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ノラ・フィリアの森を馬で走り1時間半ほど経った
おっ、街が見えてきたぞ
ザックが指を指す。その方向を見ると。この国、テルルの城が建っている。空には満月の日に咲くと言われている月の華が描かれた国旗が風に靡く
ノア・ズィーベンと書かれた看板を通り過ぎ、宿やレストランなどがある中心街の広場に着いた
ルーナ、本当にここでいいのか?
宿まで行くよ?とザックは続けるが流石にお世話になり過ぎている。ここまで来ればもう安心だから大丈夫だと言い、最後に今までの感謝を伝えた
本当にありがとうございました、今度御礼をさせてください
おう!今度は雪の降ってない日にな
ザックはまた犬のような眼で笑った
ザックと別れ、いよいよ冒険の始まりだ
(まずは宿を取りに行こう)
この日の為、あらかじめ長期で泊まれる宿を調べておいたのだ。最長で1年間泊まれる宿だが、1年経ってもこの街に滞在しなければならないとなれば他の宿を探すしかない。ため息をつき、なるようになるだろうと心の中で呟いた
その時だった、
陛下のお通りだーっ!
と城の方向から聞こえてきた。その兵隊の一言で町の住民たちがワラワラと広場に集まってくる
(なんで陛下がわざわざ街に?)
この国では毎年テルルの日にパレードを開催するが、それは7月の初め頃だ
(今日はコートを着ないと凍るくらい寒い日なのに)
不思議に思いながらも陛下を見られるチャンスはもうないと思いそのまま待っていた
数分が経ち、先頭の隊員が見えた。それと同時に人々のざわつきも一段階大きくなる
(いよいよだ)
鎧の音が近づいてくる
先頭隊員が前を通り過ぎた、その瞬間
(陛下だ...)
テルルの国王の姿が見えた。一歩一歩がずっしりとしている
(もうすぐ、目の前を通り過ぎる)
背筋がピンと伸び、明らかに緊張してしまう
じっと釘付けになっていると、たまたま陛下と眼があった
(あ、だめだ。逃げなきゃ)
反射的に脳が危険信号を出している。同時にザックの言葉が蘇る、国王には気をつけろと
お前、もしかして...
確かに陛下がこちらを見てそう言った。そして指を指し、この者を捕らえよ。とぐるりを囲んでいる兵隊達に命令を出した
(まずい..逃げられない...!)
1人の兵隊に捕まりそうになり、身をかがめたその時
走るよ。
後ろから手を引かれ、人混みの中を進んでいった




