第32話 詩
林瓶が精鉄の棒を玄女峰に届けたとき、唐執事は廊下で薬材を調べていた。彼女はそれを受け取り、目が一瞬だけ林瓶の顔に留まった——以前より、ほんの半拍短い。それ以上は何も言わなかった。
彼は庭で縄を片付けていた。冬の庭は静まり返っている。地面には薄っすらと霜が降り、軒下の氷柱が冷たい白い光を反射している。銀杏の木は裸で、枝に霜がついたまま、微動だにしない。
彼が立ち去ろうとしたとき、背後に足音がした——軽く、ゆっくりと。唐執事のあの落ち着いた足どりとは違う。
彼は振り返った。
玄霜が殿の入り口の階段の上に立っていた。彼女は素白の古い綿の上着を羽織っていた。襟元がきちんと整っておらず、中に着た薄灰色の肌着の縁が覗いている。風が吹いて、彼女の細い髪が揺れた。彼女は上着をぎゅっと抱き寄せた。
林瓶は彼女を見て、自分でも予期せぬ言葉を口にした。
「外は寒いですよ。寒くないんですか?」
玄霜は襟元を直した。口調は気ままだ。「平気。嬉しくてね。」
ごく自然に言った。まるで今日の天気がいいと言うように。
林瓶はその意味を理解した。言葉を継がず、視線をほんの少し逸らした。
玄霜は階段の上に立ち、一拍おいて、口を開いた。「今日の午後、他に用事はある?」
彼はないと言った。
「じゃあ、ちょっと残って。」それだけ言うと、彼女は振り返って中に入った。
しばらくして彼女が出てきた。手に一枚の折りたたまれた紙を持っている。
「私が書いたの。」紙を差し出す。「あんまり上手くない。見て。」
彼は受け取り、広げた。
筆跡は若干幼かった。乱れているわけではないが、筆画の抑揚に老練さが足りない。何箇所か墨を多く含みすぎて、細かい綿毛のような墨滲みができている。長い間筆を握っていなかったのだろう。一筆一筆がとても丁寧に落とされていた。
紙には短い詞が書かれていた。
霜枝垂白,院静无人语。風起時,葉堕如雨。一樹空,立尽斜陽幾許。
(霜の枝に白く垂れ、庭は静かに人の声なし。風立ちし時、葉は堕ちて雨の如し。一樹空しく、斜陽を尽くして立つこと幾許ぞ。)
彼は読み終え、視線が最終行の上で止まった。「一樹空、立尽斜陽幾許」。彼女は毎日この庭に座って、これを見ていた。十年。
彼は紙を畳んだ。
「悪くないです。」
玄霜は彼を一瞥した。あまり信じていない様子で。「——ほんとに?」
「ほんとです。」
彼女はうつむいた。口元の笑みが押さえきれなかった。探るような笑みではない。褒められて隠しきれない、あの種類の笑顔だった。
彼女はしばらく間を置いて、また言った。
「じゃあ、今度来るとき、君も一首持ってきて。君が一首、私が一首——競争しよう。」
林瓶は一瞬息を呑んだ。「——詩は書けません。」
玄霜は一瞬息を置き、口元をわずかに歪めた——笑ったのだ。見下すような笑みではなく、何か面白いものを見つけたような、探るような笑みだった。
「ふうん。あれだけ口が達者でいて、詩は一つもできないって?」彼女の声に軽い嘲笑が混じっていた。「——それは珍しい。じゃあ、暗記しているのでもいいよ。」
林瓶は彼女を見て、すぐには答えなかった。彼女はそこに座っていた。手元にあの紙。素白の綿の上着が、彼女の全身をまるで冬の庭に生えた一節の清らかな霜のように見せていた。さっきの「一樹空、立尽斜陽幾許」がまだ彼の脳裏に残っている。彼女は競争しようと言った。
彼は少し考えてから、口を開いた。
「誰念西風独自涼,蕭蕭黄葉閉疏窗。沉思往事立殘陽。」
(誰か西風を念いて独り涼し。蕭蕭と黄葉は疏窗を閉ざす。往事を沉思して残陽に立つ。)
声は大きくない。静かな庭によく通った。彼は詠み終えた後も彼女を見ず、目の前の石板の地面に視線を落としたままだった。
玄霜は何も言わなかった。
彼はもう一首詠んだ。
「綠蟻新醅酒,紅泥小火爐。晚來天欲雪,能飲一杯無?」
(緑蟻——新酒の泡——が立つ酒、紅い土の小さき火炉。夕べになって雪が降りそうだ。一盞を飲みて無しや?)
