百一話「生者の味方」
書き溜めから整形で随分時間がかかりました。
暇が欲しい。
「ソレがなんやちゅうねん! 」
ねぱたは狼狽えるフォッカーにツッコミを入れるが、フォッカーは動じない。
フォッカーは続けてシラに聞く。
「オカルトマニアが聞いたら喜びそうだが、そこがお前達の言う≪天国≫なのか? 」
シラはフォッカーの質問に答える。
「いいや、そうとは限らないが……」
「僕達には天国は霊体や人類の叡知の記憶等を保存している"サーバー"のようなものだと確信している、色んな憶測が飛び交うけど......サテライトはその水先を案内してくれると思われる」
続けてシラは語る。
「君たち亡霊が知りたがっている事が、きっとそこ(サテライト)にあるかもしれない」
「憑依アプリの送信データを発信元である以上、君達の存在も例外ではない筈だよ」
シラの言葉にザジ達は困惑する。
ザジ達亡霊の長年知りたがっている疑問、ソレは......
自分達は何故、「このような姿」で「生き永らえている」のか......
なのである。
あくまでも自分達は、"奇跡の産物"だと思い込んでいた、だがシラはその奇跡を"人為的"に作り上げた。
そして今、その「根源」に向かっている訳である。
ザジやねぱた、よしこやフォッカー、ユナと飛行船ドローンのパルドまでもが、シラの言葉に思わず息を飲んだ。
「君たち亡霊が生まれる現象は、ある程度は証明出来るんだ」
シラはここで亡霊に関する、"証明"がある事を話す。
「憑依アプリの使用に使われる電波信号と同じ信号が、人間達が日常的に使用する電波の"共振"により確率的に発生した......」
「または人間の体内を流れる電流が、死の直前で激しく流れ、強い電波になって発した結果、憑依アプリの発する電波に近いモノが飛び交い亡霊が生まれた......」
「このいずれかである可能性が高い、僕はそう考えているよ」
シラが語る証明に対し、ザジ達も反論の余地があるようで、ねぱたが何やら語り出した。
「ウチらの存在はそんな適当な科学で証明されても意味無いわ! "発生うんぬん"より今の霊体の"存在うんぬん"で語り! 」
ねぱたが言うのは、求めている答えが"存在の発生"ではなく、"存在の定義"である事だ。
シラはねぱたの意見に感心を持つ。
「つまり......そうなる≪運命≫が有ると、君達は言うんだね......」
ねぱたはシラの反応に違和感を覚え、こう言い返した。
「死んだ奴程≪運命≫を考え"呪う"んや、ウチら亡霊は成仏する過程でって......」
ねぱたは言葉の最中に、疑問を感じた。
自分達とは違うシラ達教団、根本的に違う何かに気が付いた。
「あんたら......もしかして、"自殺者"か? 」
シラはそう言うねぱたの言葉に返す言葉を見いだした。
「そう言う君達は、大体は"事故死"の類いなんだね」
ザジ達とシラ達教団の、同じ亡霊ながら水を分かつ理由。
ソレが「死因」にあったのである。
ここでザジは、シラに向かって一つの答えを語る。
「死んだら天国に行く事が≪運命≫じゃない、死んだら哀しむ人が居るのが≪運命≫だ、俺達亡霊がこうして存在するのは......」
「何時だって、この"残された者達を想う未練"しかない! ソレが原動力だ! 」
ここでシラは理解する、ザジ達が言う≪運命≫の意味。
残された者......
生きている内なら、いくらでも逃避的に「死にたい」等と語れるだろう、だが死んだ後だとそうは行かない。
肉体からの解放により"生への執着"が変質し、その矛先は残された者達に向けられる。
「つまり君達亡霊は、その小さな自身の正体を"生者の味方"であると思っていると......なるほど......良いね! 」
シラが語る言葉は理解と、それに反する対立の言葉だ。
「二依子君の残される家族や友人の為になら、闘う意味もあると......」
「だが残念ながら相手であるのは僕達"教団"だ、僕達は自らの遂行な≪運命≫が、今手の届く所まで来ている。」
シラは天に手を掲げる、そして言い放つ。
「死んだら≪天国≫に行くのが運命だと! ......生きている者への未練など無縁だ、烏滸がましい、そう思っている訳だからね! 」
「......! 」
ザジはシラに鋭い眼光を向ける。
遂に、意見が対立する。
死の先に天国という安住の地を見いだしたシラ達と、途方もない死への後悔を未練としたザジ達。
両者は対立し、そして......最期の闘いのゴングが鳴る。
ここで突然、舟の霊体の甲板のサーバーに変化があったのだ。
「シラ! 聞こえるか! こちらイーブン! 」
舟の霊体の船内から聞こえる教団亡霊イーブンの声。
「サテライトからの電波をキャッチした! 上空まで迎えに来ているぞ! 」
「 ! 」
この放送はシラ達を喜ばせ、同時にザジ達を驚愕させた!
「なんとかサテライトが近くに寄ってくるとか不味いで! 時間無いわ! ザジ! 」
この時点で事は一刻を争う。
つまりは......先制攻撃の理由としては十分。
「そう言う事だ! 俺達はお前らをここから落とせばいい! 」
そう言うと真っ先に突っ込んでくるのは教団亡霊パープル、以外にも教団側からの先制攻撃である。
ザジ達の戦力を減らそうと、衝撃力を伴った霊力近接攻撃を当てに飛び込んでくる。
だがその行動にいち早く対応する亡霊よしことフォッカー組が立ち塞がる。
「ワオオン! (させるか! )」
よしことフォッカーが上手く攻撃をバリアでいなす手際に、教団亡霊達も驚きを見せていた。




