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走る方舟の憑依玩霊達(ファントムズ)  作者: 丸ーニィ
第二章二部 高高度激闘! 天国教団編
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百七話「高度二万メートルの戦いとファン1号」

中々進みが悪いですが更新出来ました。

 

 その青白い光はザジ達には見覚えがあった。


「まさか......」


 そして間一髪でパープルを救った筈のシラも、その様子に表情を豹変していく。


「パープル......早く舟の中に......!」


 ゆっくりと驚いた顔をするシラ、それもその筈、その光は彼ら「天国」を目指す者達にはあってはならない現実だ。


「ワリい、シラ......ここまでだわ」


 パープルの表情は諦めきってる顔である。

 亡霊なら必ず起こる現象で、教団亡霊であっても変わらない現実。


 ......成仏だ。


「パープルさん! 待ってくれ! 」


 ボロボロのプラモデルボディのポリマーが、這いずりながら手を差し伸べる。


「みんな一緒に行こうって言ってたじゃないか! 何で......」


 パープルはポリマーに笑みを浮かべて語り返した。


「本当はもっと前から予感はしてたんだよ、俺は病気で舞台に上がれなくなって、お前達とツルんでたけどな......」

「天国うんぬんよりも、俺はまた舞台に上がりたかったんだ......今の演目で"未練"を取り戻しちまった......」


 ねぱたはパープルの輝く姿を見て言う。


「思い出した"未練"をここで燃やし尽くしたんやな......」


 パープルがねぱたの言葉に対して、空を見上げて答えた。


「ああ......不覚にもやっちまった、ずっと仕舞い混んでたのに漏れ出ちまった......」

「だからここでオサラバだ、大根役者は静かに降りるぜ。」


 ここで舟の霊体が揺れる......何かに反応するように......


「時間だ......長居はできないしな」


 そう言うと、パープルの霊体はグラりと揺れる、そしてすり抜ける様に舟の霊体から落ちていく......


「あばよ、短い仲間ごっこでも楽しかったぜ......シラ」


 パープルの霊体から完全に霊核が抜け落ちて魂の形になると、ゆっくり地上に落ちていく。


 人の霊体もまた地上に在るべき存在であり......

 また地に帰る様に地球の引力に引かれているのだ。


 ねぱたはパープルの最期の姿を見て、一人で何かを決心した。


「ザジ、ウチももう戦えへんわ......飛行船のレストルームに戻ってウチが霊力バカ食いしたら勿体ないやろ」


「え......? 」


 ザジがねぱたの提案に困惑する、そして彼女がこれからどうするのかが解っていた。

 この舟の霊体からの離脱である。


「いや......でも......姉さんのボディが無事で済むかどうか......」


「オドオドせんと男ならシャキッとし! アンタが"これからやること"位解るわ」


 困惑するザジを一喝すると、ねぱたは下を向いて微笑む。

 ......それは先程成仏し始めた、パープルに向けての様だ。


「二依子ちゃんはアンタがしっかり助けてや! ウチはちょっとアイツ見取ってやるわ」


 そう言うとねぱたはフワリと倒れ込む様に、雲海の空へと落下していった。


「また下で会おうな! 先に下でキャンパーに拾って貰うわ......」


 ねぱたは落下しながらキャンパーの面子の顔を思い出す。


 早く帰りたい、そう思える程にねぱたが憧れるマイホームが今は少し遠く感じたのである。


 ******


 雲海の空に成仏するパープルの魂が落ちていく。


 (もし......生まれ変われるなら、また舞台を目指したいな)


 意識も失われつつある彼は、最期の願いを抱きつつ地上に向かい成仏する。


 地上にたどり着く前に拡散するであろうその魂は......満たされていた。

 パープルと言う役を演じきった役者の魂そのものだ。


 しかし最後に彼に向かってくる霊体が居た。


 (......! )


 ゆっくりと落ちていく特撮フィギュアのボディから、大きく腕を広げたねぱたの霊体が出てきて、小さな魂だけになったパープルを抱き止める。


 (ああ......)


 (あったけえ......迎えが来るなんて俺は幸せ者だなあ......)


「間に合うたわ大根役者! 最期の位看取ったるで......ウチが成仏を看取るのはアンタで三人目やけどな」


 パープルは最早返事も出来ない。

 ただただ彼女に看取られる事に、有り難みを覚えて泣いた。


「安心して成仏し......最後にアンタのファン1号になったんやで、来世でも頑張りや」


 ねぱたの腕の中で成仏の光が弾ける、パープルの魂はこうして......


「願わくば......来世でまた会える事を......」


 ......ねぱたの祈りと共に、蛍の様に儚く消えた。


 ******


 数時間後。


 ねぱたはとある路上の街路樹の森に落下。

 奇跡的に助かったと本人は言う。


 パープルの成仏光から最期の願いと共に霊力を僅かに譲り受けて、落下の速度低下と衝撃の緩和に成功。


 更に街路樹がクッションになり事なきを得た。


「助かったわ......」


 しかしながらボディは既にボロボロ、霊力漏れが奇跡的に無いだけが救いである。


「手足は以外と壊れんかったな、ダメージも落下衝撃もアーマーパーツに肩代わりさせて貰ってただけあって無事や......けど」


 アーマーパーツへのダメージ集中と言う小技による軽減方法は、ほとんどのアーマーパーツを亀裂破損させている。


「借り物なんやった......困ったわ」


 そんなねぱたの所に見慣れた大きな車両がやってくる。

 外見がオンボロの白いキャンピングカー、白い塗装も多すぎる外装で目立たない。

 シトロエンバスを彷彿されるキャビン、キャンパー部分は箱の様な形状。


 ザジ達の亡霊の根城であるキャンパー「希望の方舟」号である。


「なんや、カンチョウ......えらい早うウチを見つけたな」


 キャンパーのサイドパネルが展開し、運搬用ワイヤーに吊るされたカンチョウがねぱたの回収を行う。


「ねぱた君無事でよかった、ちょっと追跡に手間がかかったよ」


 ブロックトイのメックスーツで、ねぱたの特撮フィギュアを抱えると。


「早速だが、すぐにでもレストルームで回復して、改めてボディをドクから受領してくれないか?」


 ねぱたに激励の言葉をかけたのちに新たに作戦を語る。


「は? ちょっとカンチョウ? 亡霊使い荒いで、ウチもう百年位寝てたいんやけどー! 」


 ふて腐れるねぱたにカンチョウが笑って返す。

「何ワロてんねん」状態のねぱたが......ふと状況を察した。


「あ......まさか」


「そうだ、地下帝国からの許可も特別に貰ったんだよ」

「僕達の出番が近いってね......」


「こりゃおちおち休んでられへんなー、劇でも見てゆっくり感動したかったわ」


 カンチョウはメックスーツから顔を出して、すっとんきょうな顔をする。


「劇に興味あったのかね? 」


「何でもないわ、特撮の俳優出てたら観に行くけどな......」


 そう言うとねぱたはそのままキャンパー収用され、キャンパー内部のレストルームで疲れを癒しに行った。

 

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― 新着の感想 ―
パープルさんを役者として見送ってあげたねぱた姉さんに、ジーンとしちゃいました!(*'ω'*) ちゃんと成仏を看取ってあげて、「ファン1号」という言葉がパープルさんにとってどれだけ嬉しかったか……。 …
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