それってホラーですよ。
よく同窓会とか行くと言われるのが、『幼稚園は半日で終わるし、週末は必ず休みだから、幼稚園の先生達は楽で良いよね〜』と言う言葉だ。
楽?
そんな風に世間では見られているの?
声を大にして言いたい。それって絶対違〜う!半日しかないからこそ、詰めた時間内にやらなきゃならない事が山ほど。朝は七時には幼稚園に来て、先生達との朝の会議。それが終わったら子供達が来るまでの間に部屋の掃除。そして子供達が登園しお昼の時間までほぼ、トイレに行く時間さえありません。幼稚園の先生達には春休みや夏休み、冬休みがあるからいいよね〜なんて言われるけど、あるようでないものです。春休みなんかは、ほぼ毎日出勤ですよ。夏休みは他の幼稚園の先生達との勉強会で殆ど潰れてます。週末に呑めるのなんて月に一回あれば御の字です。
「つばきせんせーおはようございます」
今日も子供達は元気に登園して来る。校門のところでピタリと立ち止まると、そこで校舎に向かって一礼してから中に入る。これはこの幼稚園で行う最初のお約束だ。子供達にはしっかりとした礼儀をと言う事でこれは園長先生から入園式の時に子供達に大事なルールだと教えている。
「おはようございます。優太くん、真奈美ちゃん、健斗君。今日も上手に挨拶ができましたね。偉いね〜。じゃあ、みんなお部屋にお鞄を置いて、お洋服を着替えて、遊びましょうね」
「「「は〜い」」」
この頃の子供達は本当に素直だ。無邪気な笑顔は私達幼稚園教諭のスタミナ源だ。
お母様達ともおほほ〜と愛想笑いをしながらも、子供達の様子をさりげなくチェックする。あくまでさりげな〜くだ。お母様達の中には見栄はって、自分の子供は私立小学校へ通うための塾に行っていると堂々と宣言する人もいるが、そう言う人に限って本人の身だしなみはギャル系。
まあ、お化粧するのもしないのも個人の自由ですからね。だからって言って、登園時間が終わった後も、園の塀の所から園庭を覗かないで下さい。お母様達は大事な子供を幼稚園に預けているから、子供達がどんな風に他の子供達と遊んでいるのか見ていたいのは、重々承知してますが…。
園庭から塀の方を見る側に立つと、ここは江戸時代の処刑場ですか?!と言いたくなるくらいの数の生首がずら〜っと一列並んでいるようにしか見えないので、怖いです!! しかもその生首達が笑い出したりすれば、こっちは引き攣るしかないです。
お願いです。子供達を幼稚園に預けたらとっとと立ち去って下さい〜!
子供達が生首を気にして遊びに集中出来なくなっていますから〜!!
後、生首だけに怖いです!!
クラッシックの音楽がかかり、ようやく朝の外遊びの時間が終わりました。生首連合軍もどうやら身体の元へとお帰りのようです。良かった良かった。
あれ〜。恋愛小説なのに、何でかまともに幼稚園の事を書いてます。
でも、生首連合軍…あれは本当に怖いです。たまに塀に乗っかれない首もあるので、それをたまに目にすると、笑ちゃいますね。