあ、海賊とかもおるらしいけど」
「「 平和的じゃないじゃないですかー!! 」」
今日もユナのツッコミは海賊王に成りそうだ。
修理が進んだ屋根の上はビニールシートで工事中らしい囲いが付けられていた。
中でザジがガールズプラモデルで作業を手伝ってる。
「いいのか悪いのかボディ不足でこれしかないんだけど、そろそろマトモなボディが欲しいよ」
ねぱたがザジに寄り被って聞く。
「なんや?もしかして例のあの子んトコ行くんか?」
ねぱたの問いかけにザジが困った顔で言い返す、赤らめた頬が以下にも分かりやすい
「しょうがないだろ、あの貰ったプラモのボディ壊しちゃったし……別に今のボディを修繕依頼してきても」
「 !! 」
ユナがその″あの子″に反応する。
コレは面白おかしいフラグに違いない! 電流が走る!
「うおお!何というジェラシー! これはヒロインとして、いざお顔を拝見させて頂きとうございますなウヘヘヘ! 」
もはやヒロインとは何だったのかとも言わせるフリーダムな発言のユナは、お代官の前にいる越後屋みたいである。
「ドク?長距離移動を出来るブースターセットって出来る?」
ザジはドクに移動補助の乗り物を作成出来るか訪ねる。
やはり例の彼女に頼みに行くようだ。
ドクはコンテナをチェック、妖精達を使って何やら組み立て始める。
「キャンパーからの距離的には遠くないが住宅街に侵入する以上、人にバレないようにしないと……」
「解ってる、ニ依子以外の人間には気付かれないようにするよ」
ドクの助言を聞き、ザジの長距離移動プランが提案される。
「推進力ブースター搭載の飛行船ドローンで移動し、現地で体を即交換でいいか?」
ドクの回答は使い捨てのボディでの交換による運搬だ、ザジなら可能という事が前提だろう。
大丈夫と胸を張ってザジがサムズアップする。
「キャンパーの外でやると霊力の消費リスク大きいけどね、タンクでも乗せてれば大丈夫」
「なるほど、では連絡するのです……メールでも何でもレディー・ニ依子に今すぐにでも」
ここでフラリとユナは老師のような口調になって、ザジに逢瀬をレクチャーし始めた。
「何だよう……急に困るじゃないか、花とか持っていかないぞ、アイツの部屋に飾るとこ無いからな! 」
ドクが大型コンテナとドローンを合体させた様な運搬用飛行船ドローンを出してきた。
「コイツのテストも兼ねよう、夜に紛れて飛べば人に見つからない様に迷彩を施しておく。」
「サンキュードク! じゃあ二依子にダイレクトメール出しておくよ」
ザジはちゃっかりSNSでのID交換位はしているようだ。
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カンチョウは先の予定を組始めた。
「まず、備品の購入は″地下帝国″で行う」
「地下帝国?! 何ですかそれは! 新手のデパート? 」
ユナの反応は実に正直である。
「近隣の超大型の亡霊コミュニティーだ、ちょっと移動をしなければならないが市場が確立しており取引しやすい」
「ついでにユナちゃんの札の情報も貰えそうなアテが居るねん、其所の最古参は結構亡霊(?)を長いことやってるらしいわ」
ここでねぱたが作業を終えて会話に参加する。
「俺は例のロボットの時にメールで知り合った、オペレーターの人に連絡してみようかな」
フォッカーが以前にジェスチャーで聞き出したロボットの操作先のメールアドレスを、ここで使おうとしている。
全員が驚きのあまりギョッとした。
「では君たちのせいで酷い目にあったと打診しておきたまえ、……うん、カンチョウ命令だ」
「あッハイ(即答)」
フォッカーの肩に手を置いたカンチョウ、目がちょっと据わってて怖い。
カンチョウが続けて活動プランを立案する。
「市場での購入には限りがあるから、細かい備品は別のツテの人間の協力者を頼る」
「我々に協力してくれるなんて凄い良い人なんですね」
ユナの反応も再び正直だ。
「サーバールームのラマー君のコネだよ、備品の購入案件は後でレストルームで皆集まって協議しよう」
こうしてそれぞれの予定が決まり、"購入備品会議"がレストルームで行われる。
(……)
そうそこは決戦のバトルフィールド!
購入備品は限られる資金で行われる為、あれこれ欲しいは正に法廷の如く審議に掛けられるのだ!
「意義あり!! 」
「フォッカーさんが″ロボットのオペレーターに贈る花″は購入の必要はありません! セコセコ夜なべして造花してください! 」
そこでは既に、"ノリ"を完全に把握したユナが購入者被告人フォッカーを論破していた。




