二十一話「闘いのファントムズ(序章)」
後程
「見逃してくれないかな? (チラッチラッ)」
フォッカーはカメラに向かって更にジェスチャーを試み始めた。
「フォッカー君がジェスチャーで説得を試みる様だが、盆踊りしてる様でなかなか滑稽だね」
フォッカーの細やかな無駄な努力を確認すると、カンチョウは今回のロボットが自分達と違う敵対存在と戦う為に送られてきた可能性を考慮し始めた。
「我々がこの土地に来たのは事故の後だから一年位前だ、その時にも調査用ロボットの残骸らしきものはあった」
その説明を聞いてユナが何かを思い出した。
「朧気ですけど事故の話題は大きかったですよ、ここいら一帯全世帯避難ですから、しかもそれだけじゃなくて......」
「今思い出してきました、結構な数の被害者が今も寝たきりで私がいる可能性のある例の病院に隔離されてるとか......」
ユナの言葉にパルドが答える。
「ああ実はこの中で俺だけは多分その事故に関係していた可能性があるんだが、なにせ生前の記憶が無くて何処で死んだかは解らない、別の場所の可能性もある」
パルドの言葉にユナが驚く。
「そうなんですか! どうして事故との関係性が解ったんです? 」
ユナの反応にカンチョウが答える。
「解ったも何もパルドはここに来る少し前に別の場所で仲間になったんだが......」
「その時のメインボディが調査用のロボットだったんだよ」
「えええ! 」
ユナの反応は正直だ、今回のロボットは生前のパルドに関係する組織の様だが......
「今いきましょうよ!生前の事が解るかもしれないですよ!」
「……無理なんだ、残念ながらメインボディのロボットは部品取りで結構バラしちゃったんで戻せない......だから」
「だから? 」
パルドの面目なさそうな顔に、ユナが不思議そうに見ている。
「出来たらあのロボットからパーツ拝借して戻そうかなって......」
「「追い剥ぎじゃないですかー! 」」
ユナの適格なツッコミは、心技体総てがそろったストラッシュ的な精度を誇っていた。
「パルド、フォッカーの解放が決定的なら俺らがアレと戦う必要も無いよ、部品は諦めてホラ」
「あい(渋々) 」
ザジがパルドに諦めて貰う様に説得した。
一方フォッカーは今できる限りの努力でジェスチャーし、輝いていた。
「伝われ! 俺の魂のジェスチャー! 」
「フォッカー君、白旗は居るかね? 」
カンチョウは降伏が相手に伝われば痛み分けってことで水に流せる案件と踏んでいる、どうやらロボットの操縦側もエアガンの銃口を下げているようなので和解が成立しそうだ。
「あ......いやロボと和解せよって作戦は完遂してるんだ、問題はそうじゃなくこのロボが何と戦うのかもう少しで解りそうなんだ」
フォッカーがキリキリ舞でジェスチャーしながら意志疎通している。
「何であの盆踊りでそこまで意志疎通が出来るんですか?! 、仲良しか!! 」
ユナの隙を生じぬ二段構えのツッコミが冴え渡る。
「フォッカーは実は伝説的ジェスチャーの達人なんだよ、霊力を使って行う、ハイ・ファントム・ジェスチャーなら伝わらない友情など存在しないんだ」
ザジの適格(?)な注釈が入る、やや胡散臭いのもご愛嬌だ。
「いや絶対友情じゃないよ! 、寧ろロボットの操作モニターの前の方が笑いすぎて腹筋が鍛えられてますよ! 」
ユナのツッコミはギアなんとか的に昇華されてく。
しばしの盆踊りタイムが続きフォッカーとロボットの操作する側との交渉が進む。
「ふう......ようやく目的が解ってきたぜ」
フォッカーの渾身のジェスチャーからロボットの操作側の目的が見えてくる。
「で? どうなのかね?何しにyouはここに来たのか? 」
カンチョウの問いかけにフォッカーが導きだしたロボット側の返答はこうだ。
Re:標的は?
20##/6/26 am 2:35
この地区の高台になっている所がある、そこに居るであろう大型の特殊な危険霊体が我々の標的だ
「と言う事らしいぞ、俺達は標的じゃないんだ」
フォッカーの説明を聞くや否や、ユナのツッコミが第7感に到達する。
「「それメールの返信のまんまじゃないですかー! 」」
悲しい顔でカンチョウが答える。
「夢を壊して済まないが伝説のファントムジェスチャーなどは存在しないんだ、実は霊力でメールアドレスを送信する能力なんだよ」
「なんだってー! 凄いと思ってたのにー! (逆にメール送れる方も凄いけど)」
ザジが大きくショックを受けている、その裏切られた表情でねぱたが嘆く。
「何て事をするんや! ザジはちょっと前までサンタクロース信じてた位のピュアボーイなんやで! 」
「そそそそんなわけ無いだろー! (中学まで信じてた)」
ザジ兄貴姉御がどんどんヒロイン具合を加速させていく中、ロボット側のメール送信者からアクションがあった。
フォッカーがボディ内部に秘蔵している小型端末機に送られてきたメールを読み上げる。
「えーと......
元々君達ファントムズについて聞きたいことは沢山ある。
......ってファントムズ?なにそれカッコイイ」
ここにおいてやっとの一部タイトル回収である。
「......現在のこのロボットを操作している作戦室は大型霊体対策本部と変更されているため......」
「誠に残念でありますが時間がない、作戦の優先をさせていただく」
「ってさ......ってオオオオオイ! 」
フォッカーの読み上げの後ロボットがキャタピラを激しく回して、一直線に今いる場所の先にある草生い茂る野原へ向けて突き進む。
「ちょちょっちょ! 何処に行くのさ! 」
その場にいるキャンパーのメンバーが突然のロボット移動に驚愕していた。
「マズイな、その危険霊体が近くに居るとなるとどうなんだ?ロボットは勝てるのか? 」
パルドの言葉にねぱたが霊力をチャージして復帰しつつ答える。
「そんなん決まってるわ、物理でゴリ押しや! 」
ザジがそのねぱたの説明にフォローを入れる。
「どんな強力な霊体の持ち主であっても、器とも言えるボディは前面にあるもんだから、霊力で防ぎきれない位の物理で殴ればボディに届いて倒せると思う」
ザジは更に注釈を重ねる。
「だけど......」
ザジが何かを言いたそうな口振りが出る前に、事態は想定を超えて遥かに速度を上げて襲い掛かるかのごとく起こるのである。
「ロボットが野原の真ん中で止まった......」
今だにロボットのカメラ部分に引っ掛かってて逃げそびれたフォッカーが、ロボットの様子に警戒心を高める。
「なんだここ? こんな場所があったのか、繁みに隠れてて気が付かなかった」
そこは何かの祭り上げた祠の様なモノが荒廃を極めた形で鎮座している。
後から追いかけてきたザジ達キャンパーの面子もその場の雰囲気に息を飲んだ。




