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区分無し-糸

【初めから】世界には黒幕がいる。

作者: RYUITI
掲載日:2015/09/26

 

 何処の建物かも判らない屋上に。


息を切らしながら辿り着いて。


追っ手が来ていないかチラチラと後ろを向く。


後ろの景色を認識するよりも早く、

階段を上ってくる音が聞こえて、

心臓の鼓動が速くなるのを感じながらも、

僕は急いで金網を乗り越えて狭く小さな足場に立ったまま空を見た。


晴天とは言えない天気。

湿度の高い曇り空。

だけど懐かしむには丁度いいかもしれない。




――どれくらい小さかった時の頃かは覚えていないけど、

小さい頃から僕はゲームが好きだった。


ブラウン管テレビにゲーム機のコードを繋いでチャンネルを変えてテレビとゲームの電源を入れて。

ワクワクしながら黒いテレビ画面にゲームの光が付くのをとても楽しみにしていたっけ。

それに、確かその時プレイしたゲームは多分終わりが近かったような気がする。


何のタイトルは忘れたけど、

そのゲームの結末にはとてもびっくりしていた。


仲間達と一生懸命悪者を倒したかと思えば、

倒し終わって平和になった後に、

旅に出た一人以外の他の仲間たちは皆殺しにされていた。


そして主人公が悲しみにくれている最中に、

後ろから主人公を刺したのが旅に出ていた仲間の一人で、

本当はオレが全て仕組んだ事だと言い放って終わったと言うものだった。


その時はビクリと身体が震えるくらいに酷く落ち込んでいたっけな。


それからどれくらい年数が経ったかは忘れたけど、


学校に入って直ぐだったかな。

とても仲の良い女の子と男の子の友達が出来たんだ。

三年間位一緒に帰ったり遊んだりしてたんだけど、

ある日、学校に行くと僕の上履きが下駄箱に無くてね。

仕方なく靴下のまま教室に行くと、

いつもはおはようと声をかけてくるクラスメイトは、

僕を見てもまるでそこに僕が居ないような感じで声をかけることもしてくれなかった。

授業が終わって掃除の時間になると、

僕以外の人間はみんな先に帰っちゃって、

僕一人が教室を掃除してたんだっけ。

みんなして掃除があることを忘れちゃってたんだと思ったっけな。

帰るときはもちろん一人だった。


そんな生活がある程度続いたある土砂降りの雨の日、

いつも通り一人で歩いて帰ろうとして居て、

教室に傘を忘れた事に気が付いて取りにったんだ。


傘はちゃんと教室のベランダの傘立てにあって、

傘を取って教室を出て、

一階にある出口に向かう為に、

階段を降りている時だった気がする。

突然背後に人の気配を感じて振り向こうとしたとき、

トンと押されて階段から落ちてしまった。


落ちる前に見た人の顔は、

仲の良い男の子の笑顔だった。


気が付いた時には僕は家のベットで寝ていた。

どうやら職員室で事務仕事をしていた先生が落下音に気が付いて病院に運んでくれたらしく、

病院で軽い脳震盪だと診察を受けた後、家に送ってくれたとのことだった。

それから僕はクラスメイトに何かされないかビクビクしながら様子を伺って過ごしていた。


ある時体育の時間に、

洋式トイレの中で用を済ましていると、

数人の男の子がトイレに入ってきて、

しばらくした後に話し声が聞こえてきた。

話している内容は僕の事だった。

その話しの中には、

僕が仲が良いと思っていた女の子に命令されて、

靴を隠したり、服を隠したり、ベランダに閉じ込めたり、

無視をしていたりと色々していたけれど、

僕が階段から落とされて意識が飛んでいたと聞いて、

命令を聞くのが怖くなった、僕を殺してしまうんじゃないかと思っているというような内容だった。


その話を聞いた時、

ふと、小さい頃遊んだゲームの内容が頭の中をぐるぐると回りだして。

小さくだけど確かに思い出したんだ。



世界には黒幕が居るって事を。


階段から突き落とされた後から、

僕に近づくクラスメイトはもっともっと減った気がした。


それが突き落とした人間が気を遣っているのか、

それとも僕と同じようになるかもしれないと危惧しているのか、

単に近付きたくないだけなのかは知らないけれど、

それから、個人的にクラスメイトからの接触が何も無いまま、

僕は学校を卒業した。


卒業式の後、僕が教室に戻ることはなくて、

まとめていた荷物を持って、僕はそのまま空港へ行った。

空港の中は人が沢山居て、かなり暑かった。

僕の順番が来ないんじゃないかと思ったりもしたけど、

二時間くらいして僕の順番が来たので、

手続きやチェックを済ませて、飛行機に乗った。


飛行機に乗る前に潜ったゲートで、

音が鳴らないかドキドキしたなあ。

鳴らなくて心底安心したけど。


飛行機に乗り込んでから自分の席に着くまでは、

意外と時間はかからなくて。


シートベルトを付けてからとてもわくわくしていたのに、

自然と瞼が落ちていて、

次に気が付いた時にはもう、空の旅は終わりが近くなっていて。

もっと空の景色やアテンドさんを見ておけばよかったと少しだけ悔やんだ。


飛行機が着陸してシートベルトを外した時に、

アテンドさんが「お疲れ様でした」と僕に声をかけてくれていたけれど、

僕は心地のいい疲労感とこれから先への期待に興奮して、

全然疲れてないように思っていたので、