「「能飲一杯無」と詠んだとき、彼自身もそれが彼女への問いかけのように思えた。しかしもう口に出してしまった。引っ込められない。
彼女はまだ何も言わなかった。彼は続けた。
「金風玉露一相逢,便勝却人間無數。」
(金風玉露一度相逢えば、即ち勝る人間無数のより。)
秦觀の句が庭に落ちたとき、空気が何かに押されたように重くなった。風さえ一瞬、止んだ。
彼は一拍置いて、もう一首詠んだ。
「君問歸期未有期,巴山夜雨漲秋池。何當共剪西窗燭,却話巴山夜雨時。」
(君が帰期を問えども未だ期あること無し、巴山の夜雨秋池を漲らす。何れの時にか共に西窗の燭を剪り、却って巴山夜雨の時を話さん。)
李商隱の詩だ。待つ者の詩だ。詠み終えてから彼も少し後悔した——直截すぎる。しかし止まらなかった。彼は深く息を吸い、最後の一首を詠み上げた。
「有美一人,清揚婉兮。邂逅相遇,適我願兮。」
(美しき人有り、清く揚げて婉し。邂逅して相遇う、適ま我が願いにかなう。)
詩経の句。二千年前に誰かが野原で歌ったものだ。その言葉が今日、この冬の庭に、彼女の前に落ちた。
五首。彼が知っているもの、知らないもの——すべてを暗誦した。
――
詠み終えた後、庭には長い沈默が落ちた。
林瓶はうつむいたまま、彼女を見なかった。耳の付け根が少し熱い——さっきの五首は後ろに行くほど収拾がつかなくなっていた。後悔もあったが、一度口にした言葉は戻せない。まあいいか。
そのとき、彼は彼女の呼吸の音を聞いた。
とてもかすかだった。しかし不揃いだった。何かが喉につかえているように。
彼は顔を上げた。
玄霜は階段に座っていた。手に持っていた紙はすでに膝の上に垂れていた。彼女はそれを見ていなかった。彼女の視線は彼の上にあった——以前のような、虚ろに遠くへ抜けていく視線ではなく、本当に彼の上に落ちていた。彼女の目は、深い冬の湖面の薄氷が何かで叩かれたように、中心から外へ向かってひび割れが広がっていた。あの澄んだ静けさが砕け、その下から、彼女自身も制御できないものが覗いていた——驚き、戸惑い、そしておそらく彼女自身も気づいていない、顔を上げて彼を見つめるような表情。彼女の唇は微かに開いていた。閉じられなかった。
彼女は彼を長く見つめてから、ようやく一言口にした。声はとても低く、自分に言い聞かせるように。
「……ぜんぶ、覚えてたんだね。」
問いかけではなかった。陳述だった。
林瓶はそこに立ったまま、何も言わなかった。
彼女はまたうつむき、あの紙を改めて手に取り、広げ、膝の上に敷き、指でそっと巻れた角を伸ばした。動作はゆっくりだった。聞いたものを消化する時間を自分に与えているようだった。
しばらくして、彼女が口を開いた。声は先ほどより落ち着いていた。
「立ってないで。また行けって言ったわけじゃない。」
林瓶は一瞬とまどった。あたりを見回したが、座れる場所はない——石の腰掛けには薄っすらと霜が降りている。彼は脇の石段にしゃがみこんだ。石段は冷たく、上着の布地を透して、冷たさが膝の上に少しずつ沁みてくるのを感じた。
彼女は彼を見なかった。しかしうつむいたまま言った。
「ちょっと待って。この数行を写し取るから。」
ごく軽く、独り言のように言った。そして彼女は立ち上がり、振り返って殿の中に入った。しばらくして出てきた。手に短い墨と一枚の新しい紙を持ち、階段に座り直し、紙を膝の上に広げ、筆を上げて、彼が最初に詠んだ詞を書き始めた。
林瓶は数歩離れた石段にしゃがんでいた。彼女は顔を上げず、彼も彼女を見る必要はなかった。彼は目の前の石板の地面の一本の割れ目をじっと見ていた。割れ目の中には小さな枯れ草の屑が入っていて、風に微かに震えている。彼はその割れ目を長いあいだ見つめていた。
しかし彼女が詞を写しているとき、綿の上着の襟元がほんの少しゆるみ、鎖骨の上の小さな白玉のような肌が覗いた。彼はすぐに視線を逸らし、地面の石の割れ目をまた長いあいだ見つめた。割れ目の中をありが這っていた。冬なのに餌を探している。それもまた大変だ。何考えてるんだ、お前は。
彼女は「沉思往事立殘陽」のところで筆先が一瞬止まった。その七文字が重すぎて、まず消化してからでないと筆を下ろせないかのように。書き終えると彼女は筆を置き、紙の上の文字を見てしばらく黙っていた。
そして彼女は顔を上げ、彼を見た。その視線はさっきとは違っていた——最初は打ちのめされた驚きだった。今はもう少し、人を新たに認識し直すような意味が混ざっていた。
彼女は言った。
「初めてあなたを見たとき、全身ずぶ濡れでね。ただの道を間違えた雑役かと思ってた。」
一拍置いて、声が少し低くなった。
「まさか、詩人だったとはね。」
林瓶は石段に座っていた。膝の上に上着を透して伝わる冷たさがはっきりと分かる。彼はその言葉を受けなかった。しかし彼は分かっていた——彼女の言う「初めて」は、あの雨の東屋のことではない。彼女が詞を詠み始めたあの午後のことだ。彼が下の句を引き取ったあの日を、彼女は初めての出会いとして數えている。
彼はそのことに触れなかった。
――
さらにしばらくして、彼は立ち上がって帰る準備をした。庭の入り口まで歩いたとき、彼女の声が背中から聞こえた。
「今度来るときは、こっちから直接入ってきていいよ。前殿まで回らなくていい。」
彼は振り返った。彼女はまだ階段に座っていた。うつむいて紙の上の文字を見ていて、顔を上げなかった。
彼は応じた。「——分かった。」
彼は庭を出て、山道を下り始めた。十数歩歩いたとき、背後からまた彼女の声がした——
「林瓶。」
彼は立ち止まり、振り返った。
玄霜はまだ階段に座っていた。手にあの紙を持ったまま。彼女は顔を上げず、紙の上の文字を見下ろしたまま、声は大きくなく、何気なく言ったように。
「次は早めに来て。」
林瓶は山道に立ち、庭の向こうの彼女を見ていた。風が彼女の細い髪を吹き上げては落とす。彼女は微かに肩をすくめた——さっきまで平気だと言っていたのに、今になってようやく冷たさを感じたかのように。
彼は頷いた。
「——うん。」
そして彼は背を向けた。指の腹にはまだ、あの紙の端の細く薄い触り心地が残っていた。彼女が紙を差し出したとき、指先が紙の面をかすめて、一瞬——ほとんど感じ取れないほどの——ためらいのような間が、離れる前にあった。
彼はその手を少し強く握りしめ、山道を下りていった。冬の風が谷底から吹き上がってくる。彼は振り返らなかった。
曲がり角まで来たとき、彼は自分の影を見た——午後の陽に引き伸ばされ、霜の降りた山道の上に落ちている。来たときより、少し歩が速くなっていた。




