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東方希望伝  作者: raito
始まり
4/10

第三話 団子より友達

前回のあらすじ。

・不安しかないの案内人


人里には今後ともお世話になると思います。小説的にも主人公的にも。

「まったく、いつも以上に時間がかかったわね! いつもはもっと早いはずなのに!」

「はぁー……やっと着いたー…」

「道が合っていて良かったです…」


 案内してもらってから約二時間後、ようやく俺たちは魔法の森を抜け、人が多く住み着いているという人里へと辿り着いた。

 途中、案内人チルノから大ちゃんに代わり、どうにか事なきを得て助かった。大ちゃんがいなかったらもうダメだったと思う…。


 この人里は建物や店などが江戸風で、昔にタイムスリップした印象を受けた。人の着ている服装もほとんどが和服。よって俺が着ている私服は珍しく、通り過ぎる度に盗み見される。

 あまりジロジロ見られるのは好きじゃないが、そこはまあ我慢するしかない。



「にしても、いつも使ってる道を間違えるとかどういう事だよ。最初から期待はしてなかったけどさ」

「な、何だとー? ユーヤが飛べてたらもっと早く着いたんだよーっ!!」

「俺のせいかよ! 俺は妖精とか妖怪みたいに飛べないんだよ! それくらい分かれ⑨っ!!」

「あたい⑨じゃないもんっ!!」

「二人とも落ち着いて、周りが見てますよ…」


 周囲から注目されていると言われ、俺たちははたと言い争いを止める。道のど真ん中でやる行為じゃなかったな。


「……グスッ」

「あっ……え、えっと…」


 それに心なしかチルノも泣きそうな表情に変わってる。というか、泣いてしまっている…。


(ちょっと……言い過ぎたな…)


「……ゴメン。せっかく案内してくれたのにあんな事を言って…」

「ふ、ふえ!?」

「誰にでも間違いはあるのにそれをお前だけに押し付けて……チルノ、本当にゴメンな」


 俺がいきなり謝ってきた事に、チルノはかなり動揺したように見えた。こうやって謝られた事が少ないんだと何となく思う。


「いや、その……あたいこそ……ごめん」


 そんな様子だったけど、そのチルノもそっぽを向きながらも俺に対して謝った。

 と、ちょうどその時……




グーー…




「「「……」」」


 CMのなっ○ゃんがジュースを飲んだ後にいつも言ってそうな、って俺の腹の音かよ!?


「そういや、朝食すら食べてなかったよーな…」

「ぷっ、あはははは! タイミング悪すぎっ!」

「ちょっ! わ、笑うな!」


 音の主が分かったチルノは、自分の腹を抱えて笑い始める。その原因が腹だけに……いや、くだらないよ!

 隣に居る大ちゃんも必死に笑いを堪えていた。


「くすくす……向こうにお団子さんがあるので、先に食べていきませんか?」

「あははははっ!」

「うぅ~…」


 それを見て少し気落ちする。けど、雰囲気は良くなったし、これはこれで良かったと思う。

 俺のお腹に感謝……はしたくないけどね…。








 とにもかくにも大ちゃんの意見に賛成し、俺たちは近くの団子屋で昼食を済ます事にした。

 ちょうど正午近くだった事もあり、団子屋店内は客で少し混雑していた。その中を通り抜け、俺たちは空いている席に座る。団子の良い匂いが漂っていて、何も食べてない俺にとっては涎がこぼれ落ちそう。


「俺のおごりで良いから、二人とも遠慮せず食べてくれ」

「やったーー!!」

「え? 良いんですか?」


 既に頼み始めてるチルノを余所に、大ちゃんは心配そうな表情を浮かべる。


「ああ、俺は何故か10万ほど持ってるし、それに団子だったらそこまでお金もかからないよ。だから、大ちゃんも遠慮せず食べて」

「で、でも…」

「お礼くらいさせてよ。なっ♪」


 お礼もせずに元の世界に帰ったら、俺の中で残りができる。二人にはもう会えなくなるし、ここは俺も引くわけにはいかなかった。

 大ちゃんはまだ少し遠慮してるようだったが、しばらくして笑顔で答えた。


「ふふっ、分かりました。ありがとうございます」

「あはは、それはこっちのセリフだって」


 本当に感謝したいのは俺の方だ。二人に会わなかったら、俺は死んでもおかしくなかったかもしれない。

 元の世界に戻っても二人が俺のためにしてくれた事は忘れないよ…。


「うん! うんまい!」

「って、お前はもう食ってるのかよ…」






 談笑を交えながら団子を頬張り、やがてお腹が満たされた俺たちは、その団子の勘定を済まそうとしている。

 俺が元の世界で使ってた現金は使えるようだ。団子の値段は1本150円。



優也  150×8本=1200円


大妖精 150×5本=750円


チルノ 150×100本=15000円



「チルノ……何で十倍も増えてるんだ?」


 途中、俺は用を足すため一時席を離れていた。離れる前、ちょうどチルノは10本目の団子を食べていたはずなのだが、戻ってきたらその十倍は跳ね上がっていた。


「へ? 十倍って何?」

「……分かりやすく言おう。俺がトイレに行ってる間、お前は10本目の団子を食べていた。俺はトイレが何処にあるかで少し時間を使ったが、そこまで時間は使ってない。トイレを済ませ、俺は席に戻った。そして、俺がお前の食べ終わった本数を見ると、どういうわけかその十倍、合計で言うと100本になっていた。……これはどういう事なのかな?」

「「……!」」


 ここまで言うと流石のチルノも分かったらしく、予想以上にあたふたし始める。隣に居る大ちゃんも何処か焦っている様に見えた。


「ほほほら! あ、あたいって実はいっぱい食べるんだよ! 人だってたまに食べちゃうしっ!」

「大ちゃん?」

「にゃっ! ち、チルノちゃんは意外と良く食べるんですよ~!」


 二人とも目線が俺を向いてない。嘘を付くのが下手な子たちだと思った。


「ふーん……正直に言ってくれたら俺は怒らないんだけどなー」

「「ごめん(なさい)っ!」」

「切り替え早いな!?」




 大ちゃんから詳しく聞いた所、どうやらルーミアという友達がお金を持ってなく困っていたから、その子の食べた本数を全部チルノのに加えたと言う。

 そのルーミアって子は、てゐって奴に団子がタダだと騙されたそうだ。加えてかなりの大食いの妖怪で、一人で90本も食べてしまったらしい。チルノが俺に上手く話すからと今は帰らせていないようだが…。


「まったく、言ってくれれば良かったのに…」

「「ごめんなさい…」」


 会計を終え、店内から出る最中、チルノと大ちゃんはまた謝る。


「で、でも、大ちゃんは違うんだよ! あたいが一方的にやっちゃった事だし、怒るならあたいだけを怒ってっ!」

「チルノちゃん…」


 チルノは大ちゃんの前に立ち、自分が悪いと言ってきた。また、怒られる事を想定しているのか目も瞑っている。


「……バーカ。さっきも言ったけど怒ったりはしないよ」

「なっ!? バカって何よ!! またあたいの悪口を━━」

「それよりもチルノが思った以上に友達想いと知れて嬉しいかな? 俺もチルノの立場だったら同じ事すると思うし」

「え!?」


 俺はチルノの目線までしゃがみ、自分の手をその頭に乗せて撫でた。


「むしろ怒るよりも褒めたいかな?」

「ふ、ふえ?」

「何か安心したよ。チルノって根は優しくて良い奴なんだな♪」

「なっ……何よそれ…」


 顔を少し赤らめ、嫌だったのかチルノはそっぽを向く。褒めるために撫でたんだけど止めた方がいいかな?


「撫でられるの嫌だった?」

「い、いや、そういうんじゃなくて…」

「ん?」

「だから、その……あー、もう!!」


 チルノは俺の手をすり抜け、どういうわけか俺の背中に回り込んで来た。


「…んぶして」

「……え?」

「あたいをバカって言ったから、お、おおおんぶしてっ!」

「は……はい?」



 そして、本当にどういうわけかこんな事を言ってくるのだった…。


 

くだらないダジャレだ。腹だけに"下らない”とも使えてしまう…。

何だかすみませんw

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