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0日目  観察

俺は神だ。最近は耳掃除が気に入っている。


今、俺がいる天界には何も物が無い。あるのは俺が“空”と名付けた青い天井と、俺が“雲”と名付けた床、散らかった俺の服。片付けが出来ないのも、神の性だ。

そして、いつも俺は雲に出来た穴から、ただただ何も無い真っ黒な空間を見下ろしていた。その時間を俺は過酷とは思わなかった。この世界には、過ぎる時間と言う物が無いのだ。


ある時、俺は気が向いて、その真っ黒の空間に良く分からない物を作った。俺はそれを宇宙と名付けた。宇宙には面白いように星が出来ていき、その中に色々な物が産まれて行った。

俺は、その星の一つ一つを見て行った。燃え盛る星、吸い込まれる星、輪のある星・・。


そのなかで、今俺はある星に注目している。地球と言う場所だ。この天界と同じように、雲があり、空がある場所だった。

地球では他と違って、自分で考え行動する奴らがいた。そう、俺のような姿をした奴らだ。俺も、最初は楽しんで観察していた。火を起こすのに木を擦り合わせるだとか、体を維持するために体内に物を取り入れたりだとか、無駄な事をしていて面白い。


しばらくすると、こいつらはまとまりを作り、群れで生活し始めた。俺ははじめて気付いた。こいつらにも、感情があると。俺はこいつらに、さらに引き込まれていった。少し馬鹿な所が可愛いと思ったからだ。


またしばらくすると、こいつらは急に仲間を襲い、互いの体を切り刻み始めた。これも、こいつらが考え

た結果だ。俺は、赤く染まり、ぐちょぐちょになったちんけな体を見た。文句は無い。だが、なんともいえない気持ちになった。


またまたしばらくすると、そいつらは面白い物を作り始めた。空を飛んだり、海に潜って素早く動くようになったのだ。しかし、またこいつらはそれを互いを傷つける為だけに使うようになった。


俺はいつの間にか楽しみになっていた。こいつらは、次はどんなことをするんだろう? 次は、何を作るのだろう?


――だが、今は全くそんな気持ちが起こらなくなっていた。こいつらは、昔はやる気に満ち溢れた顔をしていたのに、今は生気を完全に失っている。何をつくりだそうともせず、何を考えようともしていない。もう、こいつらに最初の姿は無かった。


俺は、力を使って宇宙をまるごとリセットしようかと考えた。そうすれば、また前のようなこいつらを観察できる、そう思ったからだ。


その時、俺に考えが浮かんだ。俺が、この社会の輪に入ったらどうなるんだろうか。こいつらの中には、俺のような存在が居ると信じている奴もいるようだ。一度、そいつらを褒めてやってもいい。その後、気に入らなければ世界を壊せばいいか。


いつも通り適当な考えで、俺は地球に降り立った。

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