プロローグ 目覚め
人間の他に多種多様の種族が存在する……幻想郷。
そこは強力な結界により外部と遮断され、存在を確認する事ができず、侵入する事も許されない世界。
そんな世界に一人の少年が迷い込んできた。
後にこの世界のため、「希望の光」となろうとする少年が……
「……か」
何か……聞こえる。
「……しない…」
聞き取れない。もっと大きな声で……
「……った。感謝…る」
感謝? 何の事だ…ろ……う?
「また会おう。幻想郷で…」
「う、うーん……ん? あれ?」
まずは自己紹介…かな? 俺の名前は赤池優也、ごく普通の高校二年生…のはず。
そんな高校生の日常は、朝7時くらいに起き、母さんにおはようの挨拶をし、朝食のパンを食べ、自転車で学校に通う……一般の学生にありがちなパターンかと思う。
もちろん、本日もそのパターンだと思っていた。
「……何で?」
それが今日は最初の段階で止まってしまった。起きたのは良いとして、布団なしで外で寝てるってどういう事よ。当然、そんな憶えなんかない。
「まぶっし……つーか、ここ何処だよ?」
正面から見える日の光に目を凝らしながら辺りを見回すと、俺をすっぽりと囲むようにして木々が広がっていた。遠目で見ても、それが所々邪魔で木以外何も見えない。
そして、この森も見憶えなんかない…。
「え? もしかして拉致されたの!?」
全く知らないという事はそれしか考えられないのではないか。動揺した俺は勢いよく起き上がる。
「ん?」
その時に気づいたが、俺が寝てた頭付近にリュックが置いてあった。主に修学旅行などで使っていた割と大きめな"俺の"リュックだ。
「何でこんなものが? もし拉致されたとしたら、こんな物は用意されてないとは思うけど…」
リュックはまるで開けろと言わんばかりに、そこへ佇んでいた。
「……まあ、とりあえずは中身の確認だろうな」
それに吸い寄せられるように、俺はリュックのファスナーを開け、その中身を確認してみた。
「……」
中身はすぐに確認し終えた。
財布(10万)、食料と水(多)、着衣物(多)、サバイバルナイフ×2本、漫画(DEATH NOTE全巻)
「ツッコミたい物も少しあるけど間違いなく俺のだ。しかも、生きるために必要な物も多くある?」
まさか親に? 拉致した奴がこんな用意周到とは思えないし…。
「……分からない事はいくら考えても仕方ないか。今はここが何処だか知る事が先決だな」
そう結論出した俺は、重いリュックを肩に掛ける。手当たり次第になるかもしれないが、ここにずっと居続けて餓死するよりはマシだ。
「両親に捨てられたとしたら……ショックだな」
当時の事を少し思い出しながら、俺は静かに歩き始めた…。
初めての方は初めまして、久しぶりの方はお久しぶりです! raitoです。
この小説は過去に二次創作の規制により削除したものです。後にその規制(東方projectの部分)が解けたという事なので再度投稿しました。
まあ、別のサイトでも同じような内容で書いていますので、続きやら気になる方は、プロフィールの活動報告へ。
ちなみに作中の時期として「東方精霊船」が終わり、春が訪れた辺りとなっております。