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たくさんの鎧に追いかけられながら人混みの中を駆け抜け、広場を抜け、只々走り続けた。手を引っ張っている青年は黒いマントを羽織り、フードを被っている。昨日もこんなことがあったのになんで今日もこんな目に、と自分の運の悪さに呆れる。ニアとザックのおかげで多少回復したとはいえ、流石に体がもたない。引っ張られるおかげで前に進めているが足も既に悲鳴をあげ、呼吸も苦しくなり、息がどんどん荒くなる
(もう無理...しんどい)
心の中でボロを吐きながら30分ほど走っていくと、見たことのない森に辿り着いた
ナギ!こっちだ!
彼がそう言うとマーブル模様の馬に乗った青年が待ち構えていたかのようにやってきた。彼も同様に黒いマントを羽織ってフードも被っているので顔がよく見えない
ナギ、この人だ
わかった。乗れる?
ナギと呼ばれた青年が手を差し出すのでそれをぐっと掴み馬に乗った。ちゃんと安定したのを二人が確認すると、さっきまで手を引っ張っていた彼が何故か自身のマントをくれた
詳しい事は後で。ナギ、家まで頼む
もちろん。ケインもあとはよろしく
そう言い残して奥へと進んで行く。ちょうど5分くらい経った頃、大粒の雨が降ってきた。さっきまで真っ青のいい天気だったはずが一気にグレーの雲が空を覆い尽くす。雨に打たれながら進んでいくと、森が切り開かれた場所に二階建ての木の家があった。どうやらこの家が彼らの拠点らしい。雨はさっきよりもずっと強くなっている。馬を降り、小走りのナギに着いて行く
どうぞ、入って
おじゃま..します
人様の家にひょこひょこと上がり込んでいいのか?でも今は身を守るためにも流れに従う方がいいんじゃないか?と自問自答を繰り返しながら足を家へ踏み入れる
疲れたよね、ここ座って
ナギはソファーをポンポンと軽く叩きながらマントを脱いだ。もらうよ。と着ていたケインのも彼に預かってもらいソファーに座った
君の名前は?
びしょ濡れのマントを窓際に干し終わると、そう言いながらナギは隣に座ってきた。名前と出身地ノク・セレーネから来たことを伝えると、ふ〜ん。とか興味なさそうな相槌をつき、金髪の髪の毛をくるくるしているが、一瞬、彼の深緑の眼の奥が揺らいだ気がする
ケイン、もうそろそろかな
彼がつぶやくと、玄関の開く音がし、本当にケインが帰ってきた。ただいまと疲れている様子ながらも彼は何故か雨に濡れていない。不思議すぎて逆に平常心になっている自分がいる
名前聞いてもいい?
ルーナです。セレーネから来ました
先ほどのナギとは違い、ケインはセレーネと聞くと、美味しいパン屋があるところだ。と笑顔で返してくれた
(ところで...だ。
ところでなんでこんなところに居るんだ?
なんで走らされた?
なんで、国王は私を追いかけてきた?)
2人には聞きたいことが山ほどあるので、詳しく話を聞こうとしたそのとき、
ルーナ、なんでズィーベンに?目的は?
まっすぐこちらを見てケインが言った
(この人達に、目的を言ってもいいのか?)
また、自問自答を繰り返す。
(でも、2人は私を助けてくれたんだ)
言うべきだ。そう決意し、口を開こうとしたその瞬間
ルイを探すため、?
ケインの眼は少し曇っている




