三十三話「双撃(ファントムズペイン)」
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「マタシテモ! 箱ノクニノ民共メ! 」
巨大霊体の土偶ボディがまたしても、熱砂のショットガンを撃ち始める。
「間髪入れずバンバン撃つなあ。」
ザジとねぱたが付け入る隙を伺いビルを盾にして、顔を出す。
キャンパーのエレベーターではフォッカーの参戦で事態は好転しており、壊滅も時間の問題。
速やかに援護射撃でエレベーターを攻撃しなければ、巨大霊体側も振り出しに戻るを繰り返す。
そう、状況は変わりつつ在る!
「オノレ!兵ヲ失ウ位ナラ......」
自らの隙を晒して、巨大霊体が口を開けて砲撃に掛かろうとする......が
「足リヌ! 足リヌゾ! 火ガ足リヌ! 」
そう弾(熱砂利)が足りないのだ!
キャンパーのバリアに覆い被さる胴体部分から、再び火災の熱と砂利を取り出す様に持ち上げると。
首筋に大きな溜まりが見えて、巨大霊体の首が光り始める!
「「またあの攻撃(熱砂の砲撃)を撃つ気だぞ!! 」」
カンチョウの叫びが木霊する。
キャンパーのバリアに引っ掛かりながらも、ゆっくりと巨大な顔の方に熱砂利の溜まりが移動を開始。
ユナがその様に反応する。
(キャンパーのエレベーターみたい......ってあれ? )
巨大霊体の様子に違和感を感じる。
そこに悠長に待ってられないねぱたが即、行動に出ようとするが…
「させるかー! ってザジ? 何で止める! 」
ザジがねぱたの行動にストップをかける。
ザジは巨大霊体の喉元を指す。
(姉さん、あれが喉まで来るまで待って! )
そう、その時巨大霊体の喉元に異変が発生していた。
離れて見ていたユナも様子がおかしいのに気がついた。
(膨らんでる! 以前よりもカエルみたいに膨らんで喉が圧迫されてる! )
「グゴゴゴ、喉ガ! 」
巨大霊体も驚愕しているようだ!
「エエイ! コンナ事デ、臆スル我デハ無イ! 」
ここで巨大霊体は膨らんだ喉の熱砂を口に運ぼうとする、その隙にザジがファントムニードルを土偶に向けて発射。
「キカヌ! 」
霊糸の布のバリアが、急遽生えてくる様に飛び出してガードする!
これにねぱたが驚愕した。
「ザジがあんなに斬ったのに、こんなあっさり生えてくるとかおかしいわ! 」
「いや......でも見て、アイツの喉! 」
ここで更にザジが指摘する、巨大霊体の膨らんだ喉元......
そう、以前よりも膨らみが大きくなっている! もうはち切れんばかりだ。
「......」
「ははーん(ニヤリ)」
ねぱたが今、物凄く!暗黒微笑を浮かべた。
「グギギギ! 」
巨大霊体は砲撃の準備に手一杯であり。
最悪の......
″ウィークポイント″
......を晒している事に、気が付いていない!
ここで巨大霊体の顔の前に二人、ザジとねぱたが堂々並ぶ!
「霊国の主だっけ? ええか! 」
ねぱたが大きな弾丸を、上空にコイントスの様に打ち上げる。
「選べよ! ここからは二択だ! 」
ザジはプラモデルボディの両刃剣を、再び分解し二刀流に戻す。
突然の問いかけに巨大霊体が困惑する!
「?! 」
二人が構える!
最大の霊力で技を繰り出す!
「ウウウウ! 」
巨大霊体が唸る、受け止める為に身構える!
「「ハイ! ファントム! 」」
ねぱたが飛ぶ!
放り投げた弾丸を足に付けて!
「フィニッシュ・キック! 」
目標は巨大霊体の土偶ボディ!
「「ハイ! ファントム! 」」
ザジが剣を二刀揃えて合わせる!
刃の間に霊力の刃を形成して!
「オーヴァード・エッジ! 」
目標は熱砂でカエルの様に膨らんだ喉元!
この二つの攻撃には合間が無い!
つまり完全に同時攻撃なのだ!
「オオオオオオ! 」
ねぱたの全力が、霊糸の布の盾にぶつかる!
ひとつまたひとつと布を増やしてガードする!
はたまた下では、ザジの全力が喉元に食い込む!
首筋から霊糸の布が生える様に移動を行い
その様子をユナやカンチョウ、フォッカーやドクが見守り。
配下の埴輪達でさえ目を背ける事が出来なかった。
まるで″溜め″の如し暫しの静寂が起こり。
そして......
弾丸の放つ轟音と供に!
キャンパーのバリア内部で熱砂の爆発が発生し!
炎と砂塵が激しく辺りを包み込む!
「グアアアアアアア! 」
霊声が木霊する!
悲痛な断末魔の様にも聞こえる叫びだ!
突然に周囲が変わる!
「おお! キャンパーの周囲が戻った! 」
カンチョウが叫ぶ!
謎の結界のような草原が、キャンパー周囲に展開されていたがいつの間にか消えており......
廃村の中央道路に戻って居るのだ!
また、いつの間にか夜も開けており、周囲に朝陽が差していた。
「退けたぞ! ラマー君! 早くここから移動を! 」
フォッカーは巨大霊体の気配がキャンパーの上に無い事に気が付く!
「パルド! バリアを集中展開! 奴との距離を図れ! 」
巨大霊体の姿がキャンパーから遠退く、完全に退けたのである。
「ねぱたさーん! ザジ君ー! 」
ユナが辺りを見回す、爆発の後が激しく屋根がボロボロで穴まで空いている。
「ちょっと......ユナちゃん......助けてえなあ」
屋根の穴にねぱたの特撮フィギアがボロボロで大の字で倒れていた。
「ねぱたさん! 無事ですか! 」
「足吹っ飛んだわー、でもちゃんと尻尾切りで霊体のダメージは回避したで、凄いやろ......出来る女やで」
「......んもう」
ねぱたの霊体は健在の様だ、フィギアはキックの反動と爆発で足が壊れ、表面も熱砂利でボコボコだ。
「ザジ君は? 何処? 」
ユナが周囲を探す。
「! 」
辺りにプラモデルの装甲や手足パーツが散乱し、とてもじゃないが無事とは思えない様子が見てとれる。
キャンパーの屋根から下の階、以前にザジとフォッカー帰還出来るように誘導灯等を照らしていた部分......
「またここ......かよ」
回収で開いたサイドパネルの受け止めネット......
そこに手足も吹き飛んで、またダルマ状態になったザジが引っ掛かっていた。
「またボディが無くなった......お気に入りがまたひとつ失われて、俺はかなしい」
上からザジを探すユナ達の声が聞こえる。
(よく聞こえるなあ、ユナの声が......)
(上に行こう、ツッコミの合いの手しなきゃな)
そう言うとザジの霊体はボディから抜けて、急いでレストルームに飛ぶ!
ユナの濁った声が木霊する。
「ザジ君! イギデダノオオオオ! 」
ザジがガールズプラモデルに入って、エレベーターで屋根に上がってきた。
「おおザジ君! 健在かね! 」
カンチョウの激励が出迎えた。
他のキャンパーのクルーも運転中のラマー達以外は姿を見せている。
「埴輪は? 何処にいった? 」
「飛び降りていったよ」
カンチョウがキャンパーの壊れた屋根を見るように視差する。
「あれをどうするかね? 」
そう、そこには惨めな姿の″アレ″があった。
「何トイウ事ヲ、シテクレタノダ......」
ボロボロの遮光器土偶。
そうそこには巨大霊体の頭に付いていた土偶ボディが転がり、黒いモヤになって崩れた巨大な霊体の顔から......
小さな生首の霊が苦しみもがいていた!