慣れない笑顔と会釈してから飛行機を降りて、

ゆっくりと荷物が流れてくるコンベアーの場所に歩を進めたんだ。


自分の荷物を探すのは結構簡単だった気がする。




空港からバスに乗った時、

運賃が前払いだという事にとても驚いて、

座席に座る筈だったのにあっという間に人が多くなってどうしようと焦っていたそんな時、

銀色の髪で異国の顔をした男性が、

僕の手を引いて自分の席に座らせてくれたんだ。


僕はその時、世の中には親切な人と言うのが本当に居るんだなと驚いて、感動した。


今まで僕が見てきたのは、他人の席を別の部屋に移動させたり、

他人の机にゴミをわざとぶちまけたりするような人間ばかりだったから。


ここからはもう今までの世界とは違うのかもしれないと。



そう考えたら急に――

お礼をしようっ!なんて思いがこみ上げて。


席に座らせてくれた銀髪の人にお礼を言おうとしたけれど、

銀髪の人の顔を見ようとした瞬間に、

喉がきゅっと締め付けられたようなそんな感覚に陥ってしまって。


ああ、結局僕はこんな些細な始まり事ですら進めないのかな。


銀髪の髪の人は僕をどうみているんだろうか。


そう思うにつれて僕の視線は自然と、

銀髪の人の顔を視界に入れないように下を向いてしまっていた。


席に座った後も、

不安や申し訳ない気持ちは拭われる事も消える事も無く、

ただ、ただ、僕は苦しかった。


導いて座らせてもらったのはありがたかったけど、

いっそのこともう立ってしまおうと決意をした時。


不意に隣から、

「そんなに険しい顔をしなくても大丈夫さ。

苦しい事を、辛い事を、君が経験した分だけ君は様々な意味で成長しているし、

強くなっているのだから怖がらずに前を見てみるといい。


たとえ君の前にいる生き物が道化であれ何であれ、

君が君自身で君の眼の中に入れなければ、

其処から先で見つける事の出来るものでも、

探す事が出来なくなってしまうのだから。」


そう言っている銀髪の人の表情は、

とても柔らかい笑顔を浮かべていて、優しくて綺麗な眼をしていた。


その表情につられるかのように少しだけ笑って、

「あの、席ありがとうございました。」

とポツリと零した僕は急に恥ずかしくなって下を向いてしまったけれど、

なんだか少しだけ胸のつかえが取れたような気がして自然と元気が湧いてくるようだった。



それからしばらくして銀髪の人がバスを降りるときになって、

静かに一枚の名刺を僕に差し出して――

「君と私に縁が有ればまたいつか出逢える時が来るかもしれない。」

と言って柔らかい笑顔を浮かべてバスを降りていってしまった。


不思議な人だったなあ。

なんて思って受け取った名刺を見返すと、


そこには短く。


【君の歩む路の先に穏やかな幸がありますように。】


と書かれてあって。


なんだか可笑しくて少しだけ笑ってしまったけれど、

ちょっとだけ前を向ける気がした。



ちなみにあの時貰った名刺の下の方に、

小さな文字で、

【紅茶の好きな道化より】

と書いてあったのに気付いたのは、

あの出来事から随分と時間が経った結構最近の事だったりする。










【始めから】世界には黒幕が居る。を読んでいただきまして、

ありがとうございます。

作品に関係ないようなあとがきです。

少々長くなりそうですが、

よろしかったらお付き合いください。


この作品は元々

一年前の2014年1月6日の0時8分に

今までとは別の感じで何か書こうかなー書いてみたいな。

と思ったのがきっかけでした。


まあ度々の事ながら、

最初は良くても行き詰るのが当たり前な感じだろうなと思っておりましたら、

意外と進むもので。

今回は安心して早く書けるかなと思っていたら、

中途半端に行き詰ってしまいまして結構放置気味になっておりました。


そして、なんの気変わりなのかはわかりませんが、

久しぶりに筆を取ったのは9月26日の0時でありまして、

書き終えたのが1時20分になります。


本人としてはなんとなくのつもりで筆を取ったのかもしれませんが、

理由としては9月26日が私の誕生日だからというのが大きいんだろうと思います。なんとなく負けられないみたいなそんな雰囲気があるような無いような。


そしてある作品を投稿した時に去年の事についての振り返りみたいな事を書いていたんですが、最近というか今日改めて再確認した事がありました。


懐かしいと思う出来事っていうモノは、

いつでも在るんだなと。

一年経って無くてもしみじみと懐かしいと思うこともある。

反対に、何年経っても懐かしいと思うことなく、

新鮮といいますか……つい昨日の事のように知覚してしまうようなこともある

という。

其れが例え良いことでも悪いことでも。


なんだかこういう事を書いていると、

私自身が老けてしまうような気もしますけれど、

感覚や気持ちと同じように、

そして時には感覚や気持ちと反対を向いている作品を創る事が出来たらいいなと改めて感じました。


なんだかどうでもいいような話を長々としてしまった感じはありますが、

あとがきを読んでくださった方お疲れ様でした。

そしてありがとうございました!


後、ついでに誕生日おめでとう私(イエエエエエエエエ!!!)


RYUITI。


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