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月のヒ  作者: 雪乃ジョウ
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2

近くでパチパチと火の燃える音で目が覚めた


ここは一体どこだろうと思いながら目を擦りまぬけなあくびを漏らしたそのとき。あ、起きた?と誰かの声が聞こえ、びっくりして目を見開くとそこには丸メガネの色の白い青年が暖炉の前で本を持って椅子に座っていた。状況が掴めないが、すぐに体を起こして横たわっていたソファーに座り直す


おはよう、もう大丈夫そう?


その一言で吹雪の中を死に物狂いで走って、誰かの声が聞こえたところで記憶が途切れてしまったことを思い出し、そしてこの人が助けてくれた屋敷の住人だと即座に理解した


助けてくださって本当にありがとうございます...!もう大丈夫です

どういたしまして。体温が戻ったみたいで良かったよ


そう言いながら透き通った水色の眼が微笑む


そして軽く自己紹介をした。彼の名前はニアというそうだ。お互いの名前を確認し終わったそのとき


あ!起きたのー?


と、ハキハキとした声が聞こえ、1人の青年が階段から降りて暖炉の前に来た。


俺はザック!こいつの兄貴だ。よろしくな!


ザックと名乗った彼も私を助けてくれたそうで、心配したんだぞ〜と肩を叩いてきた。彼にも心からの感謝を伝え、もう大丈夫だと言うと、本当に良かった。そう言いながら大型犬みたいな茶色の丸い眼を輝かせた


よしご飯にしよう、温かいスープを用意してるんだ


自己紹介が終わるとニアが口を開いた。悪いです!と断ろうとしても、良いからいいから。とスープとパンをご馳走になった。とても美味しくて心の底から温まった


ご馳走さまでした。とっても美味しかったです

ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいな


ニアがスープで曇らせた丸メガネを外しながら言う。

水色の眼はメガネ越しに見るよりもずっと透き通っている


ところでルーナ、なんで今日こんなことになる羽目になったんだ?


ポケッとしていると、大きな器でスープを飲んでいるザックに質問されたのでここに辿り着くまでの経緯と自分の目的について話をした。今日は山小屋に行くはずが...と情けない様子で話すと2人は同じタイミングでクスッと笑った。そして、話に一旦区切りがついたとき


明日僕たち、首都ズィーベンに行くんだよ


流石に女の子1人で森を抜けるのは危なすぎるから、一緒に行こうとニアが続けて言った。俺らがこうしたいからしてるだけだ。迷惑をかけていると思っている心を読み取ったようにザックも続けて言う。


明日、よろしくお願いします


2人に頭を下げてお願いをすると。全然いいよーと、また2人は同じタイミングでそう言った


なら、もう今日は寝よう。ルーナ、案内するぞ


ザックに着いていく。するとなんと来客用の部屋を貸してくれたのだ。おやすみの挨拶を交わしベッドに寝転がる。命の恩人にはどんなお礼をしたらいいのかな。そんなことを考えているとすぐに眠りについてしまった



朝目が覚めると焼きたてのパンのいい匂いがした


一階に降りて2人に挨拶をすると

おはようルーナ。ここ座って、焼きたてのパンだよ。

と促され、朝食までご馳走になった。


食べ終わると各々身支度をし、いよいよ出発だ


屋敷の外に出ると2人の兄弟はそれぞれ馬に乗っていた。ルーナ、馬には乗れる?というニアの質問に、もちろんと答える。よしっと彼は笑顔で頷き、手を差し伸べてくれた


ルーナ、手貸して


少し背伸びをしながらニアの手をしっかり握り、馬に跨がろうとしたその瞬間。ゴツっと額同士がぶつかってしまった


ご、ごめんなさいっ!


じわじわと額が痛い。大丈夫かお前ら〜そう笑いながらザックが隣に来る。


ルーナ、大丈夫か?

私は平気です!それより...


ぶつかった所を押さえながらニアの顔を見た。すると、なぜだか驚いた様子でこちらを見ている


ニア、さん?


問いかけても反応が返ってこず、心配になったザックも声をかけるが反応無しだ。


おい、ニア?体調が良くないのか?


目を見開いたままニアは固まっている。そして少しの時間が経ったそのとき


つ…爪が割れちゃった


俯いてニアが言った。はぁ?爪?とザックは苦笑いしている。


ごめんなさいっ、きっとぶつかったときに...


そう謝ると


全然大丈夫、僕これ整えてから行きたいからザック兄さんと一緒に行ってくれるかな


馬を降り、一旦荷物を下ろしながらニアが言う。その声は軽やかだった


じゃあ僕はここで


ニアは笑っていた。丸メガネ越しの水色の眼は良く見えなかった。


ルーナ、行こうか。手貸して


ニアが去った後、ザックと共にズィーベンへ出発した。雪の森を進んでいる途中だった。


ルーナ、満月を見たことはあるか?


ザックにそう質問された


そういえば生まれてから今まで満月を一度も見たことがない。おとぎ話の世界でだけだとてっきり思っていた


思考回路を巡らせているうちに少し時間が経ち、様子を察したザックにこう言われた


国王には注意するんだぞ


茶色い瞳は真っ直ぐ前を向いていた









いや、まさか。



そんな筈はないと、信じたい自分がいる。



でもそれなら全て辻褄が合う。



見つけた...



あの子は、



暖炉の前のソファーに深く座り、本を開いた














































































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